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東京体育館の奇跡。ウルフ アロン選手に教わった「本音の言葉」と「力の抜き方」|休み時間#17

#休み時間シリーズ (第17話)
学校の先生や教育全体に関する
あるあるな話題を取り上げていきます。

※このシリーズは、どの回からでも読めます。


「(えっ!当たった!!やった!!!)」

周囲は見知らぬ人ばかりなので、心の中で声にならない声を上げ、小さくガッツポーズをしました。

先日参加した「トップアスリートスポーツフォーラム2026」。その最後の抽選会で、なんと寄せ書き色紙が当たったのです。これまでの人生を振り返っても、こうした抽選会で当たった試しがありません。せいぜい、商店街の福引で3等の500円券が当たったことくらいでしょうか。

時は令和6年3月1日、場所は東京体育館。
私にとって、ここは単なるスポーツ施設ではありません。プロレスファンとして、人生の好きな試合ベスト3に入る「聖地」なのです。

アントニオ猪木さん率いる新日本プロレスと、前田日明さん率いるUWF。あの伝説の「5対5 イリミネーションマッチ」が行われた、あの場所。
実は、私は当時のチケット半券を39年間、大切に保管していました。先日、手放してはしまいましたが、その色あせた紙切れは、私の青春そのものでした。

1986年3月25日のチケット半券


千駄ヶ谷駅の改札を出ると、一気に38年前(1986年)にタイムスリップした感覚になり、当時の熱狂が蘇ってきます。そんな「伝説の目撃場所」で、今回もまた、忘れられない言葉に出会うことになったのです。

2026年3月1日の東京体育館

1.一流の素地は「地味な反復」から

前半は、ロンドン五輪銅メダリストの江畑幸子さんと、東京五輪金メダリストで、現在はプロレスラーとしても活躍されているウルフ アロンさんの対談でした。ジャーナリストの方の進行で、質問に答えていく形式です。

心に残ったことがいくつかあります。それは、メダリストであるお二人に共通するお話でした。

一つ目は、二人とも中学2年生の頃に「スポーツ選手としての素地」ができたというお話です。ウルフさんは毎日10キロ走り、江畑さんは毎日ジャンプの練習を繰り返したそうです。それは才能の華やかな話ではなく、泥臭く地味な「反復」の物語。

そして、「ああ、やっぱりそうなんだな」と深く納得しました。
これは教室も同じです。やはり、派手な公開授業よりも、毎日の授業準備。毎日の挨拶。毎日の小さな声かけが大切なのです。

ウルフさんの座右の銘は、「夢は大きく。目標は身近に。」
オリンピックの金メダルも、毎日の地道なランニングがあったからこそだと、改めて教えられました。

2.「緩急」が持続可能な自分を作る

二つ目は、一流選手は「緩急が作れる」ということです。
柔道なら技をかける瞬間、バレーならアタックを打つ寸前、ふっと力を抜くのだそうです。

常に全力ではありません。抜くところを知っている。これが今回、一番印象に残った言葉でした。

確かに、教師もずっと全力では続きません。授業も学級経営も、力を入れて語る場面と、あえて抜いて語る場面を意図的に作ること。そうすることで、子供たちの集中力は高まっていきます。
そして何より、教師自身にとっても、ふっと息を抜く場面があることで、心が穏やかになれるのです。

三つ目は、「指導者の言った通りではだめ。自分で考えて挑戦する」ということ。
これは教育そのものだと思いました。言われたことをやるだけでは、一流にはなれません。考える、試す、失敗する、そしてまた考える。

以前のスポーツ指導は、教え込みや強制、連帯責任といった理不尽なものも多々ありました。しかし、近年の日本人選手の海外での活躍を見ていると、こうした「強制から思考へ」という指導方法の転換が大きな要因と思えるのです。これは、今、学校現場で求められていることと、まったく同じではないでしょうか。

3.相手の頭の中に「映像」をつくる力

そして何より驚いたのは、ウルフ アロンさんの圧倒的なトーク力でした。質問の意図を瞬時に読み取り、ユーモアを交えながら論理的にまとめる。全く飽きさせないのです。

実は、私は彼のプロレスデビュー戦についても記事を書いたことがあります。

だからこそ、彼が語る「言葉」の鋭さには、人一倍敏感になります。専門家というのは、ときどき「わかりやすく説明します」と言った直後に、急に内容が難しくなることがないでしょうか。
やたらカタカナが増え、聞いている側は、とりあえず分かったふりをしてうなずく……。これは「教師あるある」かもしれませんね(いや、教師だけではないでしょうか笑)。

でも、彼は違いました。たとえば、柔道とプロレスの「後ろ受け身」の違い。プロレスのリングと畳、それぞれの硬さや衝撃の逃がし方の違いを、本当にわかりやすい言葉で説明してくれました。難しいことを、難しく言わない。これこそが、本当の一流の証なのだと感じました。

あのデビュー戦で見せた驚異的な適応力は、この「言語化能力」と「分析力」に裏打ちされていたのかと、一人で深く納得してしまいました。黒板にびっしりと書くことだけが説明ではありません。相手の頭の中に「イメージ」をつくれるかどうか。それこそがプロの仕事なのです。

4.「きれいごと」ではない本音の熱量

さらに惹きつけられたのは、彼が「本音」を語ることでした。

最近の国際大会での不可解な判定や、過去の伝説的な試合における「美談」について。普通なら、当たり障りのない「きれいごと」で流してしまいそうな場面でも、彼は一人の柔道家として、忖度のない自分の考えをしっかりと語っていました。

「世間一般の正解」や「こうあるべき」を並べるのではなく、「自分はどう考えているか」を差し出す。その誠実さが、言葉に圧倒的な熱量を与えていました。

金メダルは、柔道の技術だけで取ったわけではないのだと感じました。伝える力、言葉の力。それもまた、一流の条件なのでしょう。

5.持ち帰ったのは、色紙以上の学び

後半は体験教室が行われました。ウルフさんの後ろ受け身教室に、江畑さんのレシーブ教室。私も参加したいのはやまやまでしたが、「ここで持病の腰痛が再発したら……」と考えると、どうしても手を挙げられませんでした。残念です!

そして、この日の最後に行われた抽選会で、色紙が当たることのなったのです。ただ、本当に持ち帰ったのは色紙だけではありませんでした。
それは、「積み重ね」「緩急」「自分で考える」そして「伝える力」。教室での仕事も、やっぱり同じだったのです。

今日、3月4日は新日本プロレスの春の最強戦士決定戦「ニュージャパンカップ」が開幕します。優勝目指して、頑張れ!ウルフ アロン選手!
→ 残念ながら、1回戦で敗退しました。



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▼休み時間シリーズ
前回:
第16話:腰痛②

次回:
第18話:腰痛③

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