住宅ローンは固定金利の時代?それでも私が「まず変動金利」から考える理由
「変動金利が上がらない時代は終わった」
「これからは固定金利を選ぶべき」
少し前までは住宅ローンといえば変動金利でした。しかし金利上昇のニュースが増えるにつれて、固定金利を考える人が増えてきています。
これから住宅ローンを借りるなら、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきなのでしょうか。
どちらが得かと言い切ることは難しいですが、私自身はまず変動金利から検討するのが基本だと考えています。
変動金利から検討する
変動リスクを数字で把握する
不安な気持ちが強ければ固定と比較
この順番で考えることで、「なんとなく怖い」「みんなが選んでいるから」という感覚ではなく、自分の家計に合う金利タイプを選びやすくなります。
この記事では、私がまず変動金利から考える理由と、変動金利に決める前に確認するポイント、そして固定金利が向いている人の特徴を解説します。
金利タイプで迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンは基本的に「変動金利」から考える

私は住宅ローンの金利タイプで迷ったら、まず変動金利から考えるべきとお伝えしています。その3つの理由を解説していきます。
理由① 当初の返済額を抑えることができる
住宅ローンの新規借入利率は、固定金利よりも変動金利のほうが低く設定されています。(※同じ銀行で見た場合)
借りたあとに変動金利が上昇し、逆転する可能性はあるものの、始めから固定金利のほうが低いことは基本的にあり得ません。
金利が低いため、返済額を抑えることができる点は大きなメリットです。
例)4,000万円を35年で借りる場合
変動0.850%:毎月の返済額約11万円
固定2.390%:毎月の返済額約14万円
※PayPay銀行の変動金利、10年固定金利で比較
上記のケースの場合、毎月約3万円の差がでます。
毎月3万円を貯めておけば、1年間で36万円、5年間で180万円に。
結構大きくないですか?
もちろん借入金額や金利によって、返済額の差は変わりますが、まずはこの差を計算してみてください。
理由② 最初の10年間は金利の影響が特に大きい
住宅ローンを35年の元利均等返済で返済する場合、利息総額の半分近い金額を最初の10年で支払うことになります。
これは残高が大きいほど金利の影響を受けるためで、返済初期をいかに低金利で乗り切ることが重要かがわかります。
例)4,000万円を35年、金利0.850%で借りる場合
総支払利息:約625万円
最初の10年:約300万円
さらに金利が低ければ、利息の割合が少なくなり、その分だけ元金が減るスピードも早くなります。
例)4,000万円を35年で借りる場合
変動0.850%:10年後の残高2,975万円
固定2.390%:10年後の残高3,174万円
上記のケースでは10年後の残高に約200万円もの差が出ます。返済初期の金利差は、元金の減り方にも影響する点は見逃せません。
理由③ 金利上昇はあと1.25%程度までと考えている
変動金利を考えるうえで、一番不安になるのが金利上昇です。
現在の変動金利0.850%は、10年固定2.390%(金利差1.54%)やフラット35の2.710%(金利差1.86%)に追いつくでしょうか?
日銀の利上げは通常0.25%ずつ行われるため、変動金利が固定金利に追いつくにはあと6~7回の利上げが必要になります。
もちろん正解はだれにもわかりませんが、私個人の見立てとしては、利上げはあと5回。
変動金利の上昇余地は1.25%程度までをひとつの目安として考えているため、今の金利差であれば変動金利を推しています。
もちろんこれは予想であり、外れる可能性もあります。
一方で他の専門家たちの見立てともかけ離れた数字ではありません。
新たなメインシナリオでは、日銀が2026年6月、同年12月、2027年6月に0.25%ポイントずつ利上げするとみています。
野村證券のレポートでは1年で0.75%上昇の予想。
緩やかな金利上昇が予想されるものの政策金利は2%前後(現在0.75%)を上限に、その範囲内で上下するサイクルに落ち着くものと考えています。
モゲチェックでは今後10年~20年の間、1.25%程度の上昇を上限と予想しています。
変動金利を選ぶなら、必ず考えてほしい3つのポイント

ここからは変動金利を選ぶ場合、必ずセットで考えてほしい3つのポイントを解説していきます。
① 金利上昇リスクを「感覚」ではなく「数字」で理解する
変動金利が上がっても「なんとなく大丈夫だろう」
この感覚はちょっと危険です。
大事なのは、金利が上がったら毎月返済額がいくら増えるのかを数字で確認することです。
例)借入金額4,000万円で期間35年、金利0.850%の場合
1年後に金利が0.5%上がった場合、返済額は約9,000円増加。
3年後に1.5%上がった場合は、返済額が約27,000円増加。
このように必ずシミュレーションして、「金利が上がっても返せるか」を具体的な数字を見ながら考えてください。
そしてできれば住宅ローンだけで考えず、あなたの今後のライフプランと照らし合わせて、無理のない返済計画を立てましょう。
② 5年ルール・125%ルールを理解する
変動金利を選ぶなら、5年ルールと125%ルールも理解しておきたいです。
ざっくり言うと、5年ルールは毎月の返済額の見直しを5年ごとに行う仕組みのこと。
125%ルールは、5年後に返済額が見直されるときでも、前の返済額の1.25倍までしか増えないという仕組みです。
金利が上がっても返済額がすぐに増えることはなく、また急激な増加もしないため、変動金利を使う人にとって安心材料になります。
ただし、利息の負担は増えていくという注意点も。詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
③ 金利上昇に備えた貯蓄計画を持つ
変動金利を選ぶなら、貯蓄計画もセットです。
固定金利と比べて浮いた分は、今後の急激な金利上昇リスクに備えて残しておく。これが大事です。
逆にいうと、差額を貯める余裕がない人や、返済が少しでも増えたら家計が苦しくなる人は変動金利を選ぶのは、少し慎重に考えたほうがいいです。
ここまで読んで不安な人は固定金利が向いている可能性が高い

ここまで読んでも「変動金利はやっぱり怖い」と感じている人は固定金利が向いている可能性が高いです。
固定金利の大きなメリットは、返済額が変わらない安心感。金利差を払ってでも、この安心感を買いたい人はいますし、それは決して間違った選択ではありません。
変動よりも固定が向いている人の特徴
固定金利が向いている人の特徴を挙げていきます。
損得よりも安心感を優先したい
固定で安心を買ったと納得できる
金利のニュースを見ると不安になる
貯蓄が少なく金利上昇への備えがない
金利が1%上がると家計が厳しくなる
変動金利で浮いた分を貯蓄できる自信がない
このような特徴に当てはまる人は固定金利を検討しても良いと思います。
「金利が上がっても返済額は変わらない」
「ニュースに振り回されなくていい」
「住宅ローンを深く考えなくてよくなる」
これは、かなり大きな価値です。
また、変動にしても固定にしても、とにかく住宅ローンが不安でなかなか決断できないという人は、1度立ち止まってFPに相談してみることも効果的。
不安の正体を整理できる
プロの意見を聞くことができる
一般論でなく自分に合った判断ができる
そんなFP相談については、こちらの記事で詳しく解説しています。
固定金利を選ぶなら「全期間固定」を基本に考える
固定金利を選ぶなら、10年固定などの期間選択型ではなく、全期間固定をおすすめします。
理由は、固定金利のメリットを最大限に活かせるからです。
10年固定などの期間選択型は、固定期間が終わったあとに金利が変動するリスクが残ります。そして多くの場合、金利は上昇する可能性が高いです。
PayPay銀行で今10年固定を借りて、10年後の金利見直し時にどうなるか計算してみました。
仮に現在と基準金利が変わっていない場合、再度10年固定を選択する場合の金利は3.370%。変動金利は1.530%となります。
「変動は怖いけど、全期間固定は金利が高いから、とりあえず10年固定」
という選び方は、少し注意が必要です。
住宅ローンの金利タイプに絶対の正解はない

住宅ローンの金利タイプに、絶対の正解はありません。大事なのは、どちらが得かだけで決めないことです。
変動金利を選ぶなら、
金利上昇リスクを数字で理解する
5年ルール・125%ルールを確認する
浮いた返済額を使い切らず、将来に備える
固定金利を選ぶなら、
金利差を払ってでも安心感を買う
全期間固定を基本に考える
返済額が変わらないことに価値を感じる
この整理をすることで、どちらを選んでも大きな失敗にはなりにくいと思います。
私自身は、基本的には変動金利から考える立場です。
金利差による返済負担の違いは大きいですし、返済初期の低金利メリットも無視できません。
ただし、変動金利は「目先の返済額」だけで選ぶものではありません。
金利が上がっても耐えられるか、家計に余裕があるか、不安と付き合えるか。ここまで考えて選ぶものです。
そして最後に大事なのは、自分が納得して選べるかどうか。
住宅ローンは、借りたあとも20年、30年と長く付き合っていくものです。
人の意見やSNSの空気だけで決めるのではなく、自分の家計と気持ちに合った金利タイプを選ぶ。
それが、後悔しない住宅ローン選びの第一歩だと思います。
後悔しない住宅ローンの借りかたを7ステップで解説した以下の記事も参考にしてみてください!
