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創作大賞感想 (影山さくらさん)


創作大賞、おつかれさまでした!

応援期間は終わってしまいましたが、感想をお届けします。


▼小説は締め切ったけど、エッセイはまだ読めます。




ごあいさつ


創作大賞への応募期間は書くのに全力。20作書き下ろしました。

残りの1週間──応援期間は、感想をくださった方の作品を読み込んで書くのに費やしていました。エッセイ中心の方なら全作品読んで感想を書きました。

全員にお届けしたくておひとりずつ読む時間を決めていたため、作品の長さによっては複数読むのがむりだったこともあるのですが……なるべくたくさん読むように心がけました。

終わってから数えてみたら、21名94作品の感想を書いていました。
お礼のきもちを込めてのラブレターみたいな感じになりました。


並行でいろいろやることを進めていたので(毎月のZINE作りやシート作り、仕事などなど)、どうしても、新しい作品を発掘して感想を書くことどころか、親しい人の作品を読みに行くことも叶わず……。

応援期間は終わってしまいましたが、それでもよければ、ぜひ感想をお届けしたいなあと思って募集をしました。

自分の経験上、こういう、全力を出してがんばるものをしたあとって、反動で疲れちゃうんですよね。
ぽっかりと空いた感覚があって。だから、感想をお届けすることで、すこしでもその寂しさを埋められることができたらいいなと思いました。

もちろん自分の中の空白も。

エッセイ枠・小説枠、それぞれ応募順に読ませていただきます。
小説は1感想に1つまでにするので、エッセイとは順番が前後する可能性があります。

→次回も小説1つとエッセイ1つの予定です。

↑ で触れていたスペースは、アーカイブがほしいという声をいただいたので議事録というかたちで公開しました。




霧の彼方へ /影山さくらさん


厚みのあるファンタジー作品を読むのは久しぶりだと思った。

子どものころから、日常ではありえない世界の物語を読むのを好んでいた。おとなになってからは、時間のなさや、こころの忙しさもあって、軽く読めるファンタジーを日々楽しんでいる。

影山さくらさんのこの作品『霧の彼方へ』を読み終えて頭に浮かんだのは、たとえば『ナルニア国物語』や『ハリー・ポッター』のような、厚みのあるファンタジー作品だ。


西の海で漁をして生計を立てている少年・サンは、彼の住むエスト共和国を外から阻むように立ち込めている霧に「裂け目」が入っているのをみつける。エスト共和国は、荒れた孤島である。
貴族の少年エヴァンに巻き込まれ、霧を抜けることに。その先には、豊かなダイン王国があって──。

さらりと短時間で読めるタイプの文章ではない。

淡々と静かに、重みのある語り口で進んでいくので、まるで神話を読んでいるような気持ちになる。けれども、そこにあるのは冒険譚でもあり、成長や別れといったさまざまな感情を刺激されるような物語。

最後までどうなるのか緊張しながら読んだ。

読み終えたとき、自分がまるで長い、長い旅をしてきたような気持ちになり、しばらく言葉が出なかった。脱力したといえばいいのだろうか。

うまく言語化できないことがもどかしいのだけれど、読み終えてすぐに感想を書くことはできず、自分のなかで消化していく時間が必要だった。



影山さんの作品は、以前も読んだことがある。

そちらは、現実世界を舞台にした、リアリティあふれる作品だった。登場人物みんながしっかりとしたキャラクター性を持っているのだけれど、主人公が頭ひとつ抜けるように濃い。

こちらは「躍動感」のある物語だった。

こちらの作品にも重厚さはあるのだけれど、物語のジャンルが違うということではなく、決定的な違いがあった。

それこそが躍動感だ。
主人公が強すぎて、引っ張られるように進んでいく感じ。

対してこちらの作品『霧の彼方へ』は、同じく厚みのある物語でありながら、まったくテイストが違う。
主人公のサンは、落ち着いた印象の、すこし年齢よりも大人びた雰囲気に思えた。個性の強さでいうならば、身分が違うものの弟分でもあるエヴァンのほうが濃い。

この作品には静かな引力がある。
淡々と進んでいくのに、気がつくと遠いところまで押し流されている。──なんといえばいいのだろう、引き波のようにあっという間に最後まで連れて行かれたという雰囲気。

濃いキャラクターというよりも、ファンタジー世界でありながら、地に足のついた人物像。それぞれの欲や思惑、正義がある。それを善悪の外側から傍観者として眺めていく。

霧の彼方へ向かったサンが、知らなかった国で過ごした時間のこと。隠された歴史。そして、最後にサンが選んだこと──。何度も頭の中で反芻してみて、この結末を含めてこその作品の良さが、霧のようにひそやかにこころを覆っていく感覚があった。



どちらの作品にも違った良さがあったけれど、もしもひとつしか推せないとしたら、わたしは『霧の彼方へ』を推すと思う。

読み終えたあとの、「ああ、終わってしまった」という、いっしょに旅をしてきたような感覚。これを、ほかの人とも分かち合ってみたい。







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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡