【実録】2度目の腰痛で絶望した私を救ったのは、掃除用具を持った「神様」だった話|休み時間#16(腰痛②)
#休み時間シリーズ (第16話)
学校の先生や教育全体に関する
あるあるな話題を取り上げていきます。
※このシリーズは、どの回からでも読めます。
人生2度目のぎっくり腰は、突然やってきました。
一度経験していると、人は妙に冷静なものです。「あ、これヤバいやつだ」と察した瞬間、私は前回の教訓を活かしてすぐにアイシングをしました。おかげで激痛は引いたのですが、問題はそこからでした。
腰が、まっすぐ伸びないのです。
1.掃除用具を持ったおじいさんとの出会い
中腰のまま固まった、情けない姿勢。立つのも座るのも苦痛で、以前お世話になった遠くの整体へ行く気力もありません。私は這うようにして、近所の整形外科へ向かいました。
待合室は混んでいました。壁に寄りかかり、冷や汗を流しながら順番を待ちます。その時でした。
「ちょっと、こっちにおいで」
声をかけてきたのは、玄関を掃除していたおじいさんでした。掃除をしているのだから、ここのスタッフの方だろう。そう思い、私は言われるがまま、そろりそろりと彼についていきました。
2.「え、そこ?」疑念が確信に変わる瞬間
通されたのは、隅っこにある小さな診察室のような部屋。「横になって」と促されるままベッドに倒れ込みます。すると、そのおじいさんが、ふくらはぎをもみ始めたのです。そのあとも…おじいさんは、太もも、背中、肩、首と、激痛が走る腰をとばして、触れていきます。
(え、なんでそこ? 私は腰が痛いんだけど……この人、いったい誰?)
疑念を抱きながらも、心地よいリズムに身を任せて20分ほどが過ぎました。
すると、おじいさんから、
「はい、もう大丈夫だよ。立ってごらん。」
のひとことが。
半信半疑で床に足をつけた瞬間、衝撃が走りました。まっすぐ立てるのです。あんなに頑固だった痛みが、消えていました。
すぐさま、
「本当にありがとうございます! この病院の先生なんですか?」
私が勢いよく頭を下げると、おじいさんはニコニコした顔でこう言いました。
「ただの掃除のじいさんだよ。だいたい、ぎっくり腰なんて病気じゃないから、治療費はいらないよ。そのまま帰りなさい。……無理しちゃダメだよ」
3.掃除のおじいさんの正体
翌日、私は何事もなかったかのように職場に立っていました。あまりの不思議さに、夕方、お礼を伝えたくて再び病院を訪ねました。
「昨日、掃除をしていたおじいさんに診ていただいたのですが…」
「えっ?うちには、そんなお年寄りの先生はいませんよ。」
受付の女性はきょとんとしています。
「そんなはずないですよ。確かに見てもらったんだから。」
「そう言われても・・・」
しかし、そのやりとりをを聞いたベテランの看護師さんが、話に入ってきました。
「ああ、それは『大先生』のことね。」
実は、あのおじいさんは、数年前に息子さんに病院を譲り、今は静岡で隠居されている先代の院長先生だったのです。新しく入った受付の人が知らないのも無理はありません。その大先生が、たまたまお孫さんの顔を見に、遊びに来ていたらしいのです。看護師さんからは、
「あなた、本当に運がいいわね」
と笑われてしまいました。
4.「無理しちゃダメだよ」という許可
ゴッドハンドは、実在しました。
でも、今の私に一番効いているのは、技術以上にあの言葉です。
「無理しちゃダメだよ」
あの日、掃除用具を持った神様が教えてくれたこと。
それは、「教師も、自分の体をもう少しだけ労わっていい」という許可だったのかもしれません。
今回は、私が若手教師の時代に体験した、ウソのような本当の話でした。
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▼休み時間シリーズ
前回:
第15話:腰痛①
次回:
第17話:ウルフアロン
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