ルンバのこと
働きながら、
妻の介護をする中で──
いかに家事を減らせるかは、
とても大切な、
ことでした。
日中──
妻はデイサービス。
子ども達は学校へ。
そして私は仕事。
家にいるのは、
猫のポロンのみ。
──そんな時間も、
少なくはなく。
その中で難しいのは、
掃除。
──リビングのフローリング
その濃い焦茶のシックな色は、
完全に裏目でした。
仮に1日掃除しないだけでも、
埃やポロンの抜け毛は一目瞭然。
日々、家を出入りする
ヘルパーさんを気遣って妻は、
『床が白い、恥ずかしい』
『ヘルパーさんに悪い』と。
──とは言え、
ほとんど誰もいない家のフローリングを
毎日綺麗にするには、
無理がありました。
──お掃除ロボット『ルンバ』
ルンバは、
その難題を解決するだけでなく、
私にとっては、
もはや家事をする
"戦友"と言える存在でした。
朝──
妻をデイサービスに送りだした後、
スイッチオン。
『パパーパラ』という音を鳴らし、
ルンバは始動。
1時間ほどで掃除を終え、
自ら充電ドッグに戻るという賢さ。
私も安心して、
仕事へ向かうことが出来ました。
──帰宅すれば、
フローリングも本来の色。
これまで我が家は、いや私が、
どれほどルンバに助けられてきたか、
言うまでもなく──
ただ、最近──
老いてきたルンバも
調子が悪く。
その途中で力尽きて、
帰れない時も増えていました。
妻からは仕事中でも容赦なく、
写メと音声LINEの嵐。
『ルンバかわいそう』
『こんなとこでルンバ死んでる』
『トイレ行けないから、どかして!』
残念ながら──
ルンバが、
寿命なのは間違いありませんでした。
けれど、たまに、
ドッグに戻っている姿もあり。
それでも黙って、
毎日ちゃんと家を綺麗にしようと、
力尽きるまで働く
ルンバを見ると──
どこか自分を見ているように。
そこにやり残しがあろうと、
妻がキレ気味になろうとも、
お別れするのは、
まだ忍び難いと感じていました。

ルンバのこと 【完】
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