吉原殿中 亀じるし 茨城県水戸市 和菓子なスクチャイ245 2026.01.26
和菓子なスクチャイ245 茨城県 > 水戸市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
吉原殿中 亀じるし 茨城県水戸市


1.水戸駅で製造実演中

この冬(2026年1月)念願の鮟鱇鍋(と「どぶ汁」も)を水戸まで食べに来た時に、駅ビルの「エクセルみなみ」を覗いてみると折しも「吉原殿中」の工房で実演中でしかも「写真撮影ご自由に!」という願ってもないタイミングであったので遠慮なく写真も撮った。
この水戸の「吉原殿中」は熊谷の「五家宝」とそっくりなお菓子でたまに両者が同時に話題になることがあるくらいだ。
最近まで熊谷で「五家宝」の作業風景を見たくて結構奮闘していたが、漸く数日前に堀内製菓と多祢仁で見ることが出来た。
しかしこちら水戸では、駅ビルの名店街の中に大きなガラス張りがあって、その向こう側でうどんかそばの手打ち風景を見せるが如く「吉原殿中」の製造風景を見せているのだった。
この点、水戸の方が熊谷よりも進んでいると言わざるを得ない。
市民の「製造風景を見たい」という潜在的な要望に応えるために名店街の一郭に大きなガラス張りの工房を作ったのだ。
熊谷ではメーカーに何度も電話して作業日時を合わせる努力をしたが、それでも日時が合わず、最終的に作業風景を見ることは諦めて買い物だけ行った時に偶然見れたのだ。
それも、もともと熊谷では作業場が人に見せるための構造になってないため、見たければ一定の場所から覗き見するような形で遠慮がちに見るしかなかった。
五家宝の作業台と伸ばされた五家宝自体が3m近くの長さがあり、限られた角度から見れるのはほんの一部分だけであった。
そういう状況の熊谷から来た身には、水戸の大きなガラス張りの向こう側で、吉原殿中の先っちょから尾っぽまで全部見渡せる作業台での作業の全体像が好きなだけ見れて写真も撮れるのが感無量なのだった。
大きな会社だから資金的にもそれができるのだろうが、ともかく消費者フレンドリーなのは水戸の方で、消費者を楽しませるという精神があることがわかった。
2.出来たても販売


そしてそのガラス張りの外側には、出来立てと思われる「吉原殿中」がパック入りで売っていた。
数が限られているようだったので、これから街に出て鮟鱇鍋を食べに行くところであった吾輩だが、帰りにはもうないかもしれないので荷物になることも構わず1パック(税込500円)を買うことにしたのだ。
また、お土産用で日持ちする個別包装のものも1本売りしていたので2本買った。こちらは1本税込140円
3.食べた(実演販売)


実演販売の方のパックの中身の「吉原殿中」をさっそく齧ったが、出来立てにしては「パリッと」した食感で固く、また熊谷の「五家宝」と違って「皮」に相当するきな粉の層がないことに気づいた。
それに、相対的に「五家宝」よりひとまわり大きいことにも気づいた。
さらに、甘さが際立った。
熊谷の「五家宝」よりも甘いと感じた。
4.食べた(個別包装)



先にも書いたが、亀じるしは個別包装の「吉原殿中」も1本単位で売っていてこちらの方が日持ちするのでお土産に適している。
その方も買ったのだが、パッと見は「うまい棒」に見えるのだった。
中身はどちらもポン菓子の仲間なので満更他人同士でもないかもしれないが、「吉原殿中」の方が密度が高い。
また、個別包装の方も表面には「皮」に相当する部分がなく、その点が圧倒的に熊谷の「五家宝」とは違うのだった。
そして先に食べた実演販売のパック入りよりもタネは柔らかかった。
これは意外だった。
出来立てパック入りの方がカリッと固まっていたのに、完全密封個別包装のお土産用の方が柔らかく、吾輩としては意外なことに個別包装の方が気に入った。
両方よく似た大きさなのに値段も実演販売の方が1本税込100円で、個別包装の税込140円よりも安い。包装費用がかかっていても40円の差があるのは、実演販売の方がむしろサービス価格という意味があるのかもしれない。
熊谷の五家宝は多祢仁で経験しているが、買いたては柔らかいが時間が経つにつれ次第に固めになってきた。
製法や水分量など素材の配合割合が違うのかもしれない。
柔らかめや固め、軽めや重め、甘めや甘さ控えめ、というのは良い悪いではなく、結局のところ食べる人の好みになるだろうから、日持ちや包装形態も含め、自分に合った商品を見つけておけばいいことだろう。
5.吉原殿中
水戸では複数のメーカーが銘菓「吉原殿中(よしわらでんちゅう)」を作っているが、その中でも嘉永五年(1852年)創業の老舗「亀じるし(亀印製菓)」は伝統を守りつつ現代的な品質管理で水戸土産の顔として広く親しまれている。
5.1.誕生の精神は江戸時代の「もったいない」精神
「吉原殿中」という名前は江戸時代に水戸藩九代藩主徳川斉昭公に仕えていた「吉原」という名の奥女中のエピソードが由来なのだ。
ある時、吉原は食事で余ったご飯(干飯)を無駄にしないよう、それを煎ってからきな粉をまぶし飴で固めておやつを作った。
これを斉昭公に献上したところ、その素朴で滋味深い味わいと吉原の「物を大切にする心」を大変喜び、彼女の名前をとって「吉原殿中」と名付けたと伝えられている。
5.2.「吉原殿中」の独特な作りと食感
見た目は「おこし」に似ているが、食べると全く違う。
餅米を揚げたサクサクの芯を水飴でコーティングしたっぷりのきな粉で包んでいる。
最大の特徴は一般的なおこしのような「硬さ」がなく、水飴の粘りによる柔らかい食感にある。
「サクッ」の後に「ねっとり」がくるのはそのためだ。
5.3.職人による「手延べ」
亀じるしでは今も熟練の職人が大きな棒状の生地を手で伸ばし切り分けている。
この絶妙な力加減があの独特のソフトな口当たりを生み出している。
袋を開けるとこぼれんばかりのきな粉が入っているが、これは「吉原殿中の乾燥を防ぐ」役割もあり、最後の最後まで香ばしさを楽しめるのだ。
5.4.亀じるしのこだわり
茨城県産のもち米や厳選されたきな粉を使用している。
亀じるし商品は水戸駅や高速道路のSAなどでも手に入りやすいため、多くの人が「水戸の味」として最初に思い浮かべるのがこの亀じるしのパッケージだ。
6.熊谷の「五家宝(ごかぼう)」との関係
熊谷の五家宝と似ているが、ルーツは同じという説があり、メーカーにもよるだろうが、吾輩が食べ比べたところ水戸の吉原殿中の方が「一回り大きく、より固く、より甘い」という感想を持った。
6.1.水戸から熊谷への伝播説
熊谷の五家宝の発祥には諸説あるが、その中の一つに「水戸起源説」がある。
江戸時代の文政年間(1818~1829年)に水戸藩から現在の埼玉県(当時は忍藩)に移り住んだ水野源助という人物が故郷の水戸の「吉原殿中」を参考にして中山道の宿場町である熊谷で売り出したのが「五家宝」の始まりだと言われている。
当初は「五嘉棒」などと書かれていたが、後に「五穀(米、麦、豆、粟、黍など)は家の宝である」という意味を込めて「五家宝」という縁起の良い名前に変わったと言われている。
6.2.「吉原殿中」と「五家宝」の違い
基本の材料(もち米、水飴、きな粉)は同じだが、食べ比べてみるといかのような細かな違いがあった。
但し、メーカーによっては一概には言えないので下記比較はあくまで参考だ。
水戸「吉原殿中」
形態:皮に相当する部位がなく、おこし生地にそのままきな粉をまぶしている
大きさ:やや大きく、太い(直径約2.5cm、長さ約8cm前後)
食感:芯がしっかりしており、サクサク感が強い
包装:メーカーによりオブラートに包まれているのもある。個包装もある。
由来:奥女中「吉原」の倹約精神から
地域の誇り:徳川斉昭公が名付けたという「藩公由来の由緒」を大切にしているいわば「藩の倹約の象徴」
熊谷「五家宝」
形態:水飴ときな粉の層が中身のおこし部分を覆っているのでそれが「皮」に見える
大きさ:小ぶりで細い(直径約2cm、長さ約5cm前後)
食感:水飴の粘りが強くより柔らかい
包装:ほとんどがそのままを袋や箱に入れる
由来:五穀豊穣や家宝の願いから
地域の誇り: 中山道の要所で旅人の疲れを癒やす「宿場町の名物」として100軒近い店が競い合った歴史を誇っているいわば「街道の人気菓子」
(おわり)
