子どもはどうしてるの?──要介護の妻がいつも思うこと
障害者手帳1級、要介護2、
右半身完全麻痺、高次脳機能障害、失語症の残存。
挙げればキリがないほど、
今も妻はひとりで生きていくことは困難でした。
けれど、自分のことすらままならないのに──妻は母親でした。
妻は常に──
子どもはどうしてるの?
と、気にしていました。
社会人になった長女の帰宅が遅ければ、長女はどこにいる?
大学生の息子が、ダイエットでご飯を食べないだけなのに、
「食べられないなんて可哀想」と涙を流し。
もう、立派な成人になった子どもたちの様子を、
ことあるごとに気にかけていました。
当の子ども達は、子ども達で忙しく。
いちいち妻に何をしてるかを知らせる訳もなく──。
なので妻は、いつも近くにいる私に、
「子どもはどうしているの?」
「いま何してるの?」
と、よく聞いてきました。
もちろん聞かれた私にも、
大人になった子どもが何をしているのかを知る由はなく──
知らない。分からない。
としか答えようがありませんでした。
ときには、妻から、
「なんで知らないの?」
と、感情的に聞かれて、
お互い不機嫌になることも多々でしたが、、
──
正直に言えば、私はずっと──
妻を心配することで精一杯であり、
子どもたちのことまで気にしてる余裕はありませんでした。
妻は自分のことで、
手一杯なはずなのに──
常に子ども達を心配する。
やはり妻は、母親なのかと。
今の妻にとっての子ども達の姿は、
ずっと10年も前のままなのか、
それとも“母親としての本能"なのかは分かりません。
けれど私は、
そんな妻を尊敬しています。
私がもし、
妻と同じようになったら──
そのときは、妻のように、
誰かを想えるのだろうかと。

子どもはどうしてるの?
──要介護の妻がいつも思うこと【完】
▼この話のシリーズのマガジンはこちらです。
▼この話は『若若介護』シリーズの一編です。その他の話、全体構成【目次】はこちらから
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援とフォローをお願いします。
チップはクリエイターとしての活動費にいたします!