日銀が金利1%にしても、米は増えない
日銀の利上げを見て、
強い違和感が残りました。
違和感というより、
怒りにかなり近い。
ただ、
そのまま怒っても、
読者には悪口に見えます。
だから、
生活の言葉に直します。
今回の判断は、
米びつが空に近い家で、
買い物に行く足を
わざわざ重くするようなものです。
米が足りない。
燃料が高い。
材料が入らない。
人手も足りない。
そういうときに、
「借りる値段」を上げる。
これが、
かなり危うい判断だと思います。
金利は「借りる値段」です
金利は、
お金を借りるときの値段です。
金利が上がると、
借りる負担が増えます。
家を買う人なら、
住宅ローンが重くなる。
会社なら、
機械を買う。
倉庫を建てる。
トラックを増やす。
人を雇う。
そのためのお金が、
前より借りにくくなります。
すると、
「今はやめておこう」
という判断が増える。
つまり利上げは、
買う力や投資する力を
冷やす道具です。
ここまでは、
とても分かりやすい。
問題は、
何を冷やしているのかです。
物価高には二種類ある
物価が上がる理由は、
大きく二つあります。
一つは、
みんなが買いすぎている場合。
欲しい人が多すぎて、
商品が足りない。
このときは、
買う力を少し冷やせば
値上がりは落ち着きやすい。
これを、
ディマンドプル・インフレと
呼びます。
需要が引っぱって起きる
物価高です。
もう一つは、
作る側の費用が上がる場合。
燃料が高い。
原材料が高い。
農家が続けられない。
部品が入らない。
物流が細い。
こちらは、
コストプッシュ・インフレです。
作る側の費用が上がって、
価格を押し上げる物価高です。
この場合、
問題は財布の中だけではありません。
田んぼ。
水路。
船。
トラック。
工場。
倉庫。
人の手。
そこが細っている。
買いすぎの熱と、
作る力の細り。
ここを混ぜると、
薬を間違えます。
今回の利上げは、どこが危ういのか
足りないものを増やす局面で、
借りる値段を上げている。
今回いちばん引っかかるのは、
ここです。
米が足りないなら、
田んぼを守る。
農家が続けられるようにする。
水路を直す。
倉庫を整える。
物流を太くする。
そういう話になるはずです。
なのに、
そこで利上げです。
たとえるなら、
米が足りないから
農家の機械ローンを重くする、
という話に近い。
それで米は増えますか。
増えません。
むしろ、
次の作付けが
もっと苦しくなるかもしれない。
原油が高いから利上げ、
という話も同じです。
日本の金利を上げると、
中東情勢は落ち着くのでしょうか。
原油が湧くのでしょうか。
海の安全が戻るのでしょうか。
戻りません。
なのに、
国内の企業や家計の負担は
先に重くなる。
物価対策という顔をして、
作る力まで冷やしかねない。
そこが本当にまずい。
信用創造は、生活の話でいい
信用創造という言葉があります。
いきなり出てくると、
読む気がなくなります。
でも、
話はそこまで遠くありません。
銀行が会社にお金を貸す。
すると、
会社の口座に預金ができます。
そのお金で、
機械を買う。
人を雇う。
倉庫を建てる。
うまく回れば、
将来の作る力になります。
もちろん、
何でも借りればいいわけではありません。
投機や無駄遣いに流れれば、
別の問題になります。
でも、
必要な投資まで止めると、
国の足腰が弱ります。
家計でも同じです。
無駄遣いを減らすのは大事です。
でも、
雨漏りの修理まで先送りしたら、
あとで家そのものが傷みます。
節約と修理を
一緒にしてはいけない。
日銀の資料にも、迷いは出ている
日銀は2026年6月16日、
補完当座預金制度の利率を
年0.75%から年1.0%へ
引き上げることを決めました。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/mpr260616c.pdf
6月24日に公表された
「主な意見」には、
利上げを続けるべきだという意見もあります。
一方で、
中東情勢などの供給ショックでは、
生産や雇用が下がるリスクを
重く見る慎重な意見も出ています。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2026/opi260616.pdf
つまり、
日銀の資料の中にも、
「物価が上がった、だから利上げ」
だけでは済まない話が出ている。
それでも利上げに進む。
だから、
強い違和感が残るんです。
総務省の2026年5月の
消費者物価指数は、
総合が前年同月比1.5%上昇。
生鮮食品を除く総合は1.4%、
生鮮食品とエネルギーを除く総合は
1.8%上昇です。
物価は上がっている。
それは事実です。
でも、
国中が買いすぎで燃えている、
という数字には見えません。
むしろ、
燃料や食料や供給の細りを
分けて見る局面です。
そのときに、
金利だけを主役にする。
これは、
かなり危ない判断だと思います。
金利で、米は増えない
米は、
数字ではありません。
田んぼがいる。
水がいる。
機械がいる。
農家がいる。
倉庫がいる。
運ぶ人がいる。
それがつながって、
やっと茶碗に届きます。
金利を上げても、
田んぼは増えません。
水路も直りません。
農家の後継ぎも、
急には出てきません。
橋も金利で直りません。
人も金利で育ちません。
金利は、
お金の流れを調整する道具です。
万能の修理道具ではありません。
だから、
物価が上がったときに
まず見るべきなのは、
これです。
これは買いすぎなのか。
それとも、
作る力が痩せているのか。
米びつが空に近いとき、
財布のひもだけ締めても、
茶碗は満ちません。
そこを見ない利上げは、
愚かだと思います。
FAQ
Q. 利上げは全部悪いのですか?
A. そうではありません。
買いすぎで物価が上がる場面なら、
利上げは必要になります。
今回の問題は、
作る力の細りにまで
同じ薬を当てていることです。
Q. コストプッシュ・インフレとは何ですか?
A. 作る側の費用が上がって、
価格が押し上げられる物価高です。
燃料、原材料、物流、人手不足などが
重なると起きやすくなります。
Q. なぜ米の話にするのですか?
A. 米は、
供給力が目に見えるからです。
田んぼ、水路、農家、倉庫、運ぶ人。
金利を動かしても、
それらは急には増えません。
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