看護師だった妻【前編】身を削る仕事感
妻は真面目で、負けず嫌いで、
少し不器用な人でした。
倒れる前、妻は看護師でした。
結婚してからは、ずっと専業主婦。
何の資格もなく、働きに出ることに少し不安もあったようで、
保育士の資格を取り、一年間だけパートで保母として働いていました。
でもその収入は限られており、
子どもたちの塾代や将来の教育費を気にしていました。
医療関係の営業をしていた私は妻に、
「なら、看護師になってみたら?
国家資格だしどこでも働けるし、
収入も見込めるよ」
何気ない一言でしたが、
妻は少し考えて、すぐに行動へ移しました。
そして公立で、
難関でもあった看護専門学校に、
あっさりと合格。
34歳で入学し──
看護学生として勉強する傍ら、家庭のこともこなしながら無事に卒業しました。

卒業後は、
小児科の病棟に配属されています。
そこからの6年間──
妻は、真面目に、ひたむきに、まっすぐ働きました。
夜勤も厭わずに、
正月休みすら病院へ患者の様子を見に行ったりと。
また業務の他に、看護師としての専門的な資格をとるために。
寝る間を惜しんで勉強し 、
時には40度の熱があるのにも関わらず、資格試験のレポートを書いたりもしていました。
看護師を勧めた私から見ても、
当時の妻は本当にやり過ぎるぐらい──
まさに、『自分の身を削り』ながら、
看護師として走り続けていました。
当時の妻とのやり取りは、
「あー辞めたい」
「嫌なら、辞めれば?」
程度の会話しかできないぐらいに、
すれ違いもまた増えていました。
妻の中には、
周囲より年齢が遅く看護師を始めた分、早く追いつきたいという焦りがあったようにも思います。
何より、妻がそこまで頑張れたのは、
きっと看護師という仕事が、性格的にも妻に合っていたんだと思います。
ただ──
明らかに、妻はやり過ぎでした。
その時の私たちは、
まだ気づきませんでした。
その時が、
近づいてることを──
看護師だった妻【前編】
身を削る仕事感【完】
▼看護師だった妻【後編】に続きます
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▼この作品は『若若介護』シリーズの一部です。 全体構成【目次】はこちら
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