インド・パキスタンのカシミール停戦 2025|インド国内の反応【1】✭コミックエッセイ✭
2025年4月22日、カシミール地方のインド実効支配地域で発生したテロ事件(民間人26名死亡:内インド人25名、ネパール人1名)をきっかけに、5月7日、インドがパキスタン領内の「テロリスト拠点」を攻撃。これに対しパキスタンが報復攻撃を行い、両国間で軍事衝突がエスカレートしました。
完全即時停戦は同年5月10日現地時間午後5時(日本時間午後8時半)から発効し、両国軍の幹部が12日にさらなる協議を行う予定です。アメリカのトランプ大統領は48時間にわたる外交努力を強調し「インドのモディ首相とパキスタンのシャリフ首相の賢明さや、和平の道を選んだ政治手腕」を称賛しました。
本記事では、日本には伝わりにくいインド国内での停戦に対するリアルな反応の一部をお伝えいたします。(パキスタンや諸外国内での反応は各国と近い方が発信している情報からぜひ🙏)
✭前回✭ カシミール・パハルガムのテロ攻撃に対するインド国内の反応✭コミックエッセイ✭
Ⅰ.IMFによるパキスタンへの融資 ✴️



🇮🇳夫「インドもパキスタンもお金ないのにさぁ…。ベネフィットなるのは武器売ってる国ダケネ」 https://t.co/xzUmex0y7h
— 津籠茶里🇯🇵🙏🇮🇳夫 (@sari_tsugomori) May 8, 2025
🇮🇳夫「停戦後のモディ首相の国民向け演説の中では、パキスタンへのIMF融資の際に、次にまたテロ攻撃があればパキスタンの対応を待たず即テロリストに反撃して良いとパキスタンが約束したので、次はそうすると話しているヨ」
Ⅱ.インド国民の憤り ✴️





昨日ツイートしたこれね。JeMの指導者マスード・アズハルが葬儀に参列していたことは確認されている(公式情報源ではまだ)とのことで、それをパキスタン軍は知らなかったというのは通らないと思うので、国際社会に対しても誠実な対応が必要になるのかなあと思う。https://t.co/ksVJ1AsyvG
— ぽっぽや🐦 (@airblanca) May 11, 2025
❝パキスタンの将校らがテロリストの葬儀に参列。インドが氏名を公表❞
Ⅲ.パキスタンによるテロ攻撃への関与の実態
今回のテロについては、外国の関与、特にパキスタンの関与を示唆するものがいくつかある。(中略)カシミールにおけるテロ活動は、過去、アフガニスタン情勢との連動が示されてきた。カシミールにおけるテロ活動による死者数の推移をみてみたのが以下の図であるが、ソ連がアフガニスタンから撤退した1989年以降増えはじめ、9.11同時多発テロの後、アメリカ軍がアフガニスタンで軍事作戦を開始した2002年から減り始めている。つまり、カシミールでのテロ活動は、アフガニスタンで戦闘が起きると鎮静化し、アフガニスタンで戦闘がなくなると活性化してきた。

これらのテロリストの訓練キャンプがパキスタン国内にあることを踏まえて考えると、パキスタンで訓練を受けたテロリストは、アフガニスタンで戦闘があるとそちらに行き、アフガニスタンで戦闘がなくなるとカシミールに来る、という現象になっている。21年にアメリカをはじめとする各国の軍がアフガニスタンから撤退すると、テロリストがカシミールに来る可能性は高まったのである。
問題は、なぜパキスタンは、そのようなことを行うか、である。パキスタンは、71年の印パ戦争で敗れ、現在のバングラデシュにあたる地域を失ってから、戦略を練り直してきた。
もはや通常戦力では勝てないので、「たとえ草を食ってでも」核兵器をもつと主張し、核兵器開発に力を入れた。同時に、どんなに強い敵でも小さな傷を千個つければ弱くなるという、いわゆる「千の傷戦略」を採用し、テロ支援によってインドの国力低下を狙ってきた。特にこれらの戦略を進めたのは、パキスタン軍内で力を持つ統合情報部ISIとみられている。
長尾 賢. 〈テロで高まるインドとパキスタンの対立〉インドが持つ4つの軍事作戦、日本はどうあるべきか
インド人「インドとパキスタンの争いをコントロールしているのは結局アメリカだ」
PAK政府の関与は国際的に見てもバレバレということですよね。 そんなパキスタン内部でもインド寄りで中国を敵視しているバルチスタン州「バルチスタン解放軍」(BLA)の存在があります。パキスタンの内部は内部でとても複雑そうなのであります。こちらの内容に関しては別途記事を作成予定です。

バルチスタンがパキスタンからの独立宣言
— 津籠茶里🇯🇵🙏🇮🇳夫 (@sari_tsugomori) May 15, 2025
'We're Not Pakistani': Baloch Leader Declares Independence, Has This Request From Indians - タイムズ・オブ・インディア https://t.co/zj6T0nvdh0
「私たちは約30年間、アメリカ、そしてイギリスを含む西側諸国のために、この汚れ仕事をやってきた。それは間違いだったし、今その代償を払っている。」
— インドへようこそ | インド人YouTuber (@indoeyokoso) May 11, 2025
- Khawaja Asif (パキスタン国防大臣) https://t.co/JlT1xqqpxz pic.twitter.com/Fm1pEemsNu
Ⅳ.インド国内の様々な反応|SNS
1.賛否両論
マンガ内で話している動画の内容はこちら。
Translated to Japanese 🇯🇵 @prvkhvr https://t.co/5vbtRywAKm pic.twitter.com/c49sn9a18V
— Amit Beniwal (@amitbeniwal999) May 10, 2025
日本迄は届きにくいパキスタン・テロリストに対してインドの人々が抱えている切実な想いが垣間見えます。テロ行為に怒りを覚えているインド国民とヒンドゥー至上主義を紐付けて考えるのは、個人的に違和感を覚えます。実際に現場で近しくなっている事象はあるとは思うのですが、パキスタンやムスリム国がどうこうではなく、テロリズム自体は批判されるべきものではないでしょうか。
ジャム・カシミール州の元警察長官SPヴァイド氏は、停戦を「良い進展」と評価。
#WATCH | Jammu: On India- Pakistan ceasefire agreement, former J&K DGP SP Vaid says, " It is a good development...I feel that India has kept a condition that Pakistan needs to stop its acts of terrorism...US was doing the mediation...therefore, this agreement happened. Ceasefire… pic.twitter.com/o5nRKKynJU
— ANI (@ANI) May 10, 2025
インドとパキスタンの停戦合意について、元J&K DGPのSPヴァイドは、「良い進展だ...インドが、パキスタンがテロ行為を止める必要があるという条件を守ったことを私は感じている...米国が調停を行っていた...それゆえ、この合意が実現した。停戦は歓迎すべきことだ。
ジャンムー・カシミール州のオマル・アブドラ首相はIMFがパキスタンに10億ドルの即時融資を行ったことを激しく非難。
I’m not sure how the “International Community” thinks the current tension in the subcontinent will be de-escalated when the IMF essentially reimburses Pakistan for all the ordnance it is using to devastate Poonch, Rajouri, Uri, Tangdhar & so many other places.
— Omar Abdullah (@OmarAbdullah) May 10, 2025
2.インドで起こったテロ事件一覧(動画)
次にご紹介する動画は、インド政府と軍部にてシンドゥール作戦が発表された際の記者会見の様子の一部です。投影映像にてインドで起こったテロ事件を年代順に確認することができます。
⚠️投影映像内にテロ攻撃による御遺体が映っているので閲覧注意です⚠️
記者会見発表しているのは、Vikram Misriインド外務次官、Sofiya Qureshi大佐、Vyomika Singh中佐です。
外務大臣「パハルガムでのテロ攻撃は2008年のムンバイ・テロ攻撃以来、インドにおけるテロ攻撃で最多の民間人犠牲者を出した民間人に対する最大の攻撃。至近距離で家族を殺害されトラウマを負わされた」


3.インド情報筋のコメント
The sources, however, said that there will be no discussion with Pakistan regarding Kashmir and that India's stance has not changed. Kashmir, they emphasised, is - and will always remain - a bilateral issue between India and Pakistan.
"The attack on Bahawalpur (the headquarters of the Masood Azhar-led terror outfit Jaish-e-Mohammed) is comeuppance for the ISI. No matter where you are, we will hit you," the sources warned, adding that India had gone for the "head of the snake" and not for soldiers.
❝カシミール問題について同国と協議することはないだろうと、関係筋は日曜日に明らかにした。ドナルド・トランプ米大統領がカシミール問題の解決に向けてインドとパキスタンに「協力する」と表明したことに対し、関係筋は、カシミール問題は両国間の二国間問題であり、今後も常にそうあり続けるというインドの立場に変化はないと述べた。
「バハワルプル(マスード・アズハル率いるテロ組織ジャイシュ・エ・モハメッドの拠点)への攻撃はISIへの報いだ。どこにいようと、我々はお前らを攻撃する」と情報筋は警告し、インドは兵士ではなく「蛇の頭」を狙ったと付け加えた。❞
There Will Be No Discussion With Pak On Kashmir: Sources.
Ⅴ.本音は停戦して良かった? 両国のメンツ
専門家の方の意見をご紹介します。
危機を繰り返すという「安定」
(略)印パ間でも、時々、激しい怒りが盛り上がるが、ほどなくして、冷静な駆け引きになっていくのである。
パキスタンが、核兵器を保有し、カシミールにおけるテロ活動を支援するようになったのは1980年代末であるが、それ以降だけみても、90年の核危機、99年のカルギル危機(またはカルギル戦争)、01~02年のパラカラム作戦、08年のムンバイ同時多発テロ後の危機、さらには16年と19年にも、テロ事件、戦闘が繰り返されてきた。その都度、情勢は緊迫したが、結局は収まるのである。
その原因は、印パ双方がエスカレーションを望んでおらず、しかも、相手をよく知っていて駆け引きの相場観も一定程度確立しているからである。今回も、パキスタンが報復攻撃し、危機をしばらく継続させる可能性があるが、最終的に求めているのは、戦争の拡大よりも、印パ両方が「勝利宣言」できる、メンツの立つ落としどころだろう。
もし、まだ4月22日のテロ事件の実行犯が殺害されていないのならば、モディ首相が「地の果てまで追う」と宣言している以上、インドは追いかけるだろう。ただそれは、インドの情報機関、研究分析局による暗殺になるだろうから、印パ核戦争の危機とは違った様相になる。
だから、今回の危機も、また、ほどなくして緊張が収まっていくものと思われ、そしてしばらくして、また危機が訪れ、それを繰り返すものと思われる。そういう意味で、印パ間は安定した関係といえるのである。
長尾 賢. <解説>インドがパキスタンに攻撃、今後起こること…大きな戦争あるいは核戦争?印パ関係の歴史から分かる不思議な「安定」
🇮🇳夫「今回もし停戦しなかったら、軍事費が尽きていたパキスタンは核兵器を使ったのではないかという見方もある。
パキスタンでは5月10日にマグニチュード4.0の地震が2回、5月12日にマグニチュード4.6の地震が1回起きた。これを元にした陰謀論も飛び交った。パキスタンが地下で核兵器のテストをしたとか、インドが核兵器施設へインドが攻撃したとか」
EQ of M: 4.6, On: 12/05/2025 13:26:32 IST, Lat: 29.12 N, Long: 67.26 E, Depth: 10 Km, Location: Pakistan.
— National Center for Seismology (@NCS_Earthquake) May 12, 2025
For more information Download the BhooKamp App https://t.co/5gCOtjdtw0 @DrJitendraSingh @OfficeOfDrJS @Ravi_MoES @Dr_Mishra1966 @ndmaindia pic.twitter.com/x6TpdHyX6U
次回、インド国内の反応第二弾では、政治に焦点を当てます。
# シリーズ初めから
# 関連記事
# 当サイトについて
当サイトは、インド人夫が語るインドカルチャーやニュース、私達国際結婚夫婦の日常をメインに綴っています(夫がネタ放出、私妻が編集作画)。
夫は北インド出身です。「インドでは――、」とよく語りますが、インドは広い上に多民族多宗教多言語国家のため、南インドなど地域により異なる場合があります。その点ご留意いただき、北インドの某インド人はこういう感覚なのか〜という感じで読んでいただけると幸甚であります。基本的には楽しんでもらえるような記事を発信していますが、真面目な題材も扱います。参考文献を併せてご覧いただくとより詳しく知ることができます。
# 参考文献
1) 毎日新聞: インドとパキスタンが即時停戦で合意 アメリカが仲介 衝突収束へ. 2025/5/10(閲覧日:2025年5月11日)
2) NHK NEWS: インドとパキスタン 停戦で合意 双方自制続くか予断許さぬ情勢. 2025年5月11日(閲覧日:2025年5月11日)
3) THE TIMIES OF INDIA. IMF clears loan to Pakistan, India abstains, citing its poor record. Updated: May 10, 2025 (閲覧日:2025年5月11日)
4)長尾 賢. 〈テロで高まるインドとパキスタンの対立〉インドが持つ4つの軍事作戦、日本はどうあるべきか. 2025年5月7日 Wedge ONLINE(閲覧日:2025年5月11日)
5) WION: Operation Sindoor: Two Women Officers To Brief World Media, Vikram Misri To Be Present. 2025/05/07 YouTube(閲覧日:2025年5月11日)
6) Hindustan Times: Full Video: Indian Army, Air Force Give Details Of Military Strikes On Pakistan | Operation Sindoor. 2025/05/07 YouTube(閲覧日:2025年5月11日)
7) 長尾 賢. <解説>インドがパキスタンに攻撃、今後起こること…大きな戦争あるいは核戦争?印パ関係の歴史から分かる不思議な「安定」. 2025年5月9日 Wedge ONLINE(閲覧日:2025年5月12日)
8) Rimjhim Singh. Why India abstained on IMF's $2.3 billion loan package for Pakistan. May 10 2025 Business Standard(閲覧日:2025年5月12日)
9) Press Trust of India: IMF 'reimbursing' Pak for ordnance used to devastate border areas: Abdullah. May 10 2025 Business Standard(閲覧日:2025年5月12日)
10) Neyaz Farooquee. India-Pakistan top military officials to speak as ceasefire holds. May 12 2025 BBC(閲覧日:2025年5月12日)
11) Chandrajit Mitra. "Let Me Be Blunt About It": Shashi Tharoor On Trump's Role In Ceasefire. May 12, 2025 NDTV(閲覧日:2025年5月12日)
12) Manjiri Chitre. India Pakistan Ceasefire Live Updates: PM Modi Chairs Meet With Top Defence Officials, CDS. May 12, 2025 NDTV(閲覧日:2025年5月12日)
13) Barak Ravid. Trump announces "full and immediate" ceasefire between India and Pakistan. Updated May 10, 2025 AXIOS(閲覧日:2025年5月12日)
14) NDTV WORLD: India, Pak Military Officials To Discuss Next Steps As Ceasefire Holds. May 12, 2025(閲覧日:2025年5月12日)
15) Vishnu Som. There Will Be No Discussion With Pak On Kashmir: Sources. May 11, 2025 NDTV(閲覧日:2025年5月12日)
16)Akhilesh Sharma. These Pak Officers Attended Funeral Of Terrorists. India Releases Names. May 12, 202 NDTV(閲覧日:2025年5月12日)
17)
Gibran Naiyyar Peshimam, Shivam Patel, Charlotte Greenfield and Aftab Ahmed. Explosions reported after India and Pakistan agree to ceasefire. May 11, 2025(閲覧日:2025年5月14日)
Explosions reported after India and Pakistan agree to ceasefire.
18)
Alex Magno. Defused. Philstar May 13, 2025(閲覧日:2025年5月14日)
19)
IDRW: Pakistani Earthquakes During India-Pakistan Conflict: Nuclear Test Conspiracy or Damage to Nuclear Facilities? May 13, 2025(閲覧日:2025年5月14日)
20) BBC News Japan: インドとパキスタン、停戦合意後に互いが「違反」と非難. 2025年5月11日(閲覧日:2025年5月14日)
いいなと思ったら応援しよう!
応援、嬉しいです♪🙏🦭