若若介護という不安の中で
『奥さんを
施設に入れることを考えてください』
その日──
私は会社の産業医から、
そう告げられました。
その数日前。
会社のストレスチェックに、
引っ掛かった私は、
産業医と面談することを
勧められていました。
──正直、ショックでした
仕事は変わらずに忙しく、
妻の介護度が上がり、
精神的な負担は増えていたものの──
これまで一度も、
それに引っ掛かったことはなく。
まるで自分が"病んでいる"と、
言われたような気になっていました。
何より、
私が1番恐れたのは、
働けなくなることでした──
その産業医との面談は、
数日後。
そのことは、
妻にも伝えていました。
心配しながらも妻は、
『結果が出たら教えて』と。
その日。
産業医に、
今の状況を詳細に伝えると──
『車で言えばオーバーヒート。
これ以上、頑張ると壊れます』
続けて、
『あなたが倒れれば、
奥さんも困るでしょう?』
『そうなる前に奥さんを、
施設に入れることを考えてください』
──と。
『私は病んでるんでしょうか?』
と聞けば、
『まだ、病んでませんよ』
少しだけ、
安堵しました。
──面談を終えてから、
その日は仕事もせず、
喫茶店でボーっと過ごしていました。
とても疲れていて、
ひどく体が重く感じました。
そのまま帰宅。
妻から、
『どうだった?』
妻の済ませた食器を
片付けながら──
『病んでないってさ』
それを聞いた妻は、
安心したように笑っていました。

若若介護という不安の中で 【完】
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