【特別公開】SZ-Booklet_04 *Shigeki-ZINE [2024][column❶]:90sレイヴ・カルチャー関連ブックガイド20選!
いきなりですが、今週末の2025年10月4〜5日、作家の清野栄一氏が主催するフリーパーティー「BALEARIC SUNRISE(バレアリックサンライズ)」が10数年ぶりに復活! ちなみに今回はフリーパーティーではなくて、山梨県内の貸切キャンプ場を会場にした、完全予約制での開催。
当記事を目にして「あっ、まだ間に合う!(行かないと)」と反応された貴殿・貴女は、以下のFBイベント内の予約フォームから…どうぞ!(売切間近とのこと/完売してたら、ごめんなさい🙇♂️)
さて、でもって……当ページは、わたくし(木村重樹)が過去、文芸創作誌『Witchenkare(ウィッチンケア)』に寄稿したエッセイを元に刊行・頒布したインディ小冊子『Shigeki-ZINE [2024]』に収録された小文「コラム①:レイヴ・カルチャー関連ブックガイド20」の再録版です(若干の加筆あり)。
90年代末〜2000年代にかけ、 日本各地の公園や海岸や山の中で開催された、伝説のフリーパーティー「BALEARIC SUNRISE」の完全復活を記念(!)して……それらのバックグラウンドを醸成した、90年代のレイヴシーンとダンス・ミュージックと雑誌カルチャーの〝よすが〟を偲んでいたく意味も込めて、noteに特別再録。さらにここでは(noteの機能を活用して)当該タイトルのAmazonでの販売ページへのリンクを付け足して、現物の購入もできるようにしてみました(雑誌は、各オークションサイトで探して!)。
それでは、どうぞ!
以下は、主に90年代〜2000年代にかけて日本国内で刊行された(広義の)レイヴ・カルチャーに関連する書籍、ムック、雑誌などを、思いつくままピックアップして刊行年順に並べ、簡単な紹介を添えたブックガイドである。
選出後に改めて一覧すると、ほぼ過半数が知人友人といった関係者の手によるもの(もっと言えば、その何割かは自分自身が関わったタイトル)だったりもするのだが……2024年時点では簡単に手に入らない/読めないタイトルも少なくなく、そもそも「90年代カルチャー」なるものが、すっかり遥か昔の文物と化して久しい現在、改めてこれらにスポットをあててみるのも無益ではあるまい。
また(「90年代カルチャー」を多角的に振り返る意味で)これらの出版物を手がけた編集者や企画者の氏名を(意図的に)盛り込んでおいた。半ばお決まりの〝狭い人脈〟の中でこねくり回されていた界隈と受け取られるかもしれないが、過去のムーヴメントを振り返るうえで(キーマンとも言える)人物の存在は不可欠である、と判断したからである。
当ガイドを読んで関心を持たれた方は、オンライン古書店やメルカリ、図書館の蔵書検索などで探してみては?(一部のプレミア・アイテム以外は、数百円程度で手に入るものも少なくない)。一部のタイトルは、Amazonでの販売ページへのリンクを貼っておいた。ぜひ、活用いただきたい。
01●クラブ・ミュージックの文化誌―ハウス誕生からレイヴ・カルチャーまで 野田 努&宝島編集部:編(JICC出版局/1993年)

80年代末のイギリスで起こった未曾有のダンス・ブーム=いわゆるセカンド・サマー・オブ・ラブは[エクスタシー]という幻覚剤を携えて、社会現象にまで及んだ。程なく世界各地に飛び火した、この最新型ユース・カルチャー/音楽変革の波を、日本でいちはやくキャッチアップし、報告した論集。レイヴに関しては、三田格と平田知昌がそれぞれレポート。また編者の野田以外の執筆者として、阿木譲、小泉雅史、水越真紀、荏開津広、久保憲司、長澤均らの名前が並ぶ。また類書として、翌94年に刊行された石野卓球+野田努の対談本『テクノボン』(宝島社)も挙げておきたい。
02●SWITCH 1995年10月号/Vol.13 No.8 特集:BERLIN TECHNO ALLIANCE テクノバーンを疾走する者たち スイッチ編集部(スイッチ・パブリッシング/1995年)

今なお刊行され続けている老舗カルチャー誌『SWITCH』だが、日本人俳優や人気のミュージシャンやクリエイターに焦点を当てる昨今の傾向からすると信じ難いだろうが……90年代半ばの『SWITCH』では、テクノが大々的に特集され、石野卓球のベルリン・ラブパレード体験を筆頭に、トーマス・フェルマン、マニュエル・ゴッチング、ケン・イシイらのインタビューが掲載された(その影には、『クラブ・ミュージックの文化誌』や『テクノボン』を手掛けた増渕俊之がスイッチ編集部へ異動してきた、という裏事情があったのだが)。
03●Quick Japan Vol.13 特集:「脳に効く音楽―“ゴア・トランス”って何?」 クイック・ジャパン編集部:編(太田出版/1997年)

こちらも昨今では「お笑い芸人やアイドル、テレビ番組の特集誌」という印象が色濃い『Quick Japan』だが、1994年の創刊当時は〝とんがった街ネタや裏ネタ、コアな人物〟に焦点をあてたジャーナル誌だった。そんな同誌でも、トランス・パーティに関する特集が組まれたのが、こちらの13号。鶴見済による総論、(表紙でタイダイ柄の長袖シャツを着た)浅野忠信や、トランスDJとして世界進出を果たしたDJ TSUYOSHIのインタビューが掲載されている(インタビュアーは後述する吉永嘉明)。本特集と併せて、石野卓球と青山正明による特別対談『裏テクノ専門学校』が収録された『Quick Japan』Vol.5(1995年)もお勧めしておく。
04●危ない1号:第3巻 特集・快感 気持ちよく往こう! ジャム工房:編集(データハウス/1997年)

95年夏、いわゆる90s悪趣味・鬼畜系カルチャーの総合誌として創刊されつつ、カリスマ編集者である青山正明の不調が祟って、彼の片腕であった吉永嘉明が2代目編集長になって刊行された第3巻。全方位的な〝快楽追求〟が特集テーマに据えられた結果、「ひらすら気持ちのいい音楽:テクノのススメ」や「ヒッピーの聖地の歩き方:さよならゴア」などの記事が、「村崎百郎処女喪失!」や「特殊グラフィックス by 根本敬」等に混ざって掲載されるカオス! トランス系野外パーティの名門オーガナイザー「イクイノックス」チームや、後に「METAMORPHOSE」を主宰するDJ MAYURIのロング・インタビュー、ゴア・トランス・ディスク・ガイドなども収録。グロいのが苦手な方は、死体ページを封印してでも読んでおきたい名記事揃い!
05●RAVE TRAVELLER:踊る旅人 清野栄一:著、ジェフリー・ジョンソン:写真(太田出版/1997年)

1966年生まれ・パンク世代ど真ん中の作家(95年『文学界』新人賞受賞)である著者が80年代末、パリ留学生時代に洗礼を受けた、セカンド・サマー・オブ・ラブの衝撃。ヨーロッパの各地で、インドのゴアで、そして日本の山奥のキャンブ場で……野外DJパーティの魅力に囚われた〝踊る旅人〟たちのルポルタージュと著者自身の旅行体験記、ケミカルやシャーマニズムなどの周辺文化への考察などがミックスされた、異色のロード・ストーリー。格安航空券とバックパックで世界各地を長期に渡って放浪していた〝トラヴェラー〟なる存在も、今となっては懐かしい。【電子版も好評発売中】
06●檻のなかのダンス 鶴見 済:著(太田出版/1998年)

「踊れ! 寝ろ! 風呂! オナニー! 考えたってしょうがねえ!!」(帯文より)。1993年に刊行されるや、たちまち大ヒットを記録し、ミリオンセラーとなった『完全自殺マニュアル』の著者もまた、90年代のダンス・ミュージックやレイヴにハマり、パーティに通いつめていたクチのひとりだった。そんな鶴見のミッド90s見聞録が集約されているのが「第2章:ダンスという暴動」。現代社会の息苦しさの正体を明かし、ダンスによる「体の反乱」を訴えると同時に、ベルリンのラブ・パレードや(台風の直撃を受けて大変な混乱を招いた)第1回目のフジ・ロック・フェスをレポート。また、これらの記事の多くの初出が『Quick Japan』であったことも。再確認しておくべきだろう。
07●ぢるぢる日記 ねこぢる:著(二見書房/1998年)

つぶらな黒目をした可愛らしい子猫が世間の良識に毒を吐く、独特のマンガで人気を博したねこぢるもまた、テクノやトランスといった90s電子音楽の愛聴者のひとり。本書は、そんな彼女の身辺雑記を元にした日記調コミック・エッセイ。全ての回ではないが、トランス・パーティやテクノCDをめぐるエピソードが時折りお目見えする。前後して刊行された『ぢるぢる旅行記 インド編』(ぶんか社)もまた、夫にして漫画家の山野一とインドのバラナシを放浪した際の体験を描いた旅行記コミックで(電子音楽に対する言及はないものの)より広義の……忘我・脱魂としての〝トランス〟に対する思索が示唆に富む。ちなみに彼女はこの98年5月、自宅にて縊死した。
08●ZAVTONE(ザブトーン)ver.9.0 Party 北里方志:編(NEWSBASE, INC./1998年)

1997年〜2000年にかけて全14号が刊行された、デジタル・カルチャーとテクノ/トランス・サウンドを取り扱ったビジュアル・グラフ誌。フルDTPのレイアウト・デザイン、大半のページがCGや写真を断ち落としサイズで掲載するなど、とかくグラフィック面の斬新さが話題を呼んだ『ZAVTONE』だが、ver.9.0のParty特集では、代々木公園でスタートしたフリーパーティ「春風」から、イギリスのグラストンベリー・フェスティバルまで、世界各地のパーティ・シーンがレポートされた。本号に限らず、90年代のレイヴ/パーティ・カルチャーを再検証する際、『ZAVTONE』は示唆に富んだ資料になるだろう。
09●地の果てのダンス 清野栄一:著(メディアワークス/1999年)

前著『RAVE TRAVELLER』が話題を呼んだ清野栄一の第2著作。オーストリアの荒野と東京、カンボジア国境といった、世界各地の滞在経験を元にしたロード・ノベル3編とエッセイ「踊る力:Rave and Strength」、そしてウェブ・メディア「HOT WIRED」で連載された、著者と私(木村重樹)との往復電子メール記「パーティ・フリーク」が収録されている。巻末に併載された「voices from the dance floor」は、著者の友人・知人の界隈で〝パーティに通い踊っている人々〟に取ったアンケートを元にした発言録で、近田春夫や手塚るみ子から青山正明や吉永嘉明まで、同時代の人々の忌憚なきパーティ観が伺えて、興味深い。編集担当は穂原俊二。
10●レイヴ力―Rave of life 鶴見 済、清野栄一:著、木村重樹:編(筑摩書房/2000年)

『檻のなかのダンス』の鶴見済と『地の果てのダンス』の清野栄一が、レイヴやパーティ体験を端緒に、「生きている実感」や「レイヴの先に見えてくる風景」について語り明かした、対話集。特別ゲストとして、トランスDJのTSUYOSHI、音楽誌『SNOOZER』の編集長を務めていた田中宗一郎、和光大学教授の上野俊哉の3者との座談が収録されている。屋外でのレイヴ経験の先に「植物や大自然への敬愛」を再発見した……というくだりは(ありがちな「サイケデリック経験者のナチュラリスト回帰」の枠組みを超えて)人間社会と自然界を等価に扱う態度の萌芽として、読めなくもない。編集担当は井口かおり。
11●SPECTATOR Vol.6 / Love and Peace Issue スペクテイター編集部(エディトリアル・デパートメント/2001年)

雑誌『BARFOUT!』出身の青野利光によって1999年に創刊され、オルタナティヴなテーマを一冊丸ごと使って深く掘り下げた(往年の『別冊宝島』を彷彿とさせる)編集内容が特徴的なカルチャー誌『SPECTATOR』もまた、6号目にして「日本の野外パーティー・オーガナイザー」へのインタビューを敢行。取材を受けたのは、ソルスティス、テクノフラックス、OVA、アルカディア、メタモルフォーゼ、地球屋、トランスカフェ、ライフフォース、戸隠実行委員会、ヴィジョンクエスト、スターゲイト、ラビリンスの12チーム。今なお活動中の組織は数えるほどしか存在しないことを思えば、21世紀初頭の日本のパーティーシーンの貴重なドキュメントとしても読める。
12●ブラック・マシン・ミュージック―ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ 野田努:著(河出書房新社/2001年)

ディスコ以降のブラック・ミュージックの歴史。黒人とアメリカ社会の変容を踏まえつつ、ファンクやアシッド・ハウス、ロックを経て、デトロイト・テクノの現在までを辿る〝かつてない音楽-文化論〟……というわけで、トランスやサイケとは全く別の文脈から、未来や宇宙を(電子音のミックスで)描き、紡ごうとしたアフリカ系アメリカ人たちの格闘の歩みを綴る、著者の代表作。実は音楽ジャンルとしての「トランス」コミュニティには、黒人の姿がほとんど認められないのだが、類縁ジャンルの担い手は、そちら側のトライブであったことは再確認しておくべき。2台のターンテーブルとミキサーで〝物語〟を構築する〝DJ〟カルチャーの発生を描いた場面は、実に感動的!
13●サイケデリック・トランス・パーティー・ハンドブック 木村重樹:編著(河出書房新社/2002年)

〝パーティ〟という空間体験を発起点に、サウンドやヴィジュアル面からファッション、ライフスタイル、そして社会思想や周辺文化にまで影響を及ぼしているサイケデリック・トランスのシーンを、歴史や世界的展開も含め、初心者や門外漢に向けてわかりやすく解き明かすことをモットーとしたハンドブック。自分の編著を改めて解説するのもむず痒いが、とりあえず、そういう目標に向かうべく(当ブックリストにも名前があがっている)友人・知人界隈にも全面的な協力を仰いだ、21世紀初にして/20世紀最後の「サイケ」カルチャー総決算!
*同書内に寄稿した「(アルバム音源から辿る)ゴア/サイケデリック・トランス略史—from 1993 to 1997」をnote上で読めるようにしました。ご興味のある方は以下の記事ページにアクセス!
14●サイケデリック&トランス [TWISTED VISUAL MOOK]
吉永嘉明:編(コアマガジン/2002年)

背表紙に「実用曲がり図案集」とあるように……とかくサウンドやファッション面から語られがちな「サイケ」や「トランス」カルチャーを、徹底的に視覚の方面からアプローチしたビジュアル・ムック。イクイノックスを筆頭にした数多くのトランス・パーティのデコレーションやフライヤーを手がける鬼才KCを筆頭に、極彩色の〝サイケなアートワーク〟がてんこ盛り。付属の3Dメガネをかけ、ブラックライトで照らすことで、何てことはないCDジャケットや絵が(文字どおり)〝浮かびあがってくる〟仕様も楽しい。モノクロページのレイヴ・ルポやサイケデリクス体験記も読み応えがあり、ねこぢるや山野一のコミック再録まで、吉永嘉明の才覚が冴え渡った一冊と言えよう。
15●2マイナス #2/ 特集:ドラッグ〜happy brain! 巽早紀、SASUKE:編(ステュディオ・パラボリカ/2003年)

ペヨトル工房の『夜想』のサブレーベル的な立ち位置で、2000年代初頭に刊行された特集ムック誌の一冊……なのだが、耽美や幻想や頽廃を旨とする版元が企画した「ドラッグ特集」なので、すこぶる衒学的。巻末のD系ブックガイドや映画&音楽ガイドが、いかにも。ただし、ここまで徹底されると清々しく、かつまた、企画編集や執筆に携わる関係者が(先に紹介した)『〜パーティー・ハンドブック』や『サイケデリック&トランス』と絶妙に重なり合っていることで、それらを補完する読本でもある。ちなみに編者のひとり巽早紀は、吉永嘉明の妻にして同業者。
16●テクノ:バイヤーズ・ガイド -selected techno discs1983-2003 三田格、木村重樹、金田謙太郎:共著(河出書房新社/2003年)

バリアリック・ビートやレイヴからトランスやエレクトロニカまで……80年代に萌芽を示して以来、20年来のテクノ・ミュージックの変遷を、各ジャンルのガイドと主要アーティスト/ユニットのディスク・レビューによって詳解! なにしろ「総レビュー点数、4000枚!」という、些か正気の沙汰を逸脱しかけた物量で検証する〝テクノのあゆみ〟。当方が担当した10章「ゴア&サイケデリック・トランス」では、SYSTEM7やYOUTH、EAT STATICを筆頭に、JUNO REACTOR、HALLUCINOGEN、MAN WITH NO NAME、X-DREAMといったビッグネームの諸作、さらにはINFECTED MUSHROOMやロシアン・サイケのような(当時の)新機軸にも紙幅を割いている(が、この時点からさらに20余年の歳月が過ぎてしまった)。
17●文化=政治――グローバリゼーション時代の空間叛乱 毛利嘉孝:著(月曜社/2003年)

21世紀初頭の反グローバリズム運動や反戦運動に見られるストリート占拠、カーニバル、パフォーマンス、サウンドデモなどの、いわゆる80年代以降の「新しい社会運動」の波を、「新しい文化=政治運動」としてとらえ直し、その可能性を実践的視点から考察した一冊。レイヴに関する言及はそこまで多くはないが、一連の「運動」と「集い、踊ること」の交錯点について、思いを巡らせるための思想的な補助線を得ることができる好著。
18●自殺されちゃった僕 吉永嘉明:著(飛鳥新社:2004年/幻冬舎アウトロー文庫:2008年)

(当リスト中にも名前が頻出する)ねこじると青山正明、そして著者の妻である巽早紀……親友と仕事仲間と身内の3者(そして、いずれもがトランス・ミュージックの愛好者)を、相次ぐ〝自死〟によって失った吉永嘉明の混乱と葛藤、故人たちへの思慕を書き綴った手記。ナイーブかつセンチメンタルな著者が鬱と混乱の中で書きあげた内容はツッコミどころ満載で、客観性からは程遠く、その〝愚かさ〟や〝情けなさ〟は自明(であるからこそ、本書は愚かしくも美しさを担保しているのだが)。いわゆる「悪趣味鬼畜系」と称される、90年代サブカルチャーの〝成れの果て〟としても読めなくはない本書だが、これを別の側面から眺望すれば、90sパーティ・カルチャーの〝後日談〟と読み替えられなくも、ない。ちなみに文庫版に収録された精神科医・春日武彦の解説は必読と言えよう。編集担当は(『Quick Japan』の創刊編集長としても知られる)赤田祐一。
19●アーバン・トライバル・スタディーズ:パーティ、クラブ文化の社会学 上野俊哉:著(月曜社/2005年[増補新版/2017年])

パーティ・ピープルやレイヴァーを「都市の部族(アーバン・トライブ)」と捉え直し、彼らが集う現場に著者自身が身を置きながら思考を織り重ねた、類書なきエスノグラフィ。と同時に、いわゆるレイヴ・カルチャーを思想系/文化研究/社会学のコンテクストにおいて読み解いた日本唯一の書籍。こと(上野自身が深くコミットしていた)日本のトランス・シーンに関する記述は貴重。2017年に増補新版が刊行されたが、2023年10月、ガザ地区近隣のイスラエル領内で開催されていた野外パーティ「スーパーノヴァ」をハマスの武装集団が急襲したことに端を発した、双方の(泥沼化する)軍事衝突の行方を憂慮した上野は「自分にとっての『アーバン・トライバル・スタディーズ』は(この事件を契機に)無効となった」と宣言している。
20●皆既日食ハンターズガイド 《STUDIO VOICE 別冊》 eclipseguide.net編(INFASパブリケーションズ/2006年)

数多ある野外音楽フェスの中でも〝地球上のどこかで/何年かに一度〟のみ遭遇することができる皆既日食は、世紀の天体スペクタクル。ボアダムスのヤマタカEYヨやエゴラッピンの中納良恵、シアターブルックの佐藤タイジなど、日本の名だたるミュージシャンが注目する「日食パーティ」って、どうやったら行けるの? とりわけ2009年夏、奄美大島や諏訪之瀬島における(日本国内での)皆既日食本番を前に刊行された本書は、日食の原理や観察のノウハウに始まり、神話における日食、日食にちなんだ書籍や映画・音楽ガイドまで、全方位的な日食カルチャーのガイドブックとなっている。
*この「[column❶]:90sレイヴ・カルチャー関連ブックガイド20」が掲載された小冊子(個人誌)『SZ-Booklet_04 *Shigeki-ZINE [2024]──「昭和の終わり」とオルタ・カルチャーの時代』の概要は、こちらを参照!(↓)
*上で紹介した20タイトルのうち…
04●『危ない1号:第3巻 特集・快感』
07●『ぢるぢる日記』
14●『サイケデリック&トランス [TWISTED VISUAL MOOK]』
15●『2マイナス #2/ 特集:ドラッグ〜happy brain!』
18●『自殺されちゃった僕』
のラインの副読本として、『SZ-Booklet_05 *Shigeki-ZINE [2025]──ぼくがかんがえる、あおやま/むらさき/きちくけい』を併読されると、シーンや関係者にまつわる理解と関心に、さらなる深みと奥行きが!(↓)
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