「すぐ返ってくる反応」が,学びを前に進める― 評価は,あとで渡すものではなく,学びの途中で返すもの
この話の続きです
子どもが問題を解く
答えを書く
説明する
友だちの考えを聞く
もう一度考える
やり直す
学びの中には,たくさんの小さな動きがあります
その一つ一つの場面で,子どもは何かを確かめています
「これで合っているのかな」
「この考え方でいいのかな」
「どこで間違えたのかな」
「次は何をすればいいのかな」
「もう少し進んでも大丈夫かな」
子どもは,学びながら,常に反応を求めています
教師のうなずき
友だちの「なるほど」
丸つけ
ヒント
デジタルドリルの即時採点
黒板に書かれた友だちの考え
自分のノートを見直したときの気づき
こうした反応があるから,子どもは次の一手を決めることができます
学びは,反応によって前に進みます
返ってくるのが遅すぎる評価
学校には,
評価を「あとでまとめて渡すもの」として扱ってきた歴史があります
単元が終わってからテストをする
学期末に成績をつける
あゆみに所見を書く
三段階や数値で結果を知らせる
保護者に学習状況を伝える
もちろん,これらにも役割はあります
子どもの学習状況を記録すること
保護者に伝えること
学校として説明責任を果たすこと
指導要録として整理すること
それらは必要です
でも,ここで考えたいのです
その評価は,子どもの次の学びに間に合っているでしょうか
学期末に返ってくる評価を見て,
子どもはその場で学び方を変えられるでしょうか
数週間前,数か月前につまずいた内容について,
「もう少しがんばりましょう」と言われたとき,
子どもは何をどう変えればよいのでしょうか
もちろん,丁寧な所見には意味があります
教師の願いが込められた言葉もあります
でも,子どもが学んでいるその瞬間から見ると,
学期末の評価は,あまりにも遅いことがあります
評価が返ってくるころには,
その子の困り感はもう別のところに移っているかもしれません
つまずいた場面の記憶も薄れているかもしれません
あるいは,すでに
「自分はできない」という思いだけが残っているかもしれません
評価が,次の学びに生きるためには,
評価は学びの途中で返る必要があります
脳は,反応を受けながら修正していく
人は,やってみて,反応を受け取り,修正することで学びます
自転車に乗るときもそうです
少し傾く
バランスを取る
またこぐ
転びそうになる
体が反応を覚える
漢字を書くときもそうです
書いてみる
形を見る
違いに気づく
もう一度書く
算数の文章題でもそうです
式を立てる
答えを確かめる
友だちの考えを見る
「あ,ここで違ったのか」と気づく
次の問題で使ってみる
もちろん,学びの型は,いろいろあります
でも多くの学びは,この繰り返しが多いです
だから,反応は早いほどよい場面があります
少なくとも,子どもがまだ
その学びの中にいる間に,返ってくることが大切です
「今の考え方,いいね」
「ここまでは合っているよ」
「この先をもう一度考えてみよう」
「式は合っているけど,単位を見てみよう」
「友だちのこの考えを見てごらん」
「もう一度,図にしてみると分かるかもしれない」
こうした反応は,
子どもの学びを止めるためではありません
次に進めるための手がかりです
フィードバックは,点数を知らせることだけではない
フィードバックというと,
点数を返すことや,
正誤を知らせることを思い浮かべるかもしれません
もちろん,正しいかどうかを知ることは大切です
でも,それだけでは十分ではありません
大切なのは,
次に何をすればよいかが見えること
です
「正解です」だけではなく,
「どう考えたから正解になったのか」が分かる
「間違いです」だけではなく,
「どこで考えがずれたのか」が分かる
「もう少し」だけではなく,
「何をもう少しすればよいのか」が分かる
これが,学びを前に進めるフィードバックです
たとえば,算数なら,
「計算はできているけれど,問題文の意味を取り違えているね」
「図にすると,関係が見えそうだね」
「わり算の式は立てられているけれど,余りの扱いを考えてみよう」
「答えは合っている。次は,なぜそうなるのか説明してみよう」
このように返ってくると,子どもは次に向かえます
フィードバックは,評価の結果を伝えるだけではありません
子どもが次の行動を選ぶための情報です
「評価」は,子どもを止めるものか,動かすものか
評価には,二つの顔があります
一つは,結果をまとめる評価です
どこまでできたか
どの程度理解したか
記録としてどう残すか
保護者にどう伝えるか
もう一つは,学びを動かす評価です
今,何が分かっているか
どこでつまずいているか
次に何をすればよいか
どの方法なら進めそうか
学校では,どうしても前者の評価が目立ちます
テスト
通知表
あゆみ
評定
成績処理
指導要録
それらは制度として必要です
でも,子どもの学びを本当に支えるのは,
日々の授業の中で返ってくる後者の評価ではないでしょうか
評価が「あなたはここまでです」と止めるものになるのか
評価が「次はここへ進もう」と動かすものになるのか
この違いは大きいと思います
次……
