椿餅 伊勢屋 福島県会津若松市 和菓子なスクチャイ292 2026.04.26
和菓子なスクチャイ292 福島県 > 会津若松市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
椿餅 伊勢屋 福島県会津若松市

<序>
会津若松で過ごしていた吾輩は、熊野屋で「しんごろう餅」と「みたらしだんご」を賞味し、長門屋で「香木実(かぐのきのみ)」と「Fly Me to The Moon チョコ羊羹ファンタジア」と「xx現在は秘密xx」を買い求めた後、もう一軒の和菓子屋さんを訪れた。
その名も「伊勢屋」で、名物の「椿餅」を買ったのだ。
1.伊勢屋で椿餅を買う


手前の会計皿が趣深い

手前の会計皿が趣深い
伊勢屋の店内には誰もいなかった。
ガラスの引き戸を開けると風が入ってきて、商品のラベルが吹っ飛んだ。
吾輩は拾って元に戻そうとしたが、どこから飛んで来たのかわからず、店員さんが出てきたら手渡そうと思った。
しばらくすると丸っこいおばあちゃんが出てきて女将さんなのだろうといっぺんにわかったのでラベルが飛んだことを言うと「その辺に置いといて〜」と言ったので吾輩は低い位置の商品の前に置いてあった椅子の上に置いた。
吾輩が「椿餅」が欲しいと言うと、「生と日持ちするのがあるけど生は明日までよ〜」と言った。
吾輩はすぐに食べるつもりだったのだがたくさん食べられないので「生」を2個だけでもいい?とおばあちゃんに訊いて「いいよ〜」と返事をもらったので吾輩は「生」を2個お願いした。
・・・なんだかここまで書いてて今回は山下清の文体に似てきているような気がしている。どうしたのかな・・・(≧∇≦)
1個税込100円なので200円だ。現金100円1枚と50円玉2枚がちょうど財布の中にあったので小銭入れが空っぽになりスッキリした。
現金払いで嫌なところはお釣りをもらわねばならないことなのだ。ジャラジャラと小銭でね。その点今回はちょうど200円あってスッキリして良かったのだ。
おばあちゃんは丁寧にピンク色のチェック柄の小さい紙袋にペタペタと店名と商品原材料名などが印刷されたシールを貼ってから丁寧に吾輩の頼んだ椿餅2個を入れてセロテープでこれまた丁寧に口を閉じてから吾輩に手渡してくれた。
おばあちゃんは何十年もこんな風に丁寧に仕事をしてるんやろな〜と感慨深いのだった。
2.汽車の中で食べた



吾輩は蒸気機関車が牽くSLばんえつ物語号に乗ってから「椿餅」の袋を開けた。
中から出てきたのは「ゆべし」のようではあるが羊羹のようでもあり「ういろう」のようでもある、なぜか片面だけ固化したような見映えの物体だった。
2個だけど、長方形を斜めに切ってくっつけた状態で紙に包まれていた。
1個などの奇数個だったらバランスが悪くなるかもしれないな、と思った。
それにしても、なぜ直角に二等分しないのか? と思った。
斜め切り、というのがなんとなく粋な気がするが。
上面にあたる、固くなった片面は心地よく香ばしかった。特にくるみの香りと味が濃厚だ。
そんじょそこらの「ゆべし」ではなく、唯一無二の食べ物だこりゃ。
だから「椿餅」って言ってるべさ!
・・・と怒られた気もした。
「椿餅」は「椿餅」なんや。うん、わかった。
・・・でも、餅米使ってないし。小麦粉多いし、そこに少しの米粉やし。
・・・やっぱり「ういろう(外郎)」的なのであった。
で、吾輩は一般の「ゆべし」よりも圧倒的にこっちの食感と味の方が好みだ。
「ゆべし」は一般的にねっとりとした粘りがあって噛み付くと伸びるように変形するが、この「椿餅」は割と原形を留めたまま噛み切ることが出来、歯離れも良く、吾輩好みなのだ。
吾輩は恐れ入った。2軒和菓子屋さんを巡ったついでに出来心で3軒目に来てお腹もいっぱいだったから2個だけにしたのだが、明日まで有効、いや、切符ではないので明日までのおすすめ賞味であればもっとたくさん買えば良かったな、と少しく反省するのだった。
「生」が10個入りで税込でちょうど1,000円のやつがショウケースにあったので次回はそれを買うんだな、やっぱり。(なんとなく山下清口調)
3.伊勢屋の歴史
天正18年(1590年)、豊臣秀吉の命により蒲生氏郷が伊勢松坂から会津に入封した際、主君に従って伊勢から移り住んだ職人が、伊勢の菓子作りの技術を伝えたのが始まりとされている。「伊勢(松坂)から来た」という自らのルーツを屋号に掲げた。
戊辰戦争の火災により正確な創業年や古記録は焼失してしまったようだが、江戸時代を通じて会津藩の暮らしに溶け込み現在までその名と味を受け継いでいる。
かつての店舗は日新館(藩校)の近くに位置していたため、「白虎隊の少年たちも、学びの合間にこの椿餅を食べていたのではないか」というロマンあふれるエピソードが地元で語り継がれている。
高級な贈答菓子だけでなく、日々のおやつとして愛される「おだんご」や「大福」などの朝つき菓子に定評があり、地元会津の人々にとって「いつもの味」を守り続けている名店だ。
4.伊勢屋の「椿餅」のゆべしとの違い
一般的に「椿餅」といえば道明寺粉でお餅を作り椿の葉で挟んだ平安時代以来の菓子を指すが、会津(特に伊勢屋)の椿餅は全く異なる。
小麦粉をベースに、砂糖と醤油で甘辛く味付けし、たっぷりのくるみを加えて蒸し上げたものだ。
福島県で広く親しまれている「くるみゆべし」と材料や製法がわりと似ているが、伊勢屋の椿餅はより弾力が強く、醤油の香ばしさとくるみの食感が際立つ、どこか素朴で力強い味わいが特徴だ。
5.なぜ「椿餅」か?
平安時代からある一般的な「椿餅(つばきもち)」とは異なり、会津の伊勢屋の椿餅には独自の物語がある。
かつて伊勢屋は、鶴ヶ城(若松城)の北側にあった「南町大橋通り」付近に店を構えていた。
そのお城の北側にある坂道が「椿坂(つばきざか)」と呼ばれていたことから、その名を冠して「椿餅」と名付けたと言い伝えられている。
また、会津地方では古くから冬の厳しい寒さの中で艶やかに咲く椿の花のように、「厳しい冬を越えるためのエネルギー源」として、腹持ちがよく栄養価の高い(くるみ入りの)餅菓子が重宝されてきた。その力強さや親しみやすさを込めて、この名で呼ばれ続けているとも言われている。
6.参考
伊勢屋の椿餅は、時間が経つと少しずつコシが強くなるとのことだ。(吾輩はすぐに食べたのでそれは感じなかった)
その場合、そのままでももちろん美味しいが、ほんの数秒だけ電子レンジで温めると、つきたてのような柔らかさと醤油の芳醇な香りが一気に立ち上がるとのことだ。
次回10個買った時には、次の日にそうして食べてみようと思うんだな、やっぱり。(今回はなぜか山下清口調)
(おわり)
