以前の夫婦関係──何もない幸せ
今思えば──
その当時の
何でもない日々が、宝物でした。
妻が倒れた時、
結婚生活は20年を迎えていました。
学生時代から付き合っていた妻とは、
良くも悪くも気が合っていたと思います。
おかげで、遠慮なくものごとを言い合い
──喧嘩は日常茶飯事。

しまいには子ども達にまで、
『またやってんの?』
と呆れられるほどでした。
でも、出かける時は手をつないで、
2人で食事や買い物にも、
よく行っていました。
──仲は、悪くなかったと思います。
ただ、それも、
妻に確認できない今となっては、
私の思い違いかもしれませんが。

当時の妻が、
イライラしていた原因のほとんどは、
家事や子育てのことでした。
そんな時は、顔色をうかがいながら、
黙って掃除や片付けをするのも夫の勤め。
そう言い聞かせながら、
私はせっせと。
また、『互いに干渉しないこと』
これは、
夫婦の暗黙の了解だったと思います。
だからこそ、
程よく距離をとりながらも、
うまくやれていたのだと。
私たちは"夫婦円満"だったとは、
言えなかったかもしれません。
でも、円満でなければ──
10年も妻の介護を、
続けられたのかとも思っています。
少なからず、
私にとっては、
妻は良い女性でした。
それは結婚30年を経た今もなお。
介護をしている今も、
何も変わらずに──
以前の夫婦関係 何もない幸せ【完】
回想の章
──それ以前のふたり
【終】
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