LINEの「既読」は、祈りから始まった
スマホを置いて、
お茶を入れに台所へ行く。
戻ってきたら通知ランプが点いている。
開く。
「既読」がついている。
返事は、ない。
ちょっとだけ、心臓がざわつく。
たぶん今、
日本のどこかで何百万人が
同じことをやっている。
あの2文字は、いつから
こんなに重くなったんだろう。
「既読」はどこから来たのか
2011年3月11日。
電話はつながらなかった。
メールも届かなかった。
誰かの無事を確かめる方法が、
なかった。
その3ヶ月後、
LINEが世に出る。
「既読」は、
メッセージを開いたことを通知する機能ではない。
「読んだ=生きてるよ」というサインとして、
震災の経験から組み込まれた。
返事を打てない状況でも、
「読んだ」という1ビットだけで
無事が伝わる。
あの2文字は、
誰かの安否を祈る人のために、
作られた。
なぜ「読んだよ」が「返さないの?」に変わったのか
15年経った今、
「既読」の意味はすっかり別物になっている。
「読んだよ=生きてるよ」だったはずが、
「読んだのに返さない=失礼」になった。
しかも、年々悪化している。

2014年のMMD研究所調査では、
LINEの既読でストレスを感じる人は44.3%。
それが2024年のマッシュメディア調査では、
51.9%まで増えた。
10年で7.6ポイントの上昇。
若年層に絞れば、もっと跳ね上がる。
野村総合研究所の2024年レポートは、
Z世代のSNS疲れから
「あえて一人で過ごしたい」という消費が
生まれていると指摘している。
つながりが疲労になり、
疲労が、お金で買う「ひとり時間」に変わった。
善意が、監視になった。
安否確認が、返信義務になった。
同じ2文字なのに、
受け取る側の感情がまるで違う。
「オフにできない」という設計
ここが不思議なところなんですが、
LINEの既読機能は、
設定でオフにできません。
通知は消せる。
ブロックもできる。
でも「既読」だけは、
ユーザーが選べない。
WhatsAppには「ブルーチェック」、
iMessageにも「開封確認」がありますが、
どちらもユーザーがオフにできます。
消せないのは、LINEだけ。
震災を理由に実装された機能が、
15年間、一度も
「消す選択肢」を与えられていない。
便利さは、
一度手に入れると
手放す方法がなくなる。
データで見る「既読」
・LINEの国内月間アクティブユーザー: 約9,700万人(2024年、LINEヤフー公式)
・LINEの通知・既読でストレスを感じる人: 51.9%(マッシュメディア 2024年調査)
・10代のSNS利用率: 54.7%(2012年)→ 81.3%(令和6年厚生労働白書)
・20代女性でSNS疲れを感じた経験のある人: 65.0%(2022年アスマーク調査)
・LINEリリース日: 2011年6月23日(東日本大震災の約3ヶ月後)
・既読機能をオフにできるアプリ: WhatsApp、iMessage、Facebook Messenger。LINEは不可
たぶん明日も、
誰かの「既読」を気にする。
でもあの2文字が元々、
「生きてるよ」だったことを知っていれば、
少しだけ、見え方が変わるかもしれません。
便利になったのか、
窮屈になったのか。
たぶん、両方です。
Q. 既読機能をオフにする方法はあるの?
A. 2026年4月現在、LINEの既読機能を公式にオフにする設定はありません。機内モードで読む、通知プレビューで確認するなどの回避策はありますが、送信者側の「既読」表示を消す方法は存在しません。
Q. 海外のメッセージアプリにも既読機能はある?
A. WhatsAppの「ブルーチェック」、iMessageの「開封確認」など、多くのアプリに同様の機能があります。ただし、いずれもユーザーがオフにできます。オフにできないのはLINEの大きな特徴です。
Q. スマホとの距離感を見直すヒントはある?
A. 夜のスマホ習慣について書いた記事もあります。「あと5分」が止まらない仕組みを知ると、「既読」の呪縛も少し軽くなるかもしれません。
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