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お雑煮から見える日本のカタチ-中学生が夢中になった「共通性と特殊性」の授業|食×授業#3

「地理の授業って、教科書の用語を暗記するだけで実感がわかない……」
そんな中学生のイメージを覆したくて、ある「美味しいテーマ」を授業に持ち込みました。

中学2年生の日本地理。
ここで大切にしたい視点は、地域の特色を**「共通性」と「特殊性」**という2つのモノサシで捉えることです。

でも、言葉だけではなかなか伝わりません。
そこで教材にしたのが、お正月の定番料理―「お雑煮」でした。


1.冬休みのミッション:お雑煮ミニ新聞

冬休み前、生徒たちに一つの課題を出しました。
「自分だけのお雑煮ミニ新聞を作ってきてください」

ここで私が必ず伝える「大切なルール」があります。

「家でお雑煮を作らない人もいます。無理に“家の味”を探さなくて大丈夫。本やネットで調べた『推しのご当地雑煮』でもOKです」

家庭環境の差が、学習の差にならないように。「自分の家」「親戚の家」「旅行先」「調べて気になった地域」から自由に選べる選択制にしました。

遊び心が「書くハードル」を下げる

ミニ新聞には、3つの仕掛けを作りました。

  • ① イラスト・写真は必須: 視覚的に「違い」を捉えるため。

  • ② 取扱説明書(取説)風の解説: 特徴や具材を「仕様」として書くことで、文章を書くハードルを下げます。

  • ③ 参加型の3択クイズ: 「みんなが楽しめる問題」を2問。これが後の発表会で効いてきます。

2.始業式明け、教室が「日本地図」になる

休み明けの授業。教室は活気に溢れました。
クイズ形式の発表会に、生徒たちは身を乗り出して参加します。

「えっ、角餅じゃないの?」
「同じ県内でも、出汁が全然違う!」

生徒たちの手元には、すでに多様な「地域文化」の情報が集まっていました。

3・「発表して終わり」にしない。ここからが地理の深掘り

発表会の熱気が冷めないうちに、次の時間で「整理」を行います。
黒板に並ぶのは、各地のお雑煮の写真。

  • 関東の「角餅・すまし仕立て」

  • 関西の「丸餅・白味噌仕立て」

  • 香川の「あん餅雑煮」ここで問いかけます。
    「なぜ、同じ日本なのに、お雑煮はこんなに違うんだろうか?」

ここからが、地理の視点の出番です。

丸餅は「円満」を願う文化圏。
対して角餅は、「気の短い江戸っ子が包丁で切りやすい形だったから」とも言われています。
そして香川で「あん餅」が生まれたのは、かつて砂糖の産地だったから。
出汁の違いは、その土地で獲れる海産物や産業の違い……。

個々が調べてきた「点」の情報が、気候・地形・歴史という視点を通ることで、鮮やかな「線」としてつながっていきます。

4.一杯のお雑煮に込められた「願い」

生徒たちは気づきます。

「餅が入っていることや、正月に食べるのは共通している」
「でも、味や形にはその土地ならではの特殊性がある」

お雑煮のルーツは室町時代の武家料理。
年神様に供えたものを煮炊きし、長寿や豊作を願う心は、日本全国どこでも同じです。その「共通の願い」が、各地の豊かな産物と結びついて、多様な「特殊性」へと枝分かれしていったのです。

5.学びを「自分事」にする工夫

ミニ新聞を作って発表する。それだけでも楽しい活動です。
でも、その後に「共通性と特殊性」という地理のモノサシを当てることで、学びは一段と深くなります。

一杯のお雑煮から、日本の広さと奥行きが見えてくる。
そんな実感を伴う授業を、これからも大切にしていきたいです。

【皆さんに質問です!】
皆さんのご家庭では、どんなお雑煮を食べていますか?

「うちはこれを入れるのが当たり前だと思ってた!」
「実はこんな珍しい具材が入ります」

といったエピソードがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。
みんなでコメント欄を「日本雑煮地図」にできたら嬉しいです!


今日の話が、社会科の面白さを思い出すきっかけになれば嬉しいです。 このテーマを「中学社会科の視点」で読み解く授業は、メンバー限定でお届けしています。 土曜夜の社会科教室で、学びなおしを一緒に楽しみませんか。

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