創作大賞感想 (maiさん/アルロンさん)
創作大賞、おつかれさまでした!
応援期間は終わってしまいましたが、感想をお届けします。
▼小説は締め切ったけど、エッセイはまだ読めます。
ごあいさつ
創作大賞への応募期間は書くのに全力。20作書き下ろしました。
残りの1週間──応援期間は、感想をくださった方の作品を読み込んで書くのに費やしていました。エッセイ中心の方なら全作品読んで感想を書きました。
全員にお届けしたくておひとりずつ読む時間を決めていたため、作品の長さによっては複数読むのがむりだったこともあるのですが……なるべくたくさん読むように心がけました。
終わってから数えてみたら、21名94作品の感想を書いていました。
お礼のきもちを込めてのラブレターみたいな感じになりました。
並行でいろいろやることを進めていたので(毎月のZINE作りやシート作り、仕事などなど)、どうしても、新しい作品を発掘して感想を書くことどころか、親しい人の作品を読みに行くことも叶わず……。
応援期間は終わってしまいましたが、それでもよければ、ぜひ感想をお届けしたいなあと思って募集をしました。
自分の経験上、こういう、全力を出してがんばるものをしたあとって、反動で疲れちゃうんですよね。
ぽっかりと空いた感覚があって。だから、感想をお届けすることで、すこしでもその寂しさを埋められることができたらいいなと思いました。
もちろん自分の中の空白も。
エッセイ枠・小説枠、それぞれ応募順に読ませていただきますが、小説は1感想に1つまでにするのでエッセイと順番が前後することがあります!
↑ で触れていたスペースは、アーカイブがほしいという声をいただいたので議事録というかたちで公開しました。
子どもが好きで授かったわけではないと気づいた1年前の私へ/maiさん
どきりとするタイトル。まずは一気に最後まで読み進めた。そうして最初に戻ってきた。もう一度、じっくり読みたい──。そう思わされるような、肉厚なエッセイだと思った。
maiさんのこのエッセイは3部構成になっている。
「妊娠時の回想→当時書いたもの→今のmaiさんから妊娠中のご自身へ向けての手紙」という順番だ。
1年前の今ごろ。私は35年間生きてきて、初めて見る自分の体型に戸惑っていた。
こんな印象的な書き出しからはじまる。
(余談だけれどお誕生日が7月以降なら同学年かもです……!)
うれしい一方で、当時書いたもの(note? 日記?)には思いがけない気づきが残されていた。
読んでみて思った。「とにかく子どもが好き!」という考えで母になる人は、どれくらい、いるのだろう。
周りでは少数派のような気がしている。それでいて、わたしも、maiさんと同じように、自分の想いの薄さに悩んだことがある。
この部分──。どきりとさせられた。
「痛いのが怖い」とか、「仕事どうしよう」とか、「いろいろ生活変わってしんどそうだな」とか。自分のことばかり心配してる自分に気づいて。
私って子どもへの想いが薄くない……?
そこで初めて、自分の薄情さを突きつけられた気がした。こんな状態で私は母になれるのだろうか。そもそも私は子どもが好きなんだろうか。
ここから続いていく、過去にmaiさんが書いたもの。共感があった。
すこしわたしの話をする。
妊娠したとき、わたしも自分のことばかり心配していた。そして、同じように思った。
子どもが生まれたら、あるいは、もっと早く、妊娠したら。その瞬間から自分は「母」になれるのだと思っていた。だって、創作物の母親ってそうじゃないですか。
自分を犠牲にして子どもを守る。
その身に宿った瞬間から、
いつでも子どもを中心に考えることができる……。
わたしはそういう創作物のなかの「母親たち」を見るたびに、まず自分のことが来てしまう自分自身を恥じたし、責めていた。
そんな娘が9歳になった今だから言えるとしたら「そう思っても仕方ないよ」って思うのだけれど。
そもそも、未知すぎる。わたしは5歳下の弟よりも年下の子と一切関わったことがないまま出産を迎えた。子どもという存在が、よくわからなかった。そんな状態で、子どものいる暮らしを想像できなくたって仕方がないのだ。
そんなふうに、言ってあげられる。
けれども、妊娠中は、変わっていく体型、今後の不安、痛みへの不安……きっとみんな、いろんなことが心配で、配偶者からのサポートがあまりない人もきっといるだろうし、とにかく、ナーバスになりがちだ。
だから、そう思っていた自分を今なら責めずにいられる。
ここまで読んで、このエッセイは、妊婦さんのこころを救ってくれるものなのではないかと思った。
今感じている想いをきっと代弁してくれている。
そして後半の手紙パートを読むことですこし気持ちが軽くなるのではないか。また、手紙パートを通して"生きた出産体験”を覗けるのもうれしい。
それだけじゃない。わたしのように、すでに出産を経験した母にとっても。一気に当時に引き戻されるような、そして、だれにも打ち明けられなかった不安を肯定してもらったような感じがある。
読めてよかったです。書いたとおり、過去の不安を肯定してもらったような気分になれました。ありがとうございます!
人嫌いの僕が畜産学部で学んだ、人と関わるということ / アルロンさん
人間が、嫌いだった。
えっ……。どきりとするような書き出し。
タイトルにも「人嫌い」とあったけれど、どういうことなのだろう。そう思いながらスクロールしていく。
ああ……。
思わず言葉を失った。わたしも人間関係のトラブルをいろいろ経験したけれど、すべてが陰で行なわれることだった。一度、足を引っかけられてころばされたくらいだろうか。
男性同士のトラブルはもっと直接的なのだ。自分の学生時代を振り返ってみても、そう思わされた。
信じても、裏切られる。自分の居場所がどこにもなくて、学校に行けない時期もあった。
この感覚もすごくよくわかる。
わたしは学校に行く日を合法的に(?)減らすために、課外活動に注力したり、短期だけど留学したりした。
そんなアルロンさんを救ってくれたのは2つのこと。
そして、そこから「獣医」になってみたいという夢を抱くが、進学時点で方向転換を経験することになる。
「畜産学部」に進んだアルロンさんは、心を弾ませながらやってきたのだが──。寮生活、部活、そして学業がところどころユーモアと大変さが滲みながら語られている。
中でも学業のシーンはとても興味深い。
「この大学に入らなかったら一生体験することなかっただろうな」と思うようなものまでさまざまだ。
と書かれているように、衝撃的だ。以前、北海道の酪農高校を舞台にした漫画『銀の匙』を読んでいたので、すこし記憶に残っていることもあるけれど、創作じゃなくて、現実にあるのだ。
ふつうに大学生をやっていたら想像もしないようなことばかり。畜産学部は、命を学ぶ学部なのだと、読んでいて思った。
ここからは、アルロンさんが進級し、大学での出来事を総括したまとめのようなパートなのだけれど、前半を読んできたからこそ、胸が熱くなる。ここはぜひ読んでみてもらいたいので、あえて書かない。
そしてラスト。
人間が、嫌いだった。
ここからはじまるアルロンさんのたどり着いたゴールは必見だ。
わたし自身、アルロンさんとリモートでおしゃべりしたことがあるのだけれど、すごく話しやすかった。誠実で気遣いもできるアルロンさんなので、過去のパートはとても胸が痛んだ。
わたしも結婚する前までは大概しんどい人生だったけれど、最近思う。たぶんわたしの生来の気質は、傲慢で、優しさとかとは無縁なのではないか、と。
でも、自分がつらい目にあってきたから、こういう思いを人にはさせたくないなと気をつかうようになった。
そう考えたら、あのつらい時代にも意味はあったのではないか。このごろはそんなふうに思っている。
(そして創作の種にして明るく傷つけずに復讐をするのだ!)
▼あとこれ、アルロンさんが描いてくれたわたしも載っているのでぜひ見てほしい! すごい好きなポケモンばかり。かわいいの選んでくれててすっごくうれしい!!!
maiさん、アルロンさん、読ませていただけてよかったです。どちらも胸が熱くなる作品でした!
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最後までお読みいただき、ありがとうございます♡