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【書評】『大聖堂』上巻|自己啓発書に慣れた脳が一瞬で「物語の快楽」へ

情報の「検索」ではなく物語の「体験」へ。
読書体験をアップデートしてくれた一冊です。


600ページの圧倒的ボリューム。パラパラ見で序盤の「読みづらさ」を突破


今年一冊目の読書体験、ケン・フォレット著『大聖堂』上巻を読み終えました。

SNSで偶然しった作品、予備知識ゼロで読み始めて、当初は上巻だけで約600ぺージのボリュームに圧倒されつつ、なかなか読みづらかったです。

が、何度もパラパラとページをぼんやり見ながら読みすすめていったところ、中盤から面白くて面白くて。一気に読み進められました。


『大聖堂』はこんなストーリーです。

世界的ベストセラー作家による傑作大河小説

12世紀のイングランド。放浪の建築職人トムは、衰退した壮麗な大聖堂復活をめぐる波瀾万丈のドラマに巻き込まれていく……折りしも、イングランドに内乱の危機が!

作品説明より

大聖堂の建立をめぐって石工棟梁のトムをはじめキングズブリッジ修道院長のフィリップ、司祭のウォールラン、貴族のウィリアム、王女のような気高さを持つ伯爵令嬢アリエナなどなど。

さまざまな身分と個性をもつ登場人物が交差していく大河物語。


情報サーチ型の読み方から、物語のリズムへ。自分の中の「小説スイッチ」オン


小説を読むのはひさしぶり。

最近、読書は自己啓発書に偏っていて、「自分の欲しい情報はどこにあるのか」無意識にサーチして読みすすめるって読み方に慣れてました。

海外の書籍の翻訳本は分厚い。500ページ超とか当たり前。

でもこれでもかってくらい事例がつまっていて、逆に著者の主張が見つけやすいしわかりやすい。

ページ数が多いほど本のポイントをみつけやすい。

ちょっと古いけど、こちらの作品はなかなかでしたよ。

迷ったら狩猟採集生活時代の「原点」に戻ろう。

これって健康にかぎらず生き方全般に効く知恵だと思う。


自己啓発書は著者の主張さえ理解しておけば、いきなり後ろのページからつまみ読みしたり、読みづらい箇所は飛ばしたりと、ある程度好き勝手に読める。

が、小説だとそうはいかず。

自分の1ページずつ読むスピードが遅すぎてイライラする。

ひさしぶりの小説、慣れるまで忍耐を要しました。


が、中盤から『大聖堂』の世界観にも慣れてきて面白さが勝って。

ひさしぶりに小説のリズムをつかんできたところで『大聖堂』上巻終了。

この作品はひさしぶりに小説スイッチをオンしてくれました。


前回小説スイッチがオンになったのは『ワイルド・スワン』
(こちらはノンフィクションですが)

清朝末期から文化大革命期に至る中国の激動の歴史に翻弄されながらも強く生きぬいた親子三代の女性の自伝的ストーリー。


30年以上前の作品は「いま旬」。1990年代ベストセラーに眠るお宝資産


手持ちの『大聖堂』上巻は新潮文庫のもので初版は平成三年。1991年。

作品のテンポがよく、また翻訳本にありがちな変な日本語、読んでいてひっかかる翻訳がなく、まるで日本の作品のようにスーッと読めました。矢野浩三郎氏の翻訳がすばらしい。

展開がスピーディーで読者を飽きさせない。

30年以上まえの作品なのに、古典のような読みづらさがまったく感じない。


1990年あたりのベストセラーのなかで、いま読んでも楽しめる作品っていっぱいあるんじゃなかろうか。

文体は比較的新しめ。でも作品としては一昔以上まえ。

買うにせよ借りるにせよ、多くの人に注目されていない分、中古本はお求めやすい。図書館でも予約100人以上待ちなんてことなく借りやすいし延長もしやすい。

『大聖堂』のようなちょっと旬が過ぎた大作って、ある意味でいまが旬じゃなかろうか。


『ゲーム・オブ・スローンズ』級の衝撃。残酷さと背中合わせの没入感


突然の解雇、盗賊との遭遇、森のなかでの出産、それぞれの策略、騙しあい、妬み、出会い、恋などなど。

あらゆるライフイベントそして生きる厳しさがこの作品にギュギュっと詰め込まれてる感じ。

さまざまな登場人物をとおしてめまぐるしく内も外も変化していくざまに目が釘付け。

聖職者同士の、そして貴族を交えての、謀りあいがあり、勝者がいて敗者がうまれる。

つづきの中巻が気になってしかたがない。


面白い、って書いたんだけど、こちらの作品、海外作品によくみられるように、残酷な描写やサディスティックな表現も多々。

この点、読み手を選びますのでご注意を

作品の時代背景としても、生き残りや奪い合いというものが今より身近だったであろうし。

とは思うんだけど、上巻ラストのエピソードは思わず本を閉じたくなるような描写があって、読んでいてつらい。

たとえるなら『ゲーム・オブ・スローンズ』はじめ、海外ドラマのどきつい描写にちかい。

そういう過激な描写に耐性がないと読むにはつらい作品です。


また中巻を読み終えましたら、noteにまとめます。

はたして読み切ることはできるのか。



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