【簡単あらすじ】シーソーモンスター(微ネタバレ)【伊坂幸太郎/中公文庫】
『 わたしと絵本を作ることにしたの 』
「嫁姑問題」と「近未来のAI」
全くつながりが見えないテーマですが
そこはもう、伊坂作品ですから
当然絡み合いますし驚きも生まれます。
昭和後期と近未来という、時代を越えての「伊坂ワールド」。
是非ご一読ください。
―
『はじめに』
日に日に暖かくなり、桜の季節も、そして花粉症の季節も終わりに近づいていますし、そうすると、ぽかぽか陽気につられて外に出かけることも多くなります。
しかし、ストーブもエアコンも必要の無い時期というのは、読書が捗る時期とも言えます。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
ーー
原始~未来までの数千年の対立をテーマにした8人の作家の競作、
「螺旋」プロジェクト
の一作です。
各時代と担当作家さんは以下のとおりです。
原始/大森兄弟
古代/澤田瞳子
中世・近世/天野純希
明治/薬丸岳
昭和前期/乾ルカ
昭和後期・近未来/伊坂幸太郎
平成/朝井リョウ
未来/吉田篤弘
このように明示しただけでもそうそうたる面子ですので、
①「海族」と「山族」の対立を描く
➁ 共通のキャラクターを登場させる
③ 共通シーンや象徴モチーフを出す
という共通ルールを守りつつ創作される作品群である、このプロジェクトの全貌がとても気になります。
―
本作は、前述したように昭和後期と近未来についての二作が掲載されています。
1.昭和後期「シーソーモンスター」
『 ご先祖様から伝わる因縁なのです 』
製薬会社に勤務する北山は、会社ではなく、家庭内に深刻な問題を抱えていた。
それは、「嫁姑問題」
初めは、妻・宮子も、母・セツも同居に前向きだったものの、
初対面の時から、相性が悪いというか、ギクシャクし始め、
現在では毎日のようにいざこざが発生しているという。
北山は、家に帰ると母からも嫁からも愚痴を聞くという
板挟み状態に苦しんでいた。
ー
2.近未来「スピンモンスター」
『 人の感情までは完璧にコントロールできねえんだよ 』
デジタルによるペーパーレス化が推進され、
それの揺り戻しとして成立した職業「配達人」
その名の通り、依頼人からの重要な品物(手紙など)を
手渡しで相手に渡すという職業だ。
配達人の水戸直正が、いつものように新幹線に乗っていると、
車内で檜山景虎を見かける。
水戸と檜山は、小学校時代の交通事故で、
どちらとも両親ときょうだいを亡くしてしまうという因縁を持っていた…
―
私は結婚していませんが、子どもの頃の母と祖母のいさかいは何となくわかっていましたし、友人が苦しんでいることも知っています。
そんな身近で誰でも経験するような嫁姑問題と、
AIの存在が現在よりも大きなウエイトを占めている近未来において、
人間を(AIの考える)良い方向へ導こうとする流れに、どうにかしてそれに抗おうとする個人の闘い
という二つの作品です。
伊坂幸太郎さんの作品と言えば、一つのテーマに様々な人物・舞台が絡み合い、最終的に読者が少しだけ前向きになることが出来る「伊坂ワールド」が有名です。
そう考えると、今回の螺旋プロジェクトのように、数千年の時代を越えるというテーマの作品はとても魅力的に映ります。
本作も、両作ともクスッと笑えて、最後まで読むと衝撃を受け・読み返したくなるという、とても伊坂さんらしい作品で楽しめました。
本作だけでなく、プロジェクトに参加した他の作品も読みたくなる作品、
是非ご一読ください。
ーー
☆同作者の他作品レビュー☆
☆他の小説レビュー☆
いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んで頂いた方に、何かしらのプラスを届けたいと考えています。