【調整と練習の違い】11年ぶりの遊戯王とラッシュの調整記
はじめに
2025年4月、遊戯王ラッシュデュエル5周年記念パックの発売をきっかけに、ラッシュデュエルの世界に足を踏み入れたryasuと申します。
ラッシュデュエルとの出会いは、定期的に開催される友人宅での飲み会兼遊び会で、Twitterで知り合い15年来の付き合いになる友人がラッシュデュエルのデッキを持ってきたことだった。
全員ちょうどOCGの1103環境で一番遊んでいたようなメンツだったので、ラッシュデュエルのルールはスッと水を飲むようにすんなり入ってきて、1時間もしたら夢中になって遊んでいた。

はじめてから1週間後に発表された意味不明なカードの後押しもあり、ラッシュデュエルをはじめて1ヶ月くらいの友人たちが東京3on3に出てスリーブを獲得していた。
一番OCGをやっていた高校生時代の空気感を感じて"黄金時代"が還ってくる予感がした。

始めてから約3〜4ヶ月あたりで自分も大会に出てみたいと思うようになり、カオスリチュアル環境でギャラクシーカップ予選に2度出たが、どちらも3回戦敗退でパッとするものではなかったが、東京3on3に出た時に調整・練習方法を変えてみたところ少し成長を感じるようになった。
東京3on3(2025/9/27)
使用:ジュンディー帝
1回戦:カオス後攻 〇〇
2回戦:ハーピィ後攻 〇〇
3回戦:ハンディーレディ後攻 〇〇
4回戦:不戦勝
5回戦:ハイブリッドライブ先攻 〇〇
個人4-0 チーム3-2
東京3on3では望外の全スト全勝。勝つための枠組みのようなものの輪郭が見えてきた気がした。
先日の仙台3on3ではその輪郭を鮮明にするために方法をアップデートした。
仙台の個人の成績は2-3と振るわなかったが、デッキをシェアしていた同チームメンバーは4-1。
特別目立った戦績ではないかもしれないがチーム全体としては前進し、5周年パックから始めた新規プレイヤーとしてある程度の手応えを感じたため一つの区切りとして筆を取ることにした。
この記事では、筆者がこの8ヶ月で学んだ「勝つために必要なこと」をまとめたい。
特に伝えたいのは以下の3点だ。
「調整」と「練習」は違うということ
主観なくして課題なしということ
自分に合った時間がなくても勝てるようになる方法の一例
私には4歳の子供がいる。自由に使える時間は限られている。だからこそ、効率的に強くなる方法を模索してきた。同じように時間の制約がある社会人プレイヤーや、これから競技シーンを目指す人の参考になれば幸いである。
第1章:ラッシュデュエルの競技性を理解する
構築7割、プレイ2割、運1割
ラッシュデュエルを始めて最初に感じたのは、構築の重要度が非常に高いということだ。
筆者の感覚では、勝敗を決める要素は「構築7割、プレイ2割、運1割」程度だと考えている。他のカードゲームに比べると、根本にあるのは子供向けのカードゲームということもあり、逆転要素が強い。劇的なプレイで勝利という場面は少なく感じる。しかし、その2割のプレイに繋げるための構築が非常に重要であるという前提条件があってのプレイ2割だ。
なぜ構築がここまで重要なのか。理由はいくつかある。
まず、ラッシュデュエルはナレッジが少ないカードゲームだ。OCGと比べてプレイ人口がまだ少なく、情報の蓄積も発展途上にある。そのため、理解の進み具合によってカード評価に極端なギャップが生まれやすい。
友人がジョークで言った「ラッシュデュエルは口伝と矢文でしか構築が出回らないゲーム」という表現が好きで、ここでついつい使ってしまうことを許して欲しい。
基本的に環境TOPとなるような構築はギャラクシーカップやCSの結果である程度把握することは出来る。しかし、実際に次の大会で勝つ構築というのは、強いチーム内でアップデートされ続けるので内容は秘匿されがちだ。
口伝と矢文でしか出回らないので、環境TOPのデッキを回しても「どうやって回す?」「このカードはなんでこの枚数入っているんだ?」「サイドチェンジはどうすればいい?」と右往左往し、デッキ内の入れ替えの方向性も誤りであることが多い。
特にサイドチェンジをはじめとしたマッチ戦に関する情報は、ネット上にほぼ存在しない。シングル戦のデッキレシピは見つかっても、サイドボードの組み方やサイドチェンジのプランについて体系的にまとめられた情報は皆無に等しい。(最近はnote等で増えてきて嬉しい)
以下繰り返し読んでいる参考文献
ナレッジが無いからこそ、自分自身、あるいはチーム内で良質なインプットを作り出すことが重要になる。環境を観察し、仮説を立て、検証する。このプロセスを通じて得られた自身で作り出すインプットこそが大事だ。
そうやって得られたインプットを構築へ反映できれば、強いデッキができあがる。「なぜこのカードを採用しているのか」「なぜこの枚数なのか」に明確な理由があるデッキは、対戦中の判断もブレにくい。
また、ラッシュデュエルは毎ターン手札を5枚まで補充できるという、他のカードゲームにはない特異なルールがある。
ドロー・墓地落とし・トップルックなどでデッキを掘り進める速度が異常に早い。そのため、デッキに入っているカードには、適切なチューンナップを施せばマッチを通して高確率でアクセスできる。
だからこそ、構築時点で「ゲームレンジ」を把握しておくことが重要だ。ゲームレンジとは、自分が勝ちを目指すゲームの長さ(ターン数や必要カード)のことである。限られたターン数で最大のパフォーマンスを出すために、デッキの完成度を上げておくことが勝利への近道となる。
環境を読む力
構築の重要度が高いということは、環境を読む力がそのまま勝率に直結するということでもある。
環境を読むとは、以下のようなことだ。
次の大会で何のデッキ(どの程度のゲームレンジ)が多いかを予想する
各デッキの相性関係を把握する
自分のラッシュデュエルにかけられる時間やプレイスキルを考慮してデッキを選択する
環境に合わせたカード選択・枚数調整を行う
このように、環境予想→デッキ選択→カード選択という流れで構築を詰めていく。この一連のプロセスを、筆者は「調整」と呼んでいる。
第2章:「調整」と「練習」を分けて考える
多くのプレイヤーが「練習」という言葉を曖昧に使っている。対戦を重ねることを練習と呼び、一人でデッキを調整することも練習と呼ぶ。しかし筆者は、この2つを明確に区別している。
調整とは何か
調整とは、練習や大会の前に自身のロジックを組み立て、メインデッキやサイドボードに反映することだ。
重要なのは、調整は一人でできる作業だということ。むしろ、練習の前に必ず事前に一人でやるべき作業だと考えている。
第1章で述べたように、ラッシュデュエルは「構築7割、プレイ2割、運1割」のゲームだ。構築の精度が勝率に直結する。だからこそ、一人回しによる調整が非常に重要になる。
調整で行うことは主に以下の通りだ。
環境予想に基づいたデッキ選択
メインデッキの採用枚数調整
サイドボードの構成
各マッチアップにおけるサイドチェンジプランの策定
特にサイドチェンジプランを事前に調整しておくことは重要なステップだ。前述したようにラッシュデュエルはナレッジが少ないカードゲームであるため、構築と対戦におけるカードの有用性の認識に差が出やすい。
事前に自身で調整を行い、実際に対戦に持ち込まないと「なぜこのカード・デッキを使ったのか」の理由付けがない。理由付けがなければ課題の発見など次に繋げるステップを進めることができず、練習が破綻してただのフリー対戦になってしまう。練習に昇華させるためには、一人での調整が必須なのである。
練習とは何か
練習とは、調整で並べられた課題に対してチェックを行う場だ。
ここで重要なのは、練習において勝ち負けは結果でしかないということ。
練習で重視すべきは「課題の解消に成功したか」であり、勝敗ではない。勝っても課題が検証できていなければ意味がないし、負けても課題に対する答えが得られれば、その練習には価値がある。
練習の前には、必ず検証したい課題を調整段階で明確にしておく。そして練習中は、その課題に対する答えを探すことに集中する。
課題例:帝ミラーにおけるサイドチェンジ後の強欲で謙虚な壺の枚数について
実際の調整→練習→新たな課題発見のサイクルを、例で説明しよう。

課題設定(調整フェーズ)
帝ミラーにおいて、先行1ターン目に強欲で謙虚な壺を打つことには以下の課題がある。
サイドから投入したカードが露出する可能性がある
先行1ターン目で強欲で謙虚な壺以外の魔法罠カードがない場合、拾った罠カードをそのままセットすることになりバレやすい。結果として相手のゴーストサイクロンや昂光の呪縛の価値を最大化させてしまう
できれば先行では打たずにセットして2ターン目に打つ方がリソース+1の状態で進行できて理想だが、2ターン目以降に強謙自体が被ってしまい1枚無駄になるリスクがある
検証(練習フェーズ)
練習では以下の点を重点的に確認した。
強欲で謙虚な壺を先行1ターン目で発動するケースはどのようなケースか
手札に下級モンスターが足りず、モンスターを探したいケース
トラディショナルタックスなど、相手の初動に打ちたい罠カードを拾いたい場合
1の問題については、デッキ内の下級モンスターをサイドチェンジで減らさないようにして、強謙自体を打たなくてもモンスターが確保されやすいようにした。
2に関しては、基本的には強謙以外の魔法罠カードがあるときのみ強謙を発動して探すようにすることを試した(必ず伏せ割で2択以上を強いるようにする)。
ここで気づいたのが、先行の強謙は基本的に条件付きでしか打たないカードになるため、先行限定で1枚減らしても良いという結論に至り、試すことにした。(後攻に関しては探したいカードが先行よりも大幅に増えるので3枚から減らさない)
練習の結果から得た学び
先行時の1枚減らしは、結果として課題であった2ターン目被りも減った。
追加の収穫として、下級モンスター3枚+上級1枚+ハンドの魔法罠が強謙のみの場合は、魔法罠セットもせずに上級と強謙のハンド2枚残しが呪縛・ゴーストサイクロンのケアにもなり、相手の後攻のアドバンテージの最小化にも期待できるため合理的と感じた。
実際に練習で試し、リリーも採用していることで後攻のアクエラに対してもある程度の防御が期待できることが確認できたので、このサイドプランを採用することとした。
この一連のサイクルを回し続けることが「強くなる」ということ
強謙の例はあくまで例であり、構築や人によって認識の相違などはあるかと思うが一旦例として受け取って欲しい。
大事なのは、
課題発見 → 仮説(調整)→ 検証(練習)→ 新たな課題発見
このサイクルを回し続けることが、「強くなる」と考えているということだ。
ビジネスの世界ではPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルがよく言われるが、カードゲームの調整はどちらかというとOODAループ(Observe-Orient-Decide-Act)に近い。
Observe(観察):環境を観察し、課題を発見する
Orient(状況判断):課題に対する仮説を立てる
Decide(意思決定):仮説に基づいて構築を決定する
Act(行動):練習で検証する
そして検証結果から新たな観察が生まれ、サイクルが回る。
このサイクルの速度と精度が、プレイヤーとしての成長速度を決める。時間がない人でも、サイクルの質を高めることで効率的に強くなれると筆者は考える。
第3章:主観なくして課題なし
第2章で「調整」と「練習」の違いを説明した。しかし、このサイクルを正しく回すためには、もう一つ重要なことがある。
主観(理解・仮説)があってこそ、課題は意味を持つことだ。
よくある失敗パターン
筆者自身も含め、多くのプレイヤーが陥りがちな失敗パターンがある。
パターン1:「なんとなく強そう」で採用する
「このカード、強いって聞いたから入れてみよう」
「大会で結果を出している構築に入っているから採用しよう」
こういった理由でカードを採用することがある。しかしこれでは、何を検証したいのかが不明確なまま練習に臨むことになる。
練習で勝っても負けても、「なぜそうなったのか」がわからない。カードの有用性を判断する材料が得られない。結果として、次の構築に活かせない。
パターン2:結果(勝敗)に一喜一憂する
「今日の練習は5連勝だった。調子いい」
「負けが込んでいる。構築を変えないと」
勝敗に一喜一憂してしまうと、本来見るべきものが見えなくなる。
練習で重視すべきは「課題が解決したか」であり、勝敗ではない。たまたま相手の事故で勝った試合には価値がないし、課題を検証できた上での負けには大きな価値がある。
勝敗だけを見ていると、この区別ができなくなる。
パターン3:他人の構築をコピーする
強いプレイヤーの構築をそのままコピーして使う。これ自体は悪いことではない。学びの入り口としてはかなり有効で寧ろ最初は完コピで回すべきだ。
しかし問題は、自分の主観(理解)がないまま使い続けることだ。
なぜこのカードが3枚なのか。なぜこのカードがサイドに入っているのか。その理由を理解しようとせずに使っていると、環境が変わった時に対応できない。構築の意図がわからないまま、何を調整すればいいのかもわからない状態になる。
正しい課題設定の方法
これらの失敗パターンに共通しているのは、主観(仮説)がないことだ。
正しい課題設定の流れは以下の通りだ。
ステップ1:まず自分の主観(仮説)を持つ
「帝ミラーでは先行が有利だが、後手に捲られることが多い」
「シェイディーはビックバイパーに対して有効だから入っているはずだ」
「このカードは特定の理由で使いにくい場面が多い気がする」
まず、自分なりの主観を持つ。正しいかどうかは、この時点ではわからなくていい。
ステップ2:その主観に基づいて課題を設定する
「先行の優位を維持するために、リリーは有効か?」
「シェイディーは本当にビックバイパーに有効か?何枚採用が適切か?」
「発動タイミングやサイドプランを変えたら有効なカードへ昇格するか?」
主観を課題の形に変換する。検証可能な問いにすることがポイントだ。
ステップ3:練習で検証し、主観をアップデートする
課題を持って練習に臨み、結果を観察する。
「練習の結果リリーは有効だった。ただし効果を最大化するにはライフポイントを維持する仕組みが必要だ」
「シェイディーは最終盤面やフルカスタムのゲインまで見て打てるカードで有効だが3枚は他のデッキを見た際にサイド枠を圧迫してしまう。1枚は似た役割を持つが違うカードを採用する必要がある」
「強謙は先行だと発動に条件があるのでサイドプランの変更により改善する必要がある」
検証結果に基づいて、自分の主観をアップデートする。そして新たな主観から、新たな課題が生まれる。
主観に囚われすぎるな
主観は重要であるが主観のみに囚われると失敗することもあるので注意。
チームで練習する場合に大事なのは、議題が出たら否定するよりもまずは試すということ。
「まずは試す」という姿勢は、個人の調整においても、チームの議論においても、同じように重要だ。
ここで一つ、筆者自身の失敗例を話したい。
メンバー内で「帝のサイドにアミュージー・アノイアンスの採用はどうか」と議題が出た。その時、筆者はビックバイパーに対してのサイドカードという認識が強かったため、「タックスやシェイディーの方が有用じゃない?」と切ってしまった。メンバーも同意して話は終わった。
しかし実際には、アミュージー・アノイアンスは帝ミラーにおいても有用なサイドカードであることが、仙台3on3の結果を踏まえて判明した。試さずに切ったことを後悔した。
今後は必ず一度試してから判断しようと心に決めた。
第4章:時間がない人のための調整術
私には4歳の子供がいる。仕事もある。自由に使える時間は限られている。
オフラインの練習会に参加できるのは、大会前に1〜2回程度。しかも17〜18時には帰宅しなければならない。対人練習に割ける時間は、他のプレイヤーと比べて少ない。
それでも少しは前進し勝てるようになってきた。理由は、一人でできる調整に重きを置いたからだ。
一人回しツールの作成・活用
OCGにはマスターデュエル、ラッシュデュエルにはデュエルリンクスがある。しかし、紙のラッシュデュエルで使える「オンライン対戦ツール」はない。
ならば、作るしかない。
この物語は、限られた時間の中で強くなる術を求めた一人のプレイヤーが、チームのための一人回しツール「ラッシュぱん」を作り上げていく、一代叙情詩である。
どこか遠くで耳を澄ましてる人がいる〜🎵

...というのは大げさだが、筆者はラッシュデュエルの一人回しができるツールを自作した。

雑な使用技術紹介
バックエンド:Laravel
フロントエンド:Next.js
AI:Cursor+Claude Code
制作作業時間:120時間
継続は力なり——筆者はこの言葉を信じている。強くなるには、調整・練習を習慣化することが不可欠だ。そのための土台として、このツールを作成した。
作成に至った理由は主に3つある。
1つ目は、一人回しのハードルを下げたかったこと。実際のデッキを用意して右手左手で回すと、シャッフルだけで時間がかかる。億劫になって続かなくなる未来が見えた。
2つ目は、チームでのリモート練習環境が必要だったこと。仕事や育児で忙しく、オフラインで集まる時間が取れない。夜にDiscordで集まって練習できる環境が欲しかった。
3つ目は、ビデオ通話での対戦に限界を感じたこと。カメラ越しだと視認性が悪く、準備にも時間がかかり結局1つ目と同じく億劫になり続かない
普通の一人回しと違うのは、以下のような特徴がある点だ。
特定のカードを手札に用意してスタートできる:特定の状況を再現して検証できる
例えば「先行で手札にリリーがある状況」を意図的に作り出し、その状況での最適なプレイを検討できる。通常の対戦では運に左右される状況を、再現して検証できる。
サイチェンログが残る:後から振り返りができる
どんなツールかと聞かれた時の答えとしてはDOのようなものだと想像してもらえると伝わりやすいと思う。(おじじゼミが鳴く)

チームでのオンライン練習
対人練習は、主にチームで自作ツールを使ったオンライン対戦を行っている。
練習スタイルとして特徴的なのは、2人が対戦し、1人が両方の画面共有を受けて観戦するという形式だ。
観戦者は、両プレイヤーの手札や思考が見える状態で試合を見る。そして気になる点があれば指摘する。
「あの時はこっちのカードを先に使った方が見れる枚数多くてよかったんじゃない?」
「サイドチェンジ、そのプランで合ってる?」
第三者視点でのフィードバックが得られるのは大きい。対戦している本人は、自分のプレイを客観視しにくい。観戦者がいることで、プレイングの癖や見落としに気づける。
オフライン練習の位置づけ
オフライン練習は大会前に1〜2回程度。私の場合、17〜18時までには帰宅しなければならないので、長時間の練習は難しい。
そのため、オフライン練習では以下の点に絞っている。
紙でのプレイに変な部分がないか確認:ツールと実カードでは操作感が違う
実際の処理速度の確認:時間制限のある大会で遅延しないか
話し合い:テキストでは伝わりにくいニュアンスの共有
つまり、オフライン練習は「検証の場」というより「確認の場」として位置づけている。事前にツールで十分に調整・練習しておき、オフラインでは最終確認を行う。
今回の仙台3on3もチームとしてオフラインで会ったのは前日のみだった。
大会を練習の場として活用する
本命の大会の前に、CSなどの大会に出場することもある。
目的は、デッキ決定の判断材料を得ることだ。
一人回しやチーム練習では得られないフィードバックがある。実際の大会環境で、実際の相手と対戦することで見えてくるものがある。
環境予想は当たっていたか
このカードは実戦で機能したか
時間配分は適切だったか
これらを確認し、本命の大会に向けて最終調整を行う。
大会を「勝つ場所」としてだけでなく、「学ぶ場所」として捉える。この視点があると、仮に負けても得るものがある。
時間がないからこそ、質を上げる
時間がある人は、量で勝負できる。たくさん練習を重ねることで、経験値を積める。
しかし時間がない人は、量で勝負できない。だからこそ、質を上げるしかない。
質を上げるとは、具体的には以下のことだ。
練習の前に「何を検証するか」を明確にする
漫然と対戦を重ねるのではなく、課題にフォーカスする
限られた対人練習の時間を、「検証」に集中させる
一人でできる調整は、一人の時間で済ませておく
第2章で述べた「調整」と「練習」の区別は、時間がない人にとってこそ重要だ。限られた時間を最大限に活用するために、やるべきことを明確に分けておく。
時間がないことは、確かにハンデだ。しかし、時間がないからこそ身につく効率的な思考法がある。それは、時間ができた時にも必ず活きる。
第5章:仙台3on3で使用したデッキ解説
この章では、仙台3on3で使用した「リリーエメテール帝」に至るまでの調整過程を解説する。
ギアスチャージ発売〜BM杯まで
デッキ選択の経緯
昨日の讃岐ラッシュCS上位入賞者の方々のデッキレシピを許可いただいて見やすくしたものです❗️
— 讃岐ラッシュCS@第4回開催日時調整中! (@Sanuki_Rush_CS) December 6, 2025
(①帝王②ベリーフレッシュ③帝王④ハーピィ)
先週発売されたばかりエメテールやファドロニールが活用されてるレシピもあって参考になるものばかりです📝#遊戯王ラッシュデュエル#讃岐ラッシュCS https://t.co/OPuGn92Jjy pic.twitter.com/GZV7vtXwEz
ギアスチャージ発売後、BM杯までに開催されたCSは讃岐ラッシュCSのみだった。そこで帝の新要素であるエメテールを採用して優勝していた構築を参考に、エメテール型を中心に調整を進めることにした。
生きてる越境的な運用が可能:打点の変更も竜帝リンドルムで自然に行えるため、デッキの動きに違和感なく組み込める
星6帝との噛み合い:エメテールから拾うのが星6帝と最も噛み合うため、ガイウスからライザーに変更し、デッキ内のまとまりを重視
また、7テーマトーナメントでビックバイパーが強いという認知が広まっていたため、救惺望御と激流葬を採用した。
BM杯の結果
当日は朝に保育園で息子の発表会があったため、1回戦不戦敗で2回戦から参加した。
(BM杯運営の皆様、2回戦からの参加の相談を受けていただき誠にありがとうございました)
基本的には大会と家族行事が被ったら家族優先が板なのでそこは忘れないように。

第二回BM杯(2025/12/13)
使用:エメテール帝
1回戦:不戦敗
2回戦:コスモス姫 ××
3回戦:エメテール帝 ×〇×
4回戦:レッドアイズ 〇〇
5回戦:ドラギアス 〇×〇
結果:2-2(実試合のみカウント)
BM杯で見つかった課題
1. コスモス姫への対応
プレネットイージス登場後のコスモス姫と初めてちゃんと対人マッチしたが、思ったよりきつい印象だった。
サイドに登竜のみでは、コスモス姫側の動き出しが早いと間に合わない。シェイディーなどの罠が必要そうだった。そもそも対コスモス姫のプランがなかったため、まずはコスモス姫との練習が必要だと感じた。
2. 帝ミラーでのアクエラ枚数
帝ミラーはやはりサイド後にアクエラがゲームの中心になる。サイドに2枚では少なく、3枚目の採用が必要だった。
3. サイドチェンジプランの再構築
チームメイトも同じレシピで参加したが、サイド後の勝率が悪かった。サイドチェンジ込みでの再構築が必要であった。
BM杯〜仙台3on3前日まで
環境予想とデッキ選択
仙台3on3に向けて、筆者は以下のような環境予想を立てた。
帝 30%
ビックバイパー(サイバー型) 17%
ビックバイパー(最強型) 3%
コスモス姫 5%
ネクメイド 5%
アニマジカ 3%
ハーピィ 3%
その他 30〜40%
帝を最大勢力と予想しつつも、直近のBM杯の結果を踏まえてサイバー型のビックバイパーがそれを追う形になると予想。
また、3on3は大会の仕様上3回戦までは様々なデッキと当たる可能性が高いため広く見れるサイドカードは採用しておく方が良いと判断。
コスモス姫の検討と見送り
帝に対して相性が良く、コスモス姫を使うことも考えた。しかしビックバイパーに対しては不利がつく。その他のデッキに対しても、今からプレイを習得するのは時間のリソースと失敗した時のリスクを考えると現実的ではなかった。
環境予想を踏まえると、3回戦までは様々なデッキに当たる可能性が高い3on3では、コスモス姫の選択はリスクが高いと判断し使用は断念した。
帝を選択した理由
最終的に帝を選択した理由は、コスモス姫とは異なり、様々なデッキに対して基本的には4~5割以上の勝率が担保される安定感があり、広いデッキに対応できると考えたからだ。
また、ビックバイパーに対して有効であり、かつ広いデッキを見ることができるシェイディーや登竜を採用して、受けの広さを確保も可能と考えた。
コスモス姫対策の調整
課題であったコスモス姫に関しては、調整用のデッキを組んで一人回しを繰り返した。

一人回しの結果、以下の課題が明確になった。
課題1:サイド後の伏せ割不足
相手の罠に対するアプローチがサイド後に少ない。サイドに伏せ割が存在せず、昂光の呪縛だとご就寝をくらった場合に発動できないため、伏せ割としてカウントできない。
課題2:ライフレースの厳しさ
後手1ターン目に黒極星のコスモスターから入られると、貫通で一気にライフを削られる。ご就寝を乗り越えて展開しても2ターン往復がほぼ確実になり、ライフレース的に厳しい形になる。
この問題は帝ミラーでも同様に発生していた。
課題3:エメテールの起動に難あり
基本的に竜帝リンドルム経由でないと発動できないため下級のみで起動できる方法が欲しかった。
課題2で触れたライフレースの改善と下級のみでの起動方法の確保のため、リリーの採用検討をスタートした。
仙台3on3前日の最終調整
前日の調整で、以下の方針を固めた。
帝の強みの再認識
帝の最大の強みは、ショートレンジからロングレンジまで、全てのゲームレンジに対応できることである。
竜水の採用
伏せ割に加えて、デッキのリソース回復カードがなかった。試合がロングゲームになった場合に攻め手が枯渇するため、竜水を採用。伏せ割とリソース回復の両方を担えるようにした。
シェイディーの枚数調整
シェイディー3枚で最初は回していたが、前述のようにロングゲームになった場合が厳しくなる。1枚をシェイディーと役割が似ている登竜門に変更し、リソース回復も行えるようにした。
仙台3on3の結果

仙台3on3(2025/12/27)
筆者(使用:リリーエメテール帝)
1回戦:ヴォイドヴェルグ 先攻 〇〇
2回戦:帝 後攻 ×〇×
3回戦:ネクメイド 先攻 〇×〇
4回戦:帝 先攻 〇××
5回戦:帝 先攻 〇××
個人成績:2-3
チームメンバー(使用:リリーエメテール帝・デッキシェア55枚同様)
1回戦:帝 ××
2回戦:サイバー 勝ち(戦績メモ漏れ)
3回戦:レベル7グッドスタッフ 〇〇
4回戦:帝 勝ち(戦績メモ漏れ)
5回戦:帝 ×〇〇
個人成績:4-1
チームメンバー(使用:ネクメイド)
1回戦:光悪魔 先行 〇〇
2回戦:サイバー 先行 ××
3回戦:ラヴ 先行 〇〇
4回戦:帝 後攻 〇〇
5回戦:帝 先行 ×〇×
個人成績:3-2

仙台3on3の反省
1. ゲームレンジの選択ミス&最終戦での学び
帝の最大の強みである「全てのゲームレンジに対応できること」を理解していたにもかかわらず、ショートレンジ寄りの構築となってしまった。
最終戦で当たった「そるさん・れく太さん・けんぷさん」チームの構築は、自分たちが課題に感じていた「伏せ割」と「デッキのサイクル化」を見事に解決していて感動した。ずっとデッキ構築で参考にしていた方々と最終戦で当たれたことで、よりラッシュデュエルのマッチ戦が好きになった。チームとして良い刺激をもらえた。
改訂くるし、帝上げときます。
— そる (@linear_blue2) December 27, 2025
・フェニドラ→ドロー後の展開が読みにくく中盤以降腐るアメディをマイルドにしたカード。帝ミラーで1000打点あるのは72ラインに落とし込めるのでかなり偉い
・ジャメ→アメディ鮫が一般的な帝のサイクルカードだが、ジャメ&コーリングでそこを担っている形(続) pic.twitter.com/QVeO5JVJ5i
メインでの勝率は悪くなかったがサイド後に帝ミラーでゲームレンジを可変しようとした時に問題が発生した。
最終戦を例に取ると、こちら側がデッキのサイクル化(リソース循環)を行えていないため、相手の得意なゲームレンジまで試合がもつれ込むと、フェニックス・ドラグーンによる回復でリリーでのワンショットが狙えないため無理にリリーを使ってまでキル範囲に手が届くようにライフを取りに行く必要があった。このように相手のゲームレンジに向かって行こうとするとデッキバランスが崩れてしまい無理な動きによりアクエラへの隙ができるなどミラー戦でのマッチ単位での戦術に難があり、ミラー戦のサイド後を多く落とすことになった。
正直に話すと、エメテールを使って結果を残したかったという思いが強くなってしまい、練習でもエメテールが入ったミラーを中心にやるなど、固執してしまったところがあったと思う。
帝ミラーでは基本的にサイド後、エメテールは全てアクエラと入れ替えていた。それならば、アクエラをメインに入れた構築やデッキ内のサイクル化を準備した可変レンジのタイプも帝ミラーがもっと頻発することを予想して練習しておくべきだった。
エメテール自体はとても良いカードなので何かしらのデッキで使っていきたい。
2. 優勝構築からの学び
優勝したJoyJoyMAXさんのレシピも素晴らしかった。サンセットリバースと、第3章で触れた「自分が採用を見送ったアミュージー・アノイアンス」も採用されていた。今回の自分たち構築に近いゲームレンジであれば、こちらの方向を目指すべきだったと反省した。
おわりに
5周年パックからラッシュデュエルを始めて、約8ヶ月。この記事では、筆者がこの期間で学んだ「勝つために必要なこと」をまとめてきた。
改めて要点を整理すると、以下の3点になる。
1. 「調整」と「練習」は違う
調整は、自分のロジックを組み立てて構築に反映すること。練習は、その課題を検証する場。この2つを明確に区別することで、限られた時間でも効率的に強くなれる。
2. 主観なくして課題なし
まず自分の主観(仮説)を持ち、それに基づいて課題を設定する。そして練習で検証し、主観をアップデートする。このサイクルを回し続けることが、成長の本質だ。
3. 時間がなくても勝てるようになる方法はある
時間がないなら、質で勝負する。一人でできる調整は一人の時間で済ませ、対人練習の時間は検証に集中する。自分なりの練習方法の確立や、大会を学びの場として捉える視点も重要だ。
最後に、筆者自身の今後の課題を述べておく。
デッキ内でのサイクル化を意識したデッキ構築力の向上
サイド後のゲームレンジの可変に耐えうるサイドボードの構築
デッキ内外の課題の視覚化
一人回しツール内での課題管理機能の拡充
仙台3on3の反省を活かし、引き続き調整を重ねていきたい。
2026年の目標はギャラクシーカップ予選突破。必ず叶えたい。
ラッシュデュエルは、名称指定のカードが少なく構築の自由度が高い。デッキチューニングが好きなプレイヤーには特に向いているカードゲームだと思う。また、邪帝ガイウスなど懐かしいカードが第一線で活躍しているので、かつてOCGをプレイしていたおじいちゃんにもぜひ触れてみてほしい。
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この記事が、これからラッシュデュエルの競技シーンを目指す人の参考になれば幸いである。
