異星人アリサと閻魔さまのトリセツ第47話「ドクター・ミネルバとアリサの対談⑧:真由美の初刊本が消えた理由とDNA操作に関する問題について」【連載小説】
新宿のカフェの窓から見える空は、美しい夕焼け色に染まっていた。コーヒーを4杯も飲んでカフェインに疲れたアリサは、グラスワインを注文した。
お酒が進むにつれて、二人の会話はますます盛り上がっていった。
「そういえば、真由美が最初に出した「異星人から聞いた話」シリーズは、もう読めなくなっちゃったのよね。日本語版2冊とその英語版2冊の合計4冊全部を真由美が取り下げちゃったから。私としては反対だったんだけど、色々事情があったみたい。まあ、楽天ブログに多少残ってるから、読めるものもあるけどね。結局、真由美は『ミネルバの情報を公にするのはまだ時期尚早だ』って私に言ったわ。実を言うとね、彼女としては、自分が死んだ後に偶然見つけてくれるかもしれない読者をターゲットにしてたらしいの。ハハハ、笑えるでしょう?真由美が入院中にそれを話していたんだけど、『新時代の幕開け前に、南極や宇宙人の秘密を知っていた主婦がいた』って思われたいんだって。もう、なんというか——めちゃくちゃロマンあふれる承認欲求よ。でも、取り下げた本と過去の記事を織り交えた英語版を今年の夏にひっそりと出版させてたわ。友人や家族にも知らせず、売ることよりも出版歴を残すことを優先したみたい。"英語版なら盗用のリスクが少ない"っていう理由もあるらしいけど。ミネルバも最初の出版の時に真由美にアドバイスしてたんでしょう?」
そこで、何か思い出したようにドクター・ミネルバが膝を叩いだ。
「ああ、そうだった!最初の本は私が少し強引に真由美に出版を勧めたんだった!あのタイミングで出版すれば、今は売れなくても未来的には有利になるからって。確か算命学とホロスコープとアルクトゥルス星の参考書を使って導き出した日時だったわ」

そこで豪快に笑うアリサ。その笑い声はカフェ中に響き渡った。
「ガハハハハハ……ミネルバ、それって……自分がアドバイスしておいて忘れちゃうなんて無責任じゃない?ハハハハハ……」
ドクター・ミネルバは恥ずかしそうにテーブルの縁を指でそっとなぞった。そして小さく頷きながら穏やかに言葉を発した。
「真由美さんが本を取り下げた理由は知らなかったけれど、そんな事情があったのね。確かに、トランプ復帰前は色々と不都合が多かったわ。私が話していた、科学者によるDNA操作で人工的にスーパーモデルや天才を生み出していた件も、信じない人が多かったかもしれない。ただ、スポーツ選手の中に疑わしい人が増えたことで、信じる人もさらに増えてくると思うの。今年ならフィギュアスケーターの中にいるわ。もし2026年の冬季オリンピックでその選手がメダルを獲得したら、後で色々言われるかもしれない。もうトランスジェンダー問題どころではないわね。人工授精が始まった頃も「神への冒涜」だと騒がれたけど、いつの間にか普通になって、受精卵を操作して双子を望む親の願いを叶えることができるようになった……。今ではリスクのある男女産み分けまで行う国やVIPも世界中にいるわ。スポーツの世界ではドーピングが不正とされるけど、本当は遺伝子操作も大問題のはずよ。でも、薬物操作で勝つのは卑怯でも、遺伝子操作で生まれた人間は未知の存在だから仕方ないという空気。一体どこで線引きするべきなのかしら?地球では、そのあたりがまだまだ曖昧ね」
その話に頷きながらアリサは赤ワインを一口飲んだ。そして少し声を潜めてドクター・ミネルバに語りかけた。
「“打って安心計画”が昔からのプランで、長野県や映画『リング』とも関連があるなんて話も……真由美の本を読まなくても、ネットで探せば情報は残っていると思うわ。でも、『中国産のマイナンバーカードが優劣判断のツールとなり、不正選挙に利用される可能性が高い』『それがグローバリストによって推進されている』ってミネルバが説明してくれたでしょう?だから『あのカードは中国で製造されたもの』って真由美は本に書いたの。だけど、陰謀論者でさえ当初は反応が鈍かったみたい。もちろん、そんなのは承知済みって人もいたんだろうけど――。それに、真由美が卒業した大学院は民主党の州にあったから、シカゴ大の教授やハワイの友人たちまで迷惑をかけてしまったみたい。本に教授たちの名前や感謝の言葉を書いてしまったからね。もっと明確にフィクションとして書いていれば良かったのに。私は最初から、『手嶋龍一さんみたいな書き方なら無難だよ』って言ってたんだけど。確かにいろいろヤバい話が多くて、ハッキングもあったって聞くし――それってあなたが教えるからだけどさ、ハハハ。真由美は『10分の1も記事にできない!』って文句言ってたわ。でも、彼女が本を取り下げた一番の理由は、実家の蔵に妙な落雷があったからよ。闇側の意地悪な人たちの仕業かと最初は思ったけど、案外お天道様の警告だったのかもしれない。ウクライナ問題についても、『米ドルの偽札工場を倒壊させるのが第一の目的だった』って教えられた通りに真由美は書いてたわ。ネットでは以前からその話が出てたけど、普通の人にはほとんど知られてなかったのよね。まあ今でもそうかもしれないけど。戦争の目的も次々と変わっていったから、偽札工場の問題なんてすっかり忘れられてるみたい。既得権益者の欲深さには本当にキリがないわね。でも、さすがにトランプを利用した流れがくるから、来年には終わるんじゃない?そしたら真由美も取り下げた本を再刊行すると思うわ」
第38話へ続く
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ここからはつり革広告のようにご覧ください🐶
