対話とは 話し合いだと 思い込む | 話はしているのに【働くを詠む #15】
あなたにとって、対話と聞くと、どんな打合せが思い浮かびますか?
前回の記事では、エンゲージメントサーベイは味見であり、
そのあとにどんな取組みをすれば良いのかを書きました。
必要なのは、なぜその状態になっているのかを考え、
組織を良くする取組みを実施することです。
今回は、その取組みの核心にある「対話」について整理してみます。
思い込み 相手に映り 省みる
先日、何気ないグループミーティングでの一言で、
自分の前提を揺さぶられた経験がありました。
各部署ごとにある取組みを各部長経由で依頼をしていました。
ただ、進捗が芳しくなく、次のアクションを考えていました。
その時、メンバーから、
「自部署が率先してやるべきではないか」
という発言がありました。
その瞬間、どこか上から目線で構えていた自分に、
ハッと気づかされたのです。
自分の頭ではわかっていました。
各部署を統括する私たちとしては、
自部署から率先して先に進めるべきだと。
ただ、部長にわざわざ「早くやってください」と言うのも
面倒だし、部長なら、大丈夫だろうと思っていました。
でも、相手の真剣な言葉は、私の思い込みを
映し出す「鏡」となり、気づきを与えてくれました。
そして私は、
「その通りだと思う。できていなかったことは申し訳なかった」
とその場で伝えました。
打合せのあと、すぐに部長へ率先して進めてもらえるようお願いしました。

話はしているのに
この体験を振り返ると、
それまでの私は「話はしていた」のです。
ただ、対話はできていなかった。
話し合いは、結論を出すことや、
何をやるかを決めることに向かいやすいものです。
一方で対話は、
なぜ違和感があるのか
何に意味を感じていないのか
何を脅威に感じているのか
何を求めているのか
といった、見えない内面を扱うためのものです。
対話とは、相手を変えることではなく、
相手に興味を持ち、
相手を通じて、
自分の前提や基準を見直すことなのです。
適応課題と対話
#03(職場の課題)で書いた適応課題を思い出してください。
日本の職場における組織課題の多くは、目に見えにくく、
正解がない適応課題です。
だからこそ、対話が必要になります。
人によって、公欲も私欲も、それぞれ異なります。
そして、それらは見えません。
だからこそ、話すしかないのです。
対話を通じて、メンバー同士で理解し合うこと。
メンバーとリーダーで期待や意味づけをすり合わせること。
これらを通じて、初めて組織の課題が少しずつ見えてきます。
そして、その課題を解消するために、
各々が相手を通じて感じた
「自身の前提や基準」を見直し、行動を変えていく。
これこそが、組織が変わっていくプロセスなのだと思います。

万能な施策はない
組織の状態は様々であり、抱えている適応課題も異なり、
その要因も改善策もまた異なります。
組織を良くする取組みである組織開発は
「アンブレラワード」と言われています。
それは、個別の施策名ではなく、
良くするための取組み全般を
大きなひとつの傘で包み込む言葉として使われています。
すなわち、組織課題の解決に共通して使える
「万能な施策」などは存在しないのです。
だからこそ、
現場の人達の対話により、
要因を見つけ、
改善していくことが必要なのです。
そして、万能な施策がないからこそ、
エンゲージメントの結果は、
解決に向けた対話のヒントを私たちに与えてくれます。
対話とは 話し合いだと 思い込む
対話とは、相手を通じて、
自分の前提や基準を見直すことです。
組織を良くする取組みは、
誰かがやってくれるものではありません。
組織を良くするのは、
誰かが用意した施策ではなく、
現場の私たち自身が違和感に向き合い、
対話を通じて変わっていくことなのだと思います。
もし、
何を手がかりに考えればよいか迷ったときは、
第二章「人が動く構造とは」に
照らし合わせてみてください。
そうした視点で見てみると、
今まで見えていなかった課題が、
少し違ってみえるはずです。
あなたの組織では、違和感を言葉にできていますか?
この問いの先に、本連載を通して、願ってきた思いがあります。
最後に「おわりに」として書いていますので、ぜひ読んでみてください。
次回【働くを詠む #16】
前回【働くを詠む #14】
測るだけ それでは人は 動かない
#働くを詠む #人が動く構造 #組織力 #創作大賞2026 #ビジネス部門
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