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裁量労働制見直し最重要ポイント本人同意-骨太の方針案と厚労省審議会議事録

骨太の方針(原案)に「従業者の選択を前提として」とありますが、労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会議事録には労働法学者と労働条件政策課長との間で交わされた「裁量労働制実態調査」本人同意・撤回に関する詳細な「やり取り」が記載されています。


「従業者の選択を前提に」

高市早苗総理の発言

今年(2026年)2月20日に高市早苗総理は施政方針演説で「働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」と述べています。

令和8年2月20日 第221回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ

昨年(2025年)12月24日に開催された(第2回)日本成長戦略会議では「労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要です。必要に応じ追加調査を実施するなど、現場のニーズを更にきめ細かく把握しながら、規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速してください」と話されています。

施政方針演説では言及されていませんでしたが、遡ることになりますが(第2回)日本成長戦略会議では「従業者の選択」という言葉が入っています。

骨太の方針2026(原案)

今年(2026年)6月30日の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2026(原案)14ページには「心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う」と記載されています。

高市総理の施政方針演説にはありませんでしたが、(第2回)日本成長戦略会議の高市総理とりまとめ発言および骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2026(原案)には「心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現する」とあります。同様のフレーズが骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2026(原案)にも書かれています。

経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)(PDFファイル)

規制改革推進に関する答申(案)

また今年(2026年)6月29日の規制改革推進に関する答申案(規制改革推進会議)には「心身の健康維持と労働者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、厚生労働省は、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について労働政策審議会において見直しの検討を開始し、結論を得次第、必要な措置を講ずる」と記載されています。

規制改革推進に関する答申(案)(PDFファイル)

裁量労働制実態調査「本人同意・撤回」

今年(2026年)5月13日に開催された労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会の詳細な議事録が公開されましたが、裁量労働制や勤務間インターバル制度や「つながらない権利」について労使委員から意見が述べられています。また裁量労働制実態調査に関する公益代表委員(法学者)と厚生労働省課長との「やり取り」が議事録に記載されていました。

裁量労働制の本人同意と撤回

公益代表委の原委員(原昌登・成蹊大学法学部教授)は「労働者調査の本人同意・撤回の部分なのですが、撤回が加わった関係で、撤回について様々な記載があるのですが、これは、そもそも裁量労働制の適用の開始時点、同意を取る手続についてはあまり調べないという感じになるのでしょうか」と質問しています。

事務局の川口(厚生労働省)労働条件政策課長は「今回、2024年改正で、撤回についても様々な規定がされていますので、それは追加して調べます」と回答し、また「同意そのものについては、前回調査でも、どういう方法で同意を取っているかとか、そういう一定の事項は調べております。あるいは、同意をしなかった人がどれぐらいいたかとか、そういったことも調べておりますが、前回調査したことは今回も調査いたします」と付け加えています。

原委員は「前回とそろえることも重要かと思うのですが、撤回に関して、具体的に、例えば撤回の申出先とか、撤回後の配置・処遇に影響があったかを調べるのであれば、撤回よりもむしろ大事なのは同意の部分です」と述べています。

裁量労働制の同意に関する様々な状況調査

そして原委員は「最初の同意の部分で、同意しないことが、例えば同意を拒否しづらい雰囲気だったかとか、同意の手続で例えば使用者側からどういう説明があったかとか、そういった同意そのものに関して具体的に調べていただいて、プラス、撤回についても調べていただけるのはもちろん賛成なのですが、そもそも入り口の同意について、より具体的に、これは、調査項目が少し変わるかもしれませんが、本来はそこが大事だと思うのです。ですので、撤回に関して調べるだけでなく、同意の手続とか、同意に関する様々な状況について調べることを御検討いただけたらと思いました」と意見を述べています。

原委員の意見に対して川口労働条件政策課長は「今の点に関して申し上げますと、非常に重要な御指摘です。ただ、調査の手法上、同意をしなかった人、つまり、同意した人が適用労働者になっていて、結果的に同意しなかった人については、直接調査の手が及ばないところはありますが、同様の観点から、一度同意はしたのだけれども、撤回した方がいると。そういう場合に、なぜ撤回したのか、あるいは撤回はしていないけれども、撤回しづらい雰囲気があるとか、そういった同意しなかった理由を直接聞くことは難しいのですが、それに近いものを聞けないかということは、今、工夫しながら検討したいと思っています」と答えています。

同意を拒否しづらいと感じたか

さらに原委員は「多分、同意をした方はたくさんいらっしゃると思うのですが、同意を撤回する方はあまりいらっしゃらないのではないかという感覚があります。ですから、もちろん、同意した方が調査の対象だと思うのですが、そのときに例えば同意を拒否しづらいと感じたか、あるいは同意に際して、十分な説明が提供されたかとか、そういったことについては、同意をした方について聞けると思います。ですから、もちろん、調査の形から、同意をした方が前提だと思うのですが、そのときに、振り返っていただいて、同意せざるを得ないような雰囲気だったかとか、そういったことについて、もしあれば、重要な情報かと思いますので、調査に盛り込んでいただけたら、御検討いただければと思います」と。

なお原委員(原昌登・成蹊大学法学部教授)の専門分野は労働法全般、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントなどのハラスメント法理、および労働市場の法政策。

2026年5月13日 第209回労働政策審議会労働条件分科会 議事録|厚生労働省

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