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#30 大学教員の憂鬱 大学教員の3月の働き方

3月というと、学生は春休み。大学も少し静かになって、教員ものんびりしている……と思われがちである。

いや、むしろ逆だ。

大学教員にとって3月は、終わらせる仕事と、始める仕事が同時に押し寄せる月である。これがなかなか忙しい。

まず会議がある。学科会議、教授会、部局会議。名前だけ並べても、少し疲れる。年度末なので、確認することも、決めることも、調整することも多い。ひとつ終わったと思ったら、また次の会議が来る。

その合間に、外部講習会もある。自分の資格に関わるから、出ないわけにはいかない。そして、研究室見学の対応もある。臨床実習の準備や打ち合わせも進めないといけない。学生が実習先でちゃんと学べるように、事前に整えておくことは意外と多い。表からは見えにくいが、こういう段取りで教育はかなり支えられている。

さらに、OSCEの準備がある。準備だけでは終わらない。当然、本番もある。こういう仕事は、始まってしまえば流れに乗るが、その前の「抜けがないように整える時間」がいちばん神経を使う。地味だが、とても大事な仕事である。

もちろん、研究室の仕事も止まらない。研究指導はあるし、マウスのメンテナンスもある。生き物は「年度末なので少し待ってください」とは言ってくれない。そこが研究の律儀なところであり、容赦のないところでもある。

しかも、3月は今年度の後始末だけをしていればよいわけではない。もう来季の講義資料も作り始めている。つまり、頭の中では「今年を締める」ことを考えながら、「来年をどう始めるか」も考えている。研究室に戻れば、机の上には今年度の書類と来年度の講義資料が並んでいて、頭の中まで年度またぎになっている。3月のややこしさは、たぶんここにある。

歓送迎会もある。人が去り、人が来る。大学という場所は、案外こういう季節の入れ替わりがはっきりしている。書類と会議だけで3月ができているわけではなく、こういう人の動きでも3月はできているのだと思う。

歓送迎会もある。人が去り、人が来る。大学という場所は、案外こういう季節の入れ替わりがはっきりしている。書類と会議だけで3月ができているわけではなく、こういう人の動きでも3月はできているのだと思う。

だから、大学教員の3月は、見た目よりずっと慌ただしい。静かなキャンパスの裏で、会議をして、準備をして、実習の段取りをして、研究を回して、学生に対応して、来年の授業まで作っている。

春休み、という言葉の印象とは、だいぶ違う。

でも、この感じは嫌いではない。ひとつの年度をたたみながら、次の年度の形を少しずつ作っていく。散らかって見える仕事が、実はちゃんとつながっている。3月は、そんな月である。

大学教員の3月は、休む月ではない。陣をたたみながら、次の戦の支度をする月なのである。

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