【前進する作業訓練】──“できた”がくれる安心とモチベ
妻が脳出血で倒れてから2ヶ月以上が経過していました。
まだ言葉も戻らず、自分がどういう状態なのかも分からない中で──、
それでも妻は、自分を取り戻そうと懸命に頑張っていました。
それは、まだ、回復期病棟に移ってから、間もない頃の話。
リハビリの中でも、作業療法(OT)にはさまざまな種類がありました。
その日の作業療法は、赤・黄・緑の三色の輪っかを、それぞれ同じ色のポールに通す訓練。
OTの先生
『赤の輪っかを赤のポールに入れてください』
『はい。じゃあ次は緑の輪っかを、緑のポールに入れてください』
右半身麻痺のため、動く方の左手で、
作業療法士の先生の指示に従い、
輪っかをポールに通すというだけの訓練でした。
やってる妻は、とにかく真剣に考えながら、それを一つ一つこなしていきました。
隣で見ている私もドキドキしながら、
できる度に、すごいすごいと目を潤ませて。
ただそれでも全部できる訳ではなく、
緑の輪っかを赤のポールに入れたり、
どうすれば良いのか分からず固まってしまったりすることも多く。
その度に先生と一緒に、
『大丈夫、大丈夫』と励ましたり。
──
出来ない時は落ち込んだりもしていましたが、それでも妻は訓練中は懸命にそれと向かいあっていました。
妻に、今日は前より全然出来てるよと言えば、ニコニコしながら更に頑張り。
実際には1日、2日で何かが変わるものではなく、前回の自分がどうだったかを妻が記憶している訳でもないですが。
"前より出来ている"
と、言われることが、妻のリハビリへのモチベーションや、一番の安心につながっていたんだと思います。
“前よりできてる”
と、言われて、
妻の素直に喜ぶ笑顔や、
一生懸命に頑張る姿──。
私は、それを見るたびに、
心が優しく、温かくなるのを
感じていました。

【前進する作業訓練】
──“できた”がくれる安心とモチベ【完】
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