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耳ダンボ👂テーラー稲津の内緒話➆「恋の終わりと、見知らぬ優しさ」

親友のK子の話を書こうと思う。

彼女は大手企業で働くキャリアウーマンだ。

けれど、20代後半に辛い経験をした。

社内恋愛をしていたが、2年ほど経った頃から関係がうまくいかなくなっていた。

会社では顔を合わせるものの、プライベートでは連絡が途絶えてしまった。

「もうダメかもしれない…」と思い始めた頃、気分転換にと新幹線に乗って京都の友人に会いに行くことにした。

ところが、新幹線のホームに着くと、どこか見覚えのある男性がいた。

彼だった。

そして、彼の隣には見知らぬ若い女性がいた。

新幹線に乗ると、彼とは別の車両だった。

席に着き、列車が走り始めると、涙が止まらなくなった。

情けなさと悲しさが入り混じって、涙があとからあとから溢れてきた。

指定席だったが、すぐに隣の空席にも誰かが座った。

昔は新幹線の切符を車掌が確認するのが普通だったので、車掌が切符のチェックにやってきた。

そのとき、K子が涙をこらえきれずに泣いているのを見た隣の乗客が、機転を利かせてこう言ってくれた。「彼女、今泣いているので、あとで来ていただけますか?」

ビジネスマン風の男性だったそうだが、「何かあったんですね」と優しく声をかけてくれた。K子は泣きながら、これまでの経緯を話したという。

初対面の人にそんなプライベートなことを話すのは珍しいことかもしれない。

でも、一度しか会わない人だからこそ、逆に話せることもある。

話しているうちに涙は止まり、京都に着く頃には少し落ち着いていたそうだ。

今となっては、隣の男性がK子と関係があり、彼女に何か悪いことでもしたように見えたかもしれない……と笑い話になっている。


おしまい



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