『アルケミスト』はただ「夢を追え」とは言っていないー「戦う覚悟」|C子の読書感想文
「万物がひとつであること」
「夢を追い求める時、全宇宙が協力してくれる」
昨日。
会社の先輩、F美さんが笑いながら言った。
「昔は、女だから昇進できなかったのよ」
私は笑えなかった。
なぜなら、
その背中を見て、
私は資格を取ることを決めたから。
その時、
何度も読み返した本がある。
『アルケミスト』だった。
若い頃、この本を開いた時は
「なんてドラマチックな世界観なの!」
と胸が躍った。
運命の王子様(前兆)はどこにいるんだろうって、
本気で空を見上げていた。
あれから20年。
社会で揉まれ、
世間の現実に打ちのめされても、
私はやっぱりこの本を捨てられない。
なぜなら、
大人になった今だからこそ分かるから。
「前兆」を信じるというのは、
おめでたい妄想じゃない。
「自分の人生を、自分の足で生きるための決意」
なんだって。
宝物は結局、足元にあった。
だからといって、
「今ある幸せに目を向けず、まだ見ぬどこかを探している自分への戒め」
というような、
いわゆる『青い鳥』の話ではないと私は思っている。
自分の夢を信じ、旅に出る。
時には傷つけられ、
騙され、
奪われ、
誰を信じていいのかも分からなくなる。
「なんのためにこの旅を続けているのだろう」
「夢なんて追わなくても、ここで大切な人と一緒に生きる幸せを選ぶべきではないか」
——そんな思いが、様々な試練となって少年を試す。
そうやって少年は、何度も夢を諦めそうになる。
そのためには「前兆」の導きに従うこと。
その前兆とは、
茶柱が立ったから宝くじを買う、
といったような安易なものではない。
私の会社の先輩、F美さん。
彼女はとても優秀で、
仕事ができる人だった。
でも、
出世はできなかった。
まだ「寿退社」が当たり前で、
就職活動の面接で
「結婚したら辞めますか」
と、悪びれもなく聞かれた時代。
女性には
「お茶くみ」
という 業務 が当たり前に存在した時代だ。
私は、
F美さんという存在を
ひとつの「前兆」
だと思った。
「今の仕組みのままでは、
どれだけ優秀でもこうなってしまう。
私がこのまま仕事を続けていくなら、
自分を武装しなければならない」
私は勉強をした。
資格を取った。
大学院にも通った。
「女である自分」に、
性別を超えた能力を客観的に証明するために。
それは、決して簡単なことではなかった。
仕事をしながら資格を取り、勉強を続ける。
「こんなことをして本当に意味があるのだろうか」
「どうせ何も変わらないのではないか」
自分自身の弱い心が自分自身を試す。
外野からは心ない声も聞こえてきた。
「あんなに勉強して何になるの?」
「見た目で戦えないから、結婚を諦めたの?」
それでも私は初心を忘れず、
やり遂げ、
認められ、
今のポジションを勝ち取った。
大切な宝物は、最初から足元にあった。
でも、
その意味に気づかずに通り過ぎていたわけではない。
宝物がどこにあろうと、
目指そうと思わなければ人はまず一歩を踏み出さない。
大人になると、
その一歩を踏み出すには相当な覚悟と勇気が必要だ。
そして、
目指して一歩を踏み出しても、
ほとんどの人が途中で挫折する。
やり続けた者だけが、
必ずたどり着くのだ。
たとえその途中で息絶えたとしても——
それは敗北ではなく、
「夢の途中」なのだから。
『アルケミスト』は、
戦うことを選んだ私に、
その覚悟を教えてくれた本だ。
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