見出し画像

パンジー(真鍋ちえみ、北原佐和子、三井比佐子)の7インチコレクション(8枚)


真鍋ちえみ「ねらわれた少女」プロモ盤

盤の白いレーベル面に黒マジックで曲名が書いてありました

A面「ねらわれた少女」
B面「蒼い柿」
作詞:阿久悠/作編曲:細野晴臣

アイドルの常識を破った!
82年5月1日リリースシングルのプロモ盤、奇しくも中森明菜と同じデビュー日

商品盤のサンプル(見本盤)ではないマサカのプロモ盤、本チャンのプレスを待たずして、一色刷りの簡易ジャケを作って配って(最近白黒のも見かけた)、それなりにプロモに力を入れていたという証拠なのか、もうジャケには阿久先生の名前はなく、前年ハイスクールララバイでミリオンヒットを出した「細野晴臣プロデュース」とデカデカと、コピーと共にどういう戦略だったのかが垣間見れるが、結果は、、、



真鍋ちえみ「ねらわれた少女」

82年5月1日リリース

A面「ねらわれた少女」
B面「蒼い柿」
作詞:阿久悠/作編曲:細野晴臣

オリコン91位、大傑作と思う反面、オリコン100位以内に入ったことがスゴイとも思ってしまう、しかしヒットメイカーの名ディレクター酒井政利阿久先生にとっては何もなかったことにするレベルであろう、だがおそらく契約でシングル3枚とアルバム1枚を出すことは決まっており、パンジー映画を作ることも決まっており、前進するしかない状況、そしてそれがまた新たな傑作を産む

ジャケの服装などから所謂王道アイドルフリフリ衣装みたいな発想から外れようという意志は伝わるが、なんとなくマジシャンのような何なのか、それが歌の内容とどう絡んでいるのか、皆目見当がつかない、「きみを誰かねらっている」って云ってる貴方の立場は?などと考えていくのも野暮に思えるが、今作も「プレイバックPart2」の「テープの逆回転みたいな曲を作って」と制作陣に指定したというような酒井政利の思いつきで「ミステリアスな、何かにねらわれている設定にしましょう」とかで阿久先生が書き上げ、細野晴臣フィルハーモニーレコーディング中そのままの勢いで作り上げたと想像するが、3者各々のベクトルは全く噛み合ってない、噛み合ってないがゆえの想像を超えたミラクル、唯一無二のアイドルポップが産まれてしまったという他ない、テレビ出演時における仮面をつけた男2人のマイムダンサーも謎過ぎ、スターボーの場合はコンセプトは明確で単にそれがスベってしまっただけだが、これに関してはそもそも何をねらっているのかがわからない、A面が謎過ぎてB面のことを考える余裕はまだない

ヒットソングを創った男たち〜歌謡曲黄金時代の仕掛人という歌謡曲のディレクター陣へのインタビュー本が出て、酒井政利の章もあるが、残念ながら当然の如く真鍋ちえみには触れてはいない

中面クレジット、アイドルのシングルで機材名まで書いてあるのは珍しい



三井比佐子「月曜日はシックシック」

82年6月1日リリース

A面「月曜日はシックシック(SICK SICK)」
B面「ふつつか宵ですか」
作詞:高平哲郎/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀

オリコン93位、ちなみに82年の6月1日は火曜日

82年限定アイドル、計画通りに?シングル2枚とアルバム1枚(ワンダフル天使 CHAKO82年7月21日発売)出してとっとと終了、それこそデビュー前はパンジーの中で1番ルックス(正統派?)がいいと期待をかけられ(3面ジャケ、特典ステッカー付!)、それゆえに筒美京平先生に作曲してもらえて、真っ当なアイドル道を歩むつもりが、全くもって蓋を開けてみるまで分からなかった、まさにデンジャラスゾーン(→セカンドシングルのタイトル)

ちなみに既に歌唱力については当時よい子の歌謡曲にて「80年代における大場久美子の具現者」と発見されてますが、現在であればレコーディングの際にいくらでも修正出来るので(ピッチやタイミングなど)、下手な歌が市場に流れない状況になっており、一概に昔のアイドルは歌がヘタで今の人は歌が上手いとはいえない、しかもカラオケ市場などによる単純に歌える環境の違いから、今の人はある程度歌が歌えて当たり前、逆に昔は機材の関係で歌の修正は難しいから何度も何度も歌い直し、しかし録音テープを何度も廻すと劣化するので時間の限界(喉やスタジオ代も考慮)もありつつ、単純に歌が下手というよりは良くも悪くも後世まで語り継がれる歌というのが生まれたと思っています

B面「ふつつか宵ですか」はより歌唱力を必要とされると思われるワルツのバラード、良く言えばあどけない魅力、悪く言えば歌唱力のしっかりとした人に歌い直してもらいたい、とも思ってしまう、せっかくの筒美メロディであるならば...



真鍋ちえみ「ロマンティックしましょう」

82年8月1日リリース

A面「ロマンティックしましょう」
B面「ハートがピッピッ」
作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:清水信之

全シングル3枚のうち、最初と最後が細野晴臣作品なので、ついつい2枚目を忘れがちですが、こちらは安井かずみ加藤和彦ワーキングカップル作品(このコンビも多くのアイドル曲その他を手掛けている)、こちらの方がアイドル曲としては正当といえば正統、B面「ハートがピッピッ」も大方が予想するテクノ歌謡というものはこういう曲であって、逆に「ねらわれた少女」の独特さが比較すると浮き彫りに



真鍋ちえみ「ナイトトレイン美少女」

82年10月1日リリース

A面「ナイトトレイン・美少女」
作詞:阿久悠/作曲:細野晴臣/編曲:岡田徹
B面「ロマンチスト」
作詞:阿久悠/作曲:細野晴臣/編曲:清水信之

サードシングルはラストシングル

82年は真鍋ちえみの年、って誰も言ってないが、兎に角この年にシングル3枚/アルバム1枚/映画1本を計画通りにやり遂げ、潔くそれ以降は何もなかった、特に宣言はしてなかっただろうが、結果的には1年間限定アイドルだった、しかし作品は生き続け、海外でも再評価、まさかの35年後に新たな7インチがリリースされるとは!(→「うんととおく」のこと)

A面「ナイトトレイン美少女」パンジー(北原佐和子、真鍋ちえみ、三井比佐子)映画『夏の秘密(82年9月18日公開)の主題歌、但し映画ではパンジー3人で歌うヴァージョンで音盤化されていない(YouTubeより抜粋追加)、映画はDVD化されてないので基本レンタルにないが、VHS版がTSUTAYA新宿店にある(未見、その後残念ながら、TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館は2020年11月15日に閉店)

「夏の夜に見た秘密は夏の夜に忘れましょう」いつもの松本隆X 細野晴臣の風街コンビではなく、真鍋プロジェクトでは阿久悠 X 細野晴臣という珍しい組み合わせだったが、残念ながらヒットはしなかった、これに限らず阿久先生の80年代はだいぶ苦戦され(岡本舞子本田理沙など)、作詞から小説の方へシフトしていくが、85年に大瀧詠一とのコンビで小林旭「熱き心にはヒットさせている

映画に使われてるか不明だが、B面「ロマンチスト」も名曲、AB面阿久悠 X 細野晴臣だが、アレンジはA面岡田徹、B面清水信之という曲調に合わせたアレンジの割り振りが功を奏してます



北原佐和子「夢で逢えたら」

84年1月21日リリース

A面「夢で逢えたら」
作詞作曲:大瀧詠一/編曲:萩田光雄
B面「恋灯(ムーンライト)」
作詞:堀川マリ/作曲:山川恵津子/編曲:大谷和夫

76年の吉田美奈子を皮切りに様々の人が歌っている大滝詠一の名曲であるが、今作の場合どのような経緯でカヴァーしたのか不明、次のシングルも「砂にきえた涙」のカヴァーなので(B面「レモンのキッス」もカヴァー)、84年のシングルはオールディーズテイストで様子を見ていたのかもしれない(同年のアルバムTWENTYも同傾向)、いずれにせよ北原佐和子の場合、デビュー曲が1番売れて(25位)、その後は鳴かず飛ばずな状況だった(書き下ろしの新曲を作る予算がなかったのかも... )

兎に角、業界の色んな人が「これは名曲だから絶対にヒットするはずだ」とトライされ続けられたが、96年にラッツ&スターが歌って初めてオリコン最高8位という大ヒットになった、これでやっと「夢で逢えたら」は一般にも浸透したといえるだろう、それでさらにカヴァーが増え続けてスタンダードと化した



北原佐和子「予感」

85年3月21日リリース

A面「予感」
日本語詞:遠藤幸三/作曲:Pierluigi GiombiniPaul Mazzolini/編曲:岡田徹
B面「P.M.8:00」
作詞作曲:堀江淳/編曲:飛澤広元

小林麻美「雨音はショパンの調べ」(オリコン1位)に続けとばかりのガゼボの日本語カヴァー、原曲はルナティック

同曲を小林麻美月影のパラノイアのタイトルでカヴァー(シングルではなくアルバムCRYPTOGRAPH〜愛の暗号収録曲)

ムーンライダーズ岡田徹によるアニマルインデックスなサウンドアレンジと北原佐和子の声量を抑えた歌唱のマッチングが素晴らしい、良い意味で歌謡曲のA面としてコレは売れない、と書いてしまうと身も蓋もないが、後世有難くDJプレイさせてもらってます

これがラストシングルになってしまって悲しいですが、パンジーの他の2人は1年限定、既にシェアした何人かのアイドルと違って引退したわけでもない、アイドルとしては3年以上頑張り(シングル10枚、アルバム6枚)、その後も女優、そして介護士として現在も御活躍されているようです



真鍋ちえみ「うんととおく」

2017年4月22日リリース

A面「うんととおく」
作詞:矢野顕子/作曲:大村憲司/編曲:清水信之
B面「うんととおく(オリジナルカラオケ)」
作曲:大村憲司/編曲:清水信之

82年8月25日リリースのアルバム不思議・少女から35年後のシングルカット

真鍋ちえみは82年デビュー、シングル3枚/アルバム1枚/映画1本、という今となっては贅沢な年間計画をこなしたものの、特に売れずに歌手業は潔く引退、よっぽど芽がなかったのか、本人に全くやる気がなかったのか、事務所の見切りも早い、普通は翌年路線変更してもう数枚出してからフェードアウトというパターンもあるとは思うのだが、この狙ったかのような、いやまさに82年限定の「ねらわれた」アイドル活動が何十年後の未来にジワジワときいてくる

最近メジャーさんもCDが売れないため、一部の愛好家のためにCD復刻に加えてアナログ復刻で商売しているのだが、真鍋ちえみの中古高値ぶりに目をつけ、てっきりそれらを復刻するのかと思いきや、シングルではないアルバム曲を7インチ化するときた、しかも何でこの曲???とハテナマークがついてしまったのだが、「うんととおく」は海外で人気らしく(YouTube経由?)、それが逆輸入される形で選曲/復刻という流れのようだ、どんだけ外人天国なんだよと、さらに日本語がわからない外国人のためなのか、B面は初出のオリジナルカラオケ(いやそもそもコレが正式に海外流通されてるのかって話なんですけど! 結局サブスクにも無い)、いずれにしろ元々7インチになってない音源を7インチ化するのは大歓迎ということで即買いでしたが

「うんととおく」細野晴臣は関係なく、詞は矢野顕子でひらがなタイトル含め、まさにこの方にしか描けない世界観、そして作曲は大村憲司でいわゆるポップス/歌謡曲の作りにはなっていないアブストラクトな曲調(2人の共演は多いものの詞曲で組むのは稀)、そして清水信之による編曲はNew MusikHere Come the Peopleサウンド!

「ねらわれた少女」「ナイトレイン・美少女」などの細野曲は名曲ではあるのだが、この日本語によるポップスがストレイトに海外で理解されるのかといったら難しいところであって、これに限らずこちらがイイと思ってる音楽と外国人が反応する日本の音楽が感覚的に違っていたりする場合があり、今回の例がまさにわかりやすい(シティポップにも同様のケースが多々ある)

この7インチ化の半年後にCDアルバムも紙ジャケ復刻、アルバム未収録シングルと「うんととおく」を含む5曲分のカラオケがボーナストラックとなっている(2017年11月8日リリース)

「ねらわれた少女」の折り込みジャケより
「夢で逢えたら」の折り込みジャケより
「月曜日はシックシック」の折り込みジャケより

今回3人共、作品はサブスク解禁されていない(「ねらわれた少女」に関してはYouTubeやSNSにアップしても音声は消される)、一刻も早く解禁し、世界中の人に公式に聴かれるのを待つのみである

いいなと思ったら応援しよう!