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ひとり編集部 ─半年間ひとりでZINEをつくって見えてきたこと─

毎月、『月刊tote』というZINEをnote上でPDF配布しています。


半年継続できたので、ここではZINEをどんなふうにつくっているのかをお話ししたいと思います。




はじまりのページ

3,653日の毎日更新を経て

2015年元日から2024年の大晦日までの3,653日間(10年間)、毎日暮らしブログを更新してきました。ブログの名前は「365日のとっておき家事」。同名で書籍化されたりもしています。

寝込んでも、出産しても、予約投稿も活用しながらずっと書き続けてきたのは、書き手になる前の”読み手”だった記憶が根強く残っていたからです。

暮らしブログを読むのが大好きだったころ、人気ブロガーさんたちが書籍化や資格取得とともに更新されなくなっていくことがさみしかったんです。

だから、ブログをはじめるとき、自分にルールを課しました。
もし書籍化できても、無料の読みものをたくさん提供していこう、と。

ただ、実際に書き手になってみると、更新できなくなる気持ちは痛いほどわかりました。本を書くからこそ、日々の無料の情報が出しにくくなるのも理解できました。

仕事の忙しさ。家庭を運営していく大変さ。その中で時間を捻出していかなければいけない。いやなこともたくさんありました。それでもなんとかしがみついて10年が経ち──、ある日、ぽっきりと心が折れたんです。


なんのために毎日書いているんだろう?

ブログという媒体そのものが古くなっていくなかで、ブログ内でのランキング順位は変わらないのに、PVは以前の20分の1にまで落ち込んでいました。
つまり、わたし以外も全体的に読まれなくなっているということ。

最低でも毎月15時間以上かけてブログを書いていました。でも、ほとんど読まれない。

もともと広告を最低限にしていたこともありますが、それだけの時間をかけてわたしが得られるお金は、いつからかワンコイン以下になっていました。

むしろ、読者さんの要望で「より安いもの」を探し、たくさん買って試してから掲載していたので、冷静になってみるとかなりの赤字でした。
なんならブログを書き続けるために仕事も減らしていて……。

読まれない。
お金にもならない。
もらうコメントも要望ばかりに変わっていった……。

自分の時間を、お金を。
削って書く意味がわからなくなってしまったんです。

「毎日更新」そのものは、いまも続けています。
それは純粋に楽しいから続けられています。以前はゲームやハンドメイドにあてていた趣味の時間を、そのまま「書く時間」に変えました。

メインの活動場所をnoteに移行してみて、わたしは「書くことを通してだれかとつながりたかったんだ」と思えるようになりました。

でも──。
これまで10年間、応援してくれた読者さんたちにも、もう一度「届けたい」という思いがありました。


いままでの読者さんにも届けられるものは

以前は月に15時間以上かけてブログを書いていたけれど、週1更新に変えたことで、そのうちの12時間以上が自由になったのです。

空いた時間の一部で、あたらしい「届け方」を探してみたい。そこで選んだのが、「印刷できる冊子」作りでした。


それを「ZINE」と呼ぶのは、はじめたあとで知りました。

ブログではなく、配布場所にはnoteを選びました。noteならPDFがそのまま貼れるからです。

とりあえず半年と決めて始めた見切り発車のZINE制作。でも──6ヵ月以上、続けることができています。


『月刊tote』とは

ここで、わたしがつくっているZINE『月刊toteトテ』について紹介します。


「tote」とは?

『月刊 tote』は、暮らしのなかの“ちいさな発見”や“たのしい工夫”を、エッセイやコラムで綴るPDFマガジンです。
note上で毎月発行しており、自宅でかんたんに印刷できるように無料でPDFを配布しています。

タイトルの「toteトテ」は、わたしがこれまでブログで提唱してきた「とっておき家事」を読者さんたちが略してくれた「とて家事」から来ています。

また、こちらは後づけなのですが「tote」という言葉にも意味がありました。「トートバッグ」の「トート」です。
“持ち歩く・詰め込む”を意味する英語の動詞に由来し、日々の暮らしに役立つアイディアや言葉を「トートバッグにざくざく詰めるように、気軽に持ち帰ってもらいたい」という願いも込めています。


とっておき家事とは?

とっておき家事は、ふだんの家事に加えて「1日ひとつ特別なことをしよう」というコンセプトの試みです。

特別といっても「毎日ケーキを焼く」みたいなものではありません。

・夕飯のレシピを、いつもと違う料理家さんのレシピにしてみる。
・玄関が散らかりがちな理由をさぐってみる。
・「ロールケーキの日」だからコンビニでロールケーキを買っておやつにする。

こんなささやかな内容でいいのです。
それでも、毎日同じことだけをしていくよりもちょっとだけたのしいし、きょうのがんばりが未来の自分をらくにしてくれます。


『tote』の基本構成

それでは、月刊『tote』の基本構成について解説していきます。

・表紙

・今月の特集

・今月のノート図鑑(過去に紹介した手帳やノートから)

・今月の寄稿エッセイ(noterさんが書いたものを掲載)

・自分のエッセイor小説1本(過去のnoteから抜粋)

・今月のサブ特集(過ごし方や食べ物などを軸に)

・今月の4ループ家事カレンダー
(4ループ家事は週ごとのテーマ掃除などを4週間サイクルで繰り返していくものそのお知らせカレンダー)

・今月のふろく(余力があれば用意。印刷して書き込めるシート)


『tote』の作業時間は毎月10時間程度

以前『tote』をつくるのには何時間くらいかかっているんですか? と質問をいただいたことがあります。

月にもよりますが、ブログにかかっていた時間より少なく、10時間以下だと思います。時間がかかっているのは2つ。

・noterさんからの寄稿エッセイの募集・感想書き・各種送付作業
・イラスト描き

それ以外はこれまでにつくってきたたくさんのコンテンツに助けられているので、あまり時間をかけていません。

『tote』の作業内容を紹介


0.使用ツールについて

使用ツールを紹介します。

(1)canvaキャンバ

デザインツール。A4用紙を選んで作成。前月のものをコピーして内容を変えていく感じ。文章もここにコピペしたり、直接打ち込んでいます。

(2)CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)

絵はすべてこれを使って描いています。クレヨン風のブラシを使ってざくざく描きます。

(3)ミラーレス一眼・スマホカメラ

どちらも混ぜて使っています。スマホが手軽なので、最近はスマホ多め。


1.今月の暮らしのキーワード集作り(30min)

毎月の作業は「今月の暮らしのキーワード集」をつくるところからはじめます。

キーワード集は、寄稿してくれた方への
限定配布にしてるので隠しています。

エッセイを寄稿してくれたnoterさんへの限定プレゼントにしているものだけれど、これが本誌作りにも役立つのです。

まずは本やWebを参考に、その月の行事や日常風景、食べ物、植物などをパソコンでテキストファイルに打ち出していきます。

最後にAIに他にもないか尋ねてみます。

本は「季節行事」系のものや、家にある「歳時記」、それから自著をつくるときにたくさん調べたので自著『365日のとっておき家事』も参考にしています。

AIが出すものはあまりにも詩的なものが交じることがあり、エッセイを書くうえでは限定的すぎるので精査していきます。
(夏の夕暮れの壊れかけた扇風機…みたいな)


2.寄稿エッセイの募集記事を出す(15min)

無料で制作しているZINEなので、寄稿していただいた記事にお金が払えません。
そのため、お金以外でのお礼を用意しています。

いただいたエッセイへの感想note。
ZINEへの掲載。
暮らしのキーワード集プレゼント。
ZINEの掲載画像プレゼント……。


募集記事は半年間ですこしずつマイナーチェンジを重ねていますが、すでにあるものを複製して内容をチェックしていくのでそこまで時間はかかりません。


3.「今月の特集」を書く(30min)

キーワード集と過去のブログを参考に「今月の特集」を決めていきます。

たとえば1月号はやりたいことを決める「バケットリスト」、2月号は自分の芯をつくる「コア・ブック作り」にしました。
「野の花観察」のようなアウトドアなテーマもあるし、「スプリングタイム(時間術)」や「パッキング」などの実用的なものもあります。

特集が決まったら実際に書いていきます。過去のコンテンツで思考が言語化されているため、見開き2ページを書くのは30分程度。
写真が図解が必要な場合、追加で30分程度伸びる可能性はあります。


4.「今月の1記事」をつくる(15min)

わたしにはすでに4,000以上のコンテンツがあります。
だから、新しく書き下ろすのではなく、過去のエッセイやブログ、小説からお気に入りで時期的に掲載できそうなものを探し、体裁を整えています。

▼例 




5.感想note作り(180~360min)

noterさんたちから集まったエッセイについて、感想noteを書いていきます。
月々の応募は3~6名。ひとりあたり30~60分程度。エッセイを何度も読み込んで気づいたことをメモしながら進めます。
(速読とタイピングが得意なので時間はそこまでかからない)

さらに、直近の記事を10記事程度読み、その中からおすすめ3記事を選びます。


▼これまでに書いた感想はこちら。


6.noterさんからのエッセイページを作成する(30~60min)

いただいたエッセイをZINEに掲載するため体裁を整えていきます。
ひとりあたり10分程度。この時点ではまだ挿絵がないので、時間はかかりません。

おひとりずつ似合いそうなカラーを決めてデザインを微調整。短い感想を書いて、最後に挿絵を。

7.今月のサブ特集を2つ作る(60min)

その季節に合わせたサブ特集ページを2つ程度つくります。

▼サブ特集の例

右ページのように、
みなさんにアンケートをとることも。


8.挿絵用のイラストを描く(60~120min)

noterさんのエッセイで3~6個。
各ページの挿絵として5~10個。

クリスタを使用し、クレヨン風のブラシを使って描いていきます。


9.4ループ家事カレンダーの更新(10min)

4ループ家事カレンダーを今月・来月の内容に合わせて変更します。

▼こちらは家事ブログの読者さんに人気だったもの。

たとえば「Output」の週なら、「ToDOコース」「WantToDoコース」「デジタルデトックスコース」のなかから、自分でひとつ選びます。
「ToDoコース」なら「1分アウトプット」「30個アウトプット」「俯瞰アウトプット」の中からさらに選びます。

やり方がわかるようにQRコードで該当ページに飛べるようにしています。


10.表紙をつくる(15min)

表紙をつくっていきます。

▼7月号の表紙



先の月を描くため、リアルタイムで撮るのがむずかしいです。写真は過去のものから探していくことが多く、場合によってはすこしだけイラストを書き加えたりも。

この7月号は、「泡」「アイス」「さくらんぼ」を写真に描き込んでクリームソーダみたいに仕上げています。


11.ふろく作り(15~60min)

余力があれば、今月の特集と連動したふろくを用意していきます。


6月号特集で紹介した「お片づけゲーム」
デドスペハントに使えるシート


デイリープランナー。


『tote』をつくってよかったこと

『tote』の作業は、決してらくではありません。でも、やってみてよかったことはたくさんあります。

1.「流れていかないコンテンツ」作り

ご自宅で印刷してもらうかたちになりますが、Web上に載せた文章とはちがい、流れていかずに手元に残ります。
もともと「家事ブログ」時代に、セブンイレブンでのネットプリント配布を行なっていました。喜んでいただけたものの、近くにコンビニのない方にはご対応できないのが悩みだったんです。
PDFをかんたんに配布できるようになったことで、手元に残る紙ものというかたちでお届けできるようになってよかったです。

2.人とのつながり

エッセイ募集を通して、いろいろな方とお話しする機会がありました。寄せられたエッセイは、感想をかくためにじっくり何十回も読みます。読むごとにちがった発見があり、読めば読むほど、応募してくれた方の文章が、お人柄が好きになっていきます。

3.頭のなかにあるものがクリアに

毎月文章を書いていくうちに、頭のなかにあるものがクリアになっていく感じがありました。また、季節を先取りしてつくるので、実際にその時期になる前のウォーミングアップができるような感覚があります。


以上が、わたしのZINEのつくりかたでした。これまでの記事をご覧になりたい方はこちらからぜひ。エッセイの寄稿も募集しています。

※先月・今月は、創作大賞でいっぱいいっぱいなので作業時期を遅らせています。



▼これまでに発行したtote





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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡