【簡単あらすじ】むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました(微ネタバレ)【青柳碧人/双葉文庫】
『 交換できる機会に、なんでも交換するのだ。よいな?』
かぐや姫|おむすびころりん|わらしべ長者
猿蟹合戦|ぶんぶく茶釜
上記5作は、誰もが知る昔話であり、
これらを基にしたミステリー作品です。
あの話がこんな結末になるとは。
古いながらも新しい驚きが。
是非ご一読ください。
―
『はじめに』
日に日に暖かくなり春が近くなっている雰囲気を感じられる毎日ですが、そうすると(私もそうですが)花粉症に悩まされる季節でもあります…しかし、外出しにくい気候ということは、読書の時間を多くとることが出来るというようにポジティブに考えることを心がけています。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
ーー
『 女って本当に、ろくなもんじゃねえな 』
青柳碧人さんの物語×ミステリーシリーズ。
前作よりもミステリー色が強くなった、以下の五編です。
1.竹取探偵物語
「美しすぎるのも、困りものですね」
しがない竹取である堤重直(シゲ)は、都づとめの際に知り合った有坂泰比良(ヤス)と竹を取りに山に入ると、光る竹から、かぐやと名のる小さな女の子を見つけた。
シゲと共に過ごすことになったかぐやは、みるみるうちに成長し・綺麗になったため多くの者から求婚される。
激しく求婚してきた5名の「愛情の深さ」を見定めるため、かぐやはそれぞれにゆかしき物を取ってくるよう条件を出す。
翌年、かぐやが出した条件を達成したか披露する日の前日、ヤスが何者かに殺されてしまった。
ー
2.七回目のおむすびころりん
「わしの知っとる「おむすびころりん」の話は、これでしまいじゃ」
惣七という欲深い爺さんのとなりに住む、米八爺さんが金銀財宝に囲まれていた。
話を聞くと、山に木を伐りに行った際、おむすびを穴に落としてしまい、いつの間にかその穴でもてなされ、帰ろうとすると穴にいたねずみからもらった「何でも望みのものが手に入る袋」のおかげで金銀財宝を得たという。
当然惣七も同じようにし、ねずみのいる穴に入ることが出来たのだが、せっかちな惣七は上手くいかない。
そのうちに、穴の中は大混乱。
穴にあったやぐらが崩れ落ち、釣り鐘が「ごぉ~~~~~~~ん」と鳴った。
・・・気づくと、惣七はタイムスリップ?をしていた。
ー
3.わらしべ多重殺人
「長者ろう」
「わらしべとみかんを交換した」一児の母・おみね。
「みかんと剣健布を交換した」屋敷の娘・椿と使用人・壮平。
「剣健布と名馬を交換した」武士・原口源之助。
三人とも全員が、八衛門という一人の男を殺したと自白した。
とても不思議な事件に、ある疑問をもった村役人・山野栗蔵は、わらしべ長者を訪問する。
ー
4.真相・猿蟹合戦
「本当の、猿蟹合戦?」
あるうさぎに兄を殺されてしまった狸・茶太郎。
茶太郎は、そのうさぎを殺してやりたいほど恨んでいる。
そんなある日、茶太郎の前に現れた猿・栃丸は「そのうさぎはおれが殺してやるべ」という。
栃丸と茶太郎が信頼出来る仲間になれるかどうか、茶太郎を試すため家に連れて帰る。
その家で栃丸は、茶太郎が知らない猿について、一匹ずつじっくりと話し出す。
ー
5.猿六とぶんぶく交換犯罪
「めでたし、めでたしーー」
赤尻平という猿の隠れ里で、里のボス・猩々翁が大層気に入っている猿・南天丸が殺された。
しかし、南天丸の住処は沼に浮かぶ小島にあり、南天丸の住処と里を繋ぐ唯一の交通手段である小舟には、使用された形跡が全くない。
つまり、密室殺猿といえる状況だった。
その謎を、猿六という旅の猿が解いていく。
―
「日本の昔話を基礎に、ミステリーをアレンジした作品」と聞きますと、言葉は悪いですが、少しイロモノ(設定に奇をてらっている)ではないか?と疑う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、本作(青柳碧人さん)の作品は、しっかりとしたミステリー仕立てになっており、通常のミステリー好きの方も満足されると思います。
特に、猿蟹合戦を題材にしている物語では、
「真相・猿蟹合戦」で、何故このようなことを考え、行動を起こすのかという背景について。
「猿六とぶんぶく交換犯罪」で、実際の事件について。
と二編にわたって深く物語が練られていますので、短編集とは思えないほどの読みごたえでした。
個人的にはわらしべ多重殺人がおススメです。
皆さんが知っている「わらしべ長者」は、主人公が歩っているだけで勝手に成り上がるという、羨ましいと言いますか・気楽な話しなのですが、各登場人物に、本作にあるような背景があったら…と思ってしまいます。
多くの日本人が持っているイメージに沿い、そして覆されるような「物語×ミステリー」作品を是非ご一読ください。
―
☆同作者の他作品レビュー☆
☆他の小説レビュー☆
いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んで頂いた方に、何かしらのプラスを届けたいと考えています。