こっぱもち 宝餅本舗 熊本県天草市 和菓子なスクチャイ307 2026.07.08
和菓子なスクチャイ307 熊本県 > 天草市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
こっぱもち 宝餅本舗 熊本県天草市

<序>
これも前回までのお話と同様に、仙台駅の九州物産展で買ったものだ。税込で1,080円だった。
この時、吾輩は実に多くの九州産のお菓子を買い込み、会計のおばちゃんに満面の笑顔で「うわ〜!たくさん買っていただいてありがと〜!」などと言って感謝してもらったのだ。
餅系のお菓子が入ると吾輩のエコバッグの重さも結構なもので、まるで九州に旅行に来た気分にもなった。
しかしここは仙台なのだ。
店員さんも仙台人だ。それを証拠に商品を見ている時にお菓子について質問したら「何もわかりませ〜ん! アタシ仙台人なので九州のお菓子食べたことないの!」
・・・とのことだった。
願わくば九州のヒトにお菓子ネタをいろいろ話してもらいたかったのだが、ここは仙台なので、そういうことは、まあ無理だろう。
しかし、その仙台のおばちゃんから九州のお菓子を合計6,000円以上もたくさん買って、ますます九州旅行に行きたくなってきた! という効果はあった。
ああ、願わくば、現地の物知りおばちゃん達とお菓子の四方山話をしたい・・・
・・・例えば・・・
この「こっぱもち」の「こっぱ」って何やねん!?
・・・などを訊いてみたいのだ。
木端微塵の「こっぱ」か?
はたまた木端役人の「こっぱ」か?

1.またしても見つけた素朴系九州お菓子
「朝鮮飴」や「いこ餅」「かるかん」に続き、保存料や人工甘味料を使わず素材の持つ力だけで美味しさを守る、九州の素晴らしい郷土菓子をまたひとつ発見したのだ。
くまモン印のそれは、見た目とパッケージのまま触れただけでは固いのだった。
こりゃあさすがに焼いて食べた方が良さそうだニャ、となぜか猫語で思った。
しかし、いざ封を切って開けてみると、中の物体は見た目通りしっかりした生地ではあるが、完全に固くなっているわけではなく、案外ねっとりと柔らかいのだった。



まな板の上に載せてナイフを当てると、わりとスッと簡単に切れた。
指で持ってもわかるが、フニュッとしていてこのまま齧れるのだった。
ちょっと粉っぽいような感じもあったが、齧ると懐かしくもよく知っている香りに包まれた。
サツマイモ! 焼きイモやん!
原材料名を見ると、「餅米(熊本県産)、甘藷、上白糖」だけだ。
サツマイモの美味しさを完璧に引き出した餅!
ということで、これまた九州の素朴菓子の大発見なのであった。
2.宝餅本舗
宝餅本舗は熊本県天草市本渡町に本店を置く、天草の郷土味を伝える餅菓子と郷土菓子の専門店だ。



かつては天草の各家庭で手作りされていた「こっぱもち」を、品質と風味を保ったまま全国へ届ける代表的なメーカーとして知られているとのことだ。
「くまモン」のマークが入ったパッケージは、天草のお土産としてはもちろん全国の物産展でも親しまれているらしい。
つまり吾輩は仙台駅で初めて出会ったのだが、全国の物産展で親しまれていると言うことは、現地の熊本に行かなくても、また全国のどこかで買える可能性が高いとなるだろう。吾輩は今後も見つける度に買いそうな予感がしている。
3.「こっぱもち」とは?
調べてみると、「こっぱ」とは、天草地方の方言で「小さく切り干したさつまいも(干しいも)」のことを指すとのことだ。
山や畑が多く、お米があまり採れなかった天草地方では、古くからさつまいもが主食や貴重な栄養源として大切にされてきた。
秋に収穫したさつまいもを皮をむいて茹で、天日でじっくり乾燥させて「こっぱ」を作り、保存食として蓄えていたのだ。
この干しさつまいも(こっぱ)を湯戻しし、蒸したもち米と上澄みの上等な砂糖(または黒糖)と一緒にもち臼でつき込んだのが「こっぱもち」なのだ。
さつまいもを贅沢に混ぜ合わせることで、少ないもち米でもボリュームのある美味しいお餅になり、過酷な時代を生き抜くための先人の知恵が生んだ心温まるソウルフードになった。
4.柔らかく、保存が利く
吾輩はそのまま簡単に齧れるほどの食感に感動したのだが、それはさつまいもの「繊維」と「糖分」の力によるものだ。
普通の餅は時間が経つと硬くなるが、こっぱもちは生地の半分近くがさつまいもの繊維と糖質でできている。そのため、でんぷんの硬化(老化)が極めて遅く、時間が経ってもそのまま齧れるほどモチモチと柔らかい状態が続く。
原材料は無添加で非常に単純だ。
保存料を使わなくても長持ちするのは、天日干しの干しいも由来の濃厚な糖分と、じっくりつき込む職人の製法によるものだ。
5.炙ると化ける
吾輩はガスコンロの魚焼きグリルで炙ってみた。


表面がカリッと香ばしく焦げ、中は出来立ての「焼き芋お餅」のようにトロ~リと伸びるのであった。
焼き芋の甘い香ばしさと香ばしいお餅の香りが同時に花開くため、地元の天草でも特に固くなくても「少し焼いて食べる」のが定番の楽しみ方のようなのだ。
「こっぱもち」で天草の海風と太陽の恵みを受けたさつまいもの優しい甘さを味わいつつ、いつか吾輩もまた熊本を旅するぞ! その時はくまモンにも会うぞ! という気持ちだった。
こんな風に熊本には美味しいものが溢れているのが確実なので、早期の復興後、吾輩はさっそく熊本を旅するつもりだ。その時、吾輩は県民たちと地元の美味しいお菓子について笑顔で語り合いたいのだ。
(おわり)
