借金地獄からの夜明け前【第1のどん底② 転換編】
人生には、どんなに頑張っても報われない時期があります。
けれど、そんなときに「どう動くか」で、未来は本当に変わる──
僕が20代の頃、初めてのどん底を経験しました。
その始まりを前回の記事で書きました。
あの頃の僕は、どん底の中にいながらも、自分を信じていました。
「俺は絶対成功する。
この経験は、きっと未来で意味を持つ」
と。
それが現実になるのは、少しあとのこと──
たったひとつの小さな行動が、すべてを動かし始めました。
苦渋の決断へ
家賃を6ヶ月滞納し、複数の消費者金融、そして後の妻になる彼女にもお金を借り始めていた僕。
不動産会社に呼び出され、これ以上滞納ができなくなったとき──
もう終わりだと思ったその矢先、ひとつの奇跡が起きました。
それは、5年の間まったく成果が出なかったダイレクトセリング(無店舗販売)で、初めて約40万円の報酬を得たのです。
そこから家賃の滞納分を支払うことができたときは、九死に一生を得た気分でした。
しかし、まだまだ借金はあります。
さらに、普段のビジネスの報酬は月に5万円前後。
アルバイトを増やせば生活は安定するのに、成功を目指す以上それだけは避けたかった。
けれど、このままでは借金は増える一方。
また家賃を滞納するのも時間の問題でした。
「成功するまで絶対に諦めない」という決意で始めたビジネスも、もう5年。
結婚を考えている彼女もいる。
このままでは駄目だと悟りました。
一度立ち止まり、アルバイトを最優先にする──
そんな苦渋の決断です。
僕は、週5〜6日、1日7時間がっつり働けるアルバイトを探すことにしました。
24歳で雇われない生き方を選んだ自分には、正直、悔しさもありました。
けれど、どん底から抜け出すための現実的な一歩だと割り切ったのです。
「これも、のちにサクセスストーリーの一部になる」──
そう自分に言い聞かせました。
雑貨屋の店長候補募集
登録した派遣会社から、いくつかの仕事を紹介されました。
その中で、「店長候補募集」の文字が目に留まりました。
業種は雑貨屋。
経験はなかったけれど、店長候補ならたくさんの時間働けそうと思い、興味を持ちました。
面接希望を派遣会社の担当者に伝えると、意外な返事が返ってきました。
「大卒のせきさんなら、もっといい仕事はたくさんありますよ。」
どういうつもりで言ったのかは分かりませんが、僕は
「いえ、ここを希望します」
と答えました。
担当者の話では、普通の雑貨屋というより、デパートの一角に期間限定で出すような催事売場のようなお店らしい。
どうやら、あまり勧めたくない仕事のようでした。
ちょっと迷いましたが、どうせ一生働くつもりでもないので、
「それでもいいです」
と伝えたところ、
「一度、お店を見に行ってから決めてください」
と言われたので、静かに了承しました。
はじめて店を見に行った日
そのお店を実際に見に行った日のことを、今でもよく覚えています。
なんとなく、何かが始まるような、そんな予感がしていました。
あ……お店を見た瞬間、言葉を失いました。
多くの人が思い描くおしゃれで温かみのある雑貨屋とは、まったく違いました。
いかにも期間限定の催事売場。簡易な什器とパーテーションで区切られた、仮設感の強いお店。
一言でいえば、すぐ撤去できそうな店。
お客さんの姿もなく、どう見ても売れてなさそうでした。
派遣会社から、僕がお店に顔を見せることだけは伝えてありました。
それでも、知らぬ顔をしてその場を去ろうと真剣に思いました。
でも、なにか胸が騒ぐ感覚がありました。
「このまま去ってはいけない」──
そんな声が心の奥で響いた気がしました。
一度は何食わぬ顔で店の前を通り過ぎました。
けれど、胸騒ぎが収まらない。
気づけば、足が勝手に戻っていました。
社長との出会い
そして、40歳前後の店長らしき男性に声をかけると、その人が社長でした。
嫌味がまったくなく、愛嬌のある笑顔を見せる、話の面白い人でした。
この人のもとで働くのなら、苦ではなさそうだ──そう思いました。
過去に人間関係で苦い経験をした僕にとって、その点はとても重要だったのです。
それでも、お店の第一印象だけはどうしても拭えません。
けれど、お店の印象よりも、僕の心の声の方が強かった。
社長も、僕を気に入ってくれて、来てほしい様子。
ならば──しばらく働いてみて、合わなければ辞めればいい。
そんな軽い気持ちと直感で働くことに決めました。
ここで僕が雇われてがっつり働くのを決めたのは、お金のため。
ひとまず生活を安定させて、借金を減らすため。
店長候補なので、店長の仕事はしっかりマスターしようと思っていました。
現金がみるみる積み上がる…
いよいよ初出勤日。
土曜日でした。
第一印象が強く脳裏に焼き付いていたので、「たいして忙しくないだろう」と余裕で構えていました。
ところが──ふたを開けてみれば、とんでもない忙しさでした。
まとめ買いのお客さんが次々と押し寄せ、商品は飛ぶように売れる。
会計が途切れない。
レジには紙幣がみるみる積み上がっていく…
あっという間に売上は50万円を超えたのには驚きました。
100万円を超える日もありました。
まさに大繁盛店でした。
思えば、僕が社長に会ったのは平日のいちばん暇な時間帯だったようです。
社長から叩き込まれた売る力
社長はアイデアマンで、販売(セールス)のプロでした。
社長からは、販売のいろはを叩き込まれました。
初めて教わるプロの販売スキル。
まさに目からウロコでした。
最初のうちは「なるほど」と聞いているだけでしたが、社長が不在の日に店を任されるようになってから、その動き方や話し方を真似するようになったのです。
それは店長として、社長の代わりを務めるため。
だからこそ、売上もしっかり上げようと頑張りました。
次第に、社長がいるときと同じくらいの売上を上げられるようになりました。
半年後には、社長の数字を超える日も出てきました。
正直、もう少し時給を上げてもらえたら…という気持ちはありました。
でも、こちらから給料の話は一切しませんでした。
それでも社長は、黙って時給を上げてくれたのです。
ときには「よく頑張ってくれたね」と言って、そっとポケットマネーを渡してくれることもありました。
あとで社長に聞いたのですが、この業界は不正が横行しがちだとか。
僕は一度もそんなことをせず、誠実に働きました。
その姿勢を、社長は見てくれていたのだと思います。
それもあってか、少し前から彼女も一緒に雇ってもらえるようになり、やがてお店は僕たち二人に任されるようになりました。
二人で働き、十分すぎる給料をいただけるようになったのです。
5年間、学んできたこと、学んでなかったこと
そうやって、社長も驚くほどの売上を上げられるようになっていた僕ですが──思い返してください。
あの頃の僕は、5年間も寝る間を惜しんで動き続けていたのに、結果はまるで出ていなかったのです。
あの5年間、僕は成功哲学や自己啓発といった思考やマインドの世界にどっぷり浸かっていました。
当時の1990年代は、今ほど自己啓発が一般的ではなかった時代。
バブルの余韻がまだ残り、日本全体に勢いがあった。
僕は、マインドさえ変えれば、人生はすべて好転すると本気で信じていたのです。
けれど、現実は──家賃滞納に多額の借金。
そういえば、アパート近くのお寺に借りていた駐車場代も、何ヶ月も滞納して迷惑をかけていました…。
そこからなんとか抜け出すために、雑貨屋の店長候補として働くことになりました。
そして、そこでやっと気づいたんです。
──僕は、“売る技術”をきちんと学んでこなかった。
こうして、偶然にも雑貨屋の社長からセールスのスキルを学び、実践し、結果を出すことができました。
あのときの僕は、ラッキーだったと思います。
けれど、あとになって気づいたんです。
同じことを学んでも、できる人とできない人がいるということに。
つまり、僕は単にラッキーだけはない、と気づいたのです。
では、なぜ僕はできたのか?
心とスキルが噛み合った現実
それは、前回の記事で書いたナポレオン・ヒルの「ポジティブ・メンタル・アティチュード(積極的心構え)」を学んでいたからできたのです。
スキルは大事。
だけど、スキルだけ学んでも、行動できなければ意味がない。
行動すれば失敗もする。
だからこそ、何度でも立ち上がるメンタルが必要なんです。
心の持ち方とスキル──
その両輪が噛み合って、はじめて現実は動き出す。
僕は雑貨屋の店長となり、お店を完全に任されるようになってました。
派遣を解約し、直接社長から雇われる形になりました。
家賃の滞納は解消し、消費者金融の借金もほとんど返し終えました。
経済的には、ようやく安定を取り戻しつつありました。
ただ、雑貨屋で働く時間が増えるほど、ダイレクトセリングの活動に使える時間は減っていきました。
そのビジネスへの熱が少しずつ冷めかけている自分に、うっすら気づいていたのです。
ただ、その時はまだ諦めたわけではありませんでした。
自由に生きるという覚悟や自信はまったく失ってなかったのです。
──つづく。
おわりに
次回は、一回目のどん底の最終回。
僕がどう動き、何を変え、そんな結果にたどり着いたのかをお話します。
続きはこちら。
👉 【第1のどん底③ 飛躍編】雇われ店長をやめ、雑貨屋オーナーへ。初めての成功体験からの…
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初めて僕の記事を読んでくださった方へ──
よければ、最初に書いた自己紹介の記事も読んでみてください。
せきたつや
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