「先生、話が長い」と言われた私が、寄席で気づいたこと-教師の話術は落語に学べ【休み時間#8】
#休み時間シリーズ (第8話)
学校の先生や教育全体に関する
あるあるな話題を取り上げていきます。
※このシリーズは、どの回からでも読めます。
寄席に行くようになって、「ああ、授業ってこれだったんだ」と思う瞬間がありました。
落語家さんは、特別に難しいことを話しているわけではありません。
けれど、気づけば客席はしんと静まり返り、最後には、ふっと温かな笑いが起きる。
その様子を見ながら、私は自分の教室を思い出していました。
1.教師は「教え方」は学ぶのに、「話し方」は学ばない
教師には、本当に勉強熱心な人が多いと思います。
教科内容、指導法、評価の仕方。研修にも研究会にも、よく参加します。
けれど、考えてみると不思議なものです。
教師の仕事の多くは「語ること」なのに、話し方そのものを学ぶ機会は、あまり多くありません。
2.なぜか「先生はしゃべるな」と言われる
結婚披露宴では、よくこんなことが言われます。
「先生は、スピーチさせたらダメ!」
理由は、だいたい想像がつきます。
話が長い。教訓めいている。最後まで聞かなくても、何となく言いたいことが分かってしまう。
学校でも似たような光景があります。
校長先生の朝礼。最初は顔を上げていた生徒が、いつの間にか下を向き、靴の先を見つめている。
……正直、私も若い頃は、その側の人間でした。(校長先生ごめんなさい)
3. 伝えたいことがあるほど、相手は遠ざかる
「先生、話が長いよ!」
「結局、何が言いたかったんですか?」
授業のあと、生徒にこんなことを言われたことがあります。
伝えたいことがあるほど話は長くなり、理屈で追い詰め、声だけが大きくなる。特に社会科教師の「あるある」かもしれません。
良かれと思って詰め込んだ言葉が、見事にすべっていたのです。
4.先輩から教わった、二つの学び方
そんな私に、先輩教師が教えてくれたことがありました。
一つは、話し方の技術。短く話す、要点を絞る。
スキルとしての「話し方」があることを学びました。
けれど、それ以上に私の授業観を根底から変えたのが、もう一つの教え。
**「落語を聴け」**ということでした。
5.落語は、しゃべりすぎない
寄席やテレビで落語を聞くようになると、いろいろなことに気づきます。
同じ話を、少しずつ形を変えて繰り返す。
すぐに結論を言わない。
間を怖がらない。
扇子や手ぬぐいだけで様々なものを表現し、そして何より、全部は言わない。
聞き手に、考える「余白」を残すのです。
これは、現代の「喋りのプロ」たちにも共通することかもしれません。
最近では、バラエティ番組のMCを見ても同じことを感じます。
明石家さんまさんや、サバンナの高橋さん。
ずっとしゃべっているようで、実は一番「しゃべりすぎていない」。
周りの言葉を引き出し、場にリズムを作ることに徹している人たちです。
6.授業も、話も、「余白」が大事
落語を聴いてから、私は授業で少しだけ話す量を減らしました。
うまく話そうとするのを、やめてみました。
テンポを変える。
抑揚をつける。
あえて「間」をとる。
ジェスチャーを入れてみる。
すると不思議なことに、生徒が話を聞くようにになっただけではなく、
生徒の声が前よりも聞こえてくるようになったりもしたのです。
全部言わなくても、伝わることがある。
授業も、話も、少し“間”があるくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
……というわけで、おあとがよろしいようで。
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▼休み時間シリーズ
前回:
第7話:学校を閉じた場所にしないために
次回:
第9話:無駄な経験なんてなかった
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