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「牛乳はどれも同じ?」を壊した授業-利き牛乳で見えた“社会の仕組み”|食×授業#2

「牛乳なんて、どれも同じでしょ?」

そう言った生徒の一言から、この授業は始まりました。
私は、食べることが好きです。
ただ食べるだけでなく、「それがどこから来て、なぜ今の形になっているのか」を考えるのが好きな、少し面倒くさい社会科教師でもあります。
そんな私が、ある時に行った「利き牛乳」の授業を紹介します。



1.牛乳の「正体」を知っていますか?

普段、何気なく飲んでいる牛乳。
実は、その「殺菌方法」によって、味も背景も大きく異なります。
そこで、今回、次の3種類の牛乳を教室に持ちこみました。

  • 高温殺菌牛乳(約130度・数秒)

  • 低温殺菌牛乳(62〜68度・30分)

  • 超高温殺菌牛乳(いわゆるLL牛乳)

これらを並べて、班ごとに「どれがどの牛乳か」を当てる利き牛乳を行ったのです。

2.「匂い」だけでも参加できる授業

もちろん、牛乳が苦手な生徒やアレルギーのある生徒もいます。
そこで最初にこう伝えました。

「飲まなくても大丈夫。色や香りだけでも、立派に観察できるよ。」

A・B・Cと書かれた、3つのプラコップに注がれた牛乳を前に、生徒たちの表情が少しずつ変わっていきます。

「こっちはさらっとしていてるみたい」
「これは少し甘い匂いがするよ」

そして、自分用のプラコップに一口分を注ぎ、いよいよ試飲です。
3つのコップの牛乳を飲み比べたあと、多くの生徒がこう言いました。

「あれ、全然違う」

ここで、いよいよ問いかけます。

「一番好きな牛乳の味はどれかな?」

それぞれを推す声が上がり、教室中は盛り上がりに。
そして、それぞれの牛乳のパッケージを見せました。

「では、いつも給食で飲んでる牛乳は、A~Cのどれだ?」
「ちなみに、他の2つは、この超高温殺菌牛乳と低温殺菌牛乳だよ。」

「Aが自然な味だと思います」
「なんか、Bはバターみたいじゃない?」
「でも、Cが一番おいしいから、これがいつもの牛乳だよ。」

子どもたちの予想が出そろったところで、ようやく答え合わせ。
正解は…

  • Aのコップ:高温殺菌牛乳(約130度・数秒)

  • Bのコップ:低温殺菌牛乳(62〜68度・30分)

  • Cのコップ:超高温殺菌牛乳(いわゆるLL牛乳)

たかが牛乳、と思っていたものが、ここまで意見を分けることに、私自身も驚きました。

3.なぜ「おいしい」が主流にならないのか

盛り上がったところで、次の問いを投げかけます。

「実は、Bの低温殺菌牛乳は、より自然の味に近いといわれているんだけど、なぜ給食に出ないのかな。なぜ、あまりたくさん売ってないのかな?」

生徒たちからは、

「値段が高いから?」
「作るのに時間がかかるから?」

といった声が上がります。
その通り。
低温殺菌は時間がかかり、大量生産に向いていません。
一方、高温殺菌は短時間で大量に処理することができます。
つまり、私たちが普段飲んでいる牛乳は、「効率」と「コスト」の中で選ばれてきた味なのです。
企業の立場で考えると、見えてくる景色が変わります。

4.北海道の牛乳に隠れた歴史

さらに、地域の話にも広げていきました。

「北海道の牛乳と本州の牛乳には、どのような違いがあるのでしょうか。」

かつて北海道では、広い土地を生かして大量の牛乳が生産されていました。
しかし、今のように輸送技術が発達していなかった時代、新鮮なまま届けることは簡単ではありませんでした。だからこそ、保存性を高める工夫として、超高温殺菌の技術と長期保存可能なパックの開発により、常温保存が可能なCのLL牛乳が誕生したのでした。
そう、「おいしさ」の裏側には、運ぶための工夫と地域の歴史があるのです。

5.一杯の牛乳から見えるもの

牛乳を比べる。ただそれだけの活動です。
しかし、その中には

  • 企業の戦略

  • 消費者の選択

  • 地域の歴史

が詰まっています。
「おいしい」で終わらせず、「なぜこの味が当たり前になったのか」と考える。
その瞬間、日常は「社会科」の授業になるのです。

あなたが今日飲んでいる牛乳は、どのタイプでしょうか。
ちなみに私はビン世代で、小学校の頃は石炭ストーブの上で温めて飲んでいました。今では考えられませんが、あの少し香ばしい味も、大切な思い出の一つです。

「三角パックでした」「ミルメークが楽しみでした」など、牛乳にまつわる思い出があれば、ぜひ教えてください。


【この授業の流れ(概要)】
・導入:「牛乳なんてどれも同じでしょ?」
・活動:3種類の牛乳を観察・試飲
・発問:どれが一番おいしい?給食の牛乳は?
・展開:殺菌方法の違いを知る
・問い:なぜ“おいしい”が主流にならないのか
・まとめ:社会の仕組みにつなげる


今日の話が、社会科の面白さを思い出すきっかけになれば嬉しいです。 このテーマを「中学社会科の視点」で読み解く授業は、メンバー限定でお届けしています。 土曜夜の社会科教室で、学びなおしを一緒に楽しみませんか。

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