連想ゲーム
いや、だから、アルゼンチンタンゴではバラの花をくわえて踊るなんてことはないんですって。(タイトルイメージ by Gemini AI 。だからAI もこーゆー誤解画像をサクサク生成しないでよ~😭←八つ当たり)
でも、この誤解はあなただけじゃない。一体どうしてこういうイメージが広まっちゃったのでしょう?
元凶はルドルフ・ヴァレンチノ?
あちこちで書かれているのはハリウッド映画、特に1921年のサイレント映画『黙示録の四騎士』がそのイメージのもとになった、という説です。この復讐モノ・アクション映画にアルゼンチン人のガウチョ、フリオ役で出演したのが若きルドルフ・ヴァレンチノ(ちなみに彼はイタリア=フランス系アメリカ人)。ならず者というには美しすぎる彼は、酒場のシーンで踊り子と「タンゴ」を踊ります。なぜタンゴかというと、当時世界的に流行していたから😅。くわえて、ヴァレンチノは俳優としてブレークする前にニューヨークのナイトクラブで裕福な女性客を相手に踊るタクシー・ダンサーをしていたこともあるそうなので(モテただろうなぁ)、そういう彼の強みを生かしたシーンでもあります。
サイレント映画なので、どのような音楽が撮影時使われたのか定かでありませんが(上のビデオの音楽は後付け)、振付はアルゼンチンタンゴ風、といえばいえないこともない(わけないか)……。それはさておき、よく見てみると、あれ、ヴァレンチノも相手役もバラをくわえていないじゃないですか🥀。いや、くわえてたらまずいんですけど、じゃあ、どこでバラをくわえたイメージになっちゃったの? フーム、どうやらヴァレンチノの他作品で、彼の相手役のフラメンコダンサーがバラをくわえるシーンがあって、それがごっちゃになったらしいですね……😭。
それともジャック・レモン?
ちゃんと(?)バラをくわえて「タンゴ」を踊るシーンがある有名ハリウッド映画といえば、1959年の『お熱いのはお好き』。マリリン・モンローはちょっと横に置いて、ここではジャック・レモンにご注目ください。マフィアの追っ手を欺くために女装してダフネと名乗るチンピラ役のレモンが、「彼女」に一目ぼれした大富豪の息子と「タンゴ」を踊りにナイトクラブにやってきます。アコーディオン奏者のいるキューバン・バンドが演奏するタンゴの名曲ラ・クンパルシータにのって展開するダンスシーンは「……ダフネ、キミまたリードしてるよ」などなど、笑える要素満載。なので、くわえたバラも(ビデオの2:10あたり)冗談のウチ、と笑ってすませてもいいわけなんですが、でも、なんででこうなるのさ~😭
ほとんど自由連想なんじゃ?
「タンゴだけじゃないよ。バラをくわえて踊るっていうイメージには、フラメンコも昔っから悩まされているのさ!」
😮……というあなたは謎のフラメンコダンサー、カルメンシータ! いや、でも、バイラオーラは、バラをくわえなくても、髪に飾ったりしてるじゃないですか。それに、オペラの『カルメン』でもカルメンがホセに赤いバラの花を……。
「ちょっと待った。メリメの原作ではバラじゃなくって、黄色いカシアの花なのさ。だからバラはオペラの演出さ。それに、あのオペラはアタシたちが踊るフラメンコ音楽とは別物だっていうのはアンタも知ってるだろう!」
😅そうでした、あれはメリメとビゼーというフランス人クリエイターによる「スペイン幻想」でしたね。じゃあ、タンゴのバラも「演出」で「幻想」? でもその基になったものがわかりませんよ。連想ゲーム的に、タンゴ→情熱的→赤→バラ? でもどっちかっていうと、タンゴ→メランコリー→黒、なんじゃ? よくわからない連想といえば他にもありますねえ、タンゴ→網タイツとか(そうなんです、網タイツはタンゴを踊る時必須じゃないんですヨ)。
演出、幻想、連想、なんにせよ、いったん野に放たれたイメージは墓に戻ることのない亡霊のように……。
……ジェイミー・リー・カーティスは綺麗だけど、ダンスとしてはコレ、もう多次元的に困っちゃうじゃないですか😭。
もちろん、ハリウッド映画以外にもタンゴと赤いバラを関連付けたものはあって、例えば、こちらは1935年のポーランドのタンゴで、その名もズバリ『赤いバラ(Czerwona róża)』🌹
恋心をうたったタンゴで、赤いバラが愛情のシンボルとして二人の間で取り交わされるわけですね。フム、これはなんとなくわかりますね。タンゴ→恋の歌→愛情→赤いバラ。それに、くわえて登場だとヴァレンチノばりのセクシー君でもドン引くけど、花束は嬉しいかも。そんなわけで、皆さん、やっぱ、バラは手渡しのほうがいいですよ。いや、ぜひ手渡しでお願いします!
©2025 Rico Unno, CC BY-ND
