Gemini 3.7 Flashを6つの仕事で試した。数秒でここまで作る。でも、最後の確認で穴が残った
Googleが2026年8月13日、新しい「Gemini 3.7 Flash」を発表しました。
公式では、コーディングやエージェント向けの強化に加え、3.6 Flashよりも指示への追従、複数ステップの計画、途中で問題が起きたときの対応などが改善されたと説明されています。最大100万トークンのコンテキストにも対応しています。
でも、ベンチマークの数字を見ても、私にはいまひとつピンときません。
実際に使ったら、何が変わるんだろう。
そこで今回は、Gemini 3.7 Flashに6つのかなり違う仕事を任せてみました。
使ったのは、Gemini 3.7 Flash+強化版思考モードです。
試したのは、
Webサイト制作
複数ステップの外出計画
条件だらけのホームパーティー計画
システム障害の原因分析
長い文脈を覚えたまま最後まで判断できるか
ブラウザで実際に遊べるゲーム制作
の6つ。
なお、これは各課題を1回ずつ試した私個人の検証です。
性能を統計的に比較するベンチマークではありません。
最初に結論を書くと、私はかなり驚きました。
とにかく速い!!!
プロンプトを送ってから数秒で、
「そこまで作るの?」
と思うくらいの量と完成度で返ってきます。
ただ、6つ全部を見終わったあと、別の共通点にも気づきました。
かなりいいところまで一気に進む。
でも、最後の確認だけは人間がやった方がよさそうでした。
1.Webサイトを作らせたら、これはかなりすごかった
最初に試したのはWeb制作です。
私が使っているキャラクター画像を渡して、
「公式サイト風の本格的なWebページを作って」
とお願いしました。
条件として、
「最近の記事をカードで表示する」
「スクロールアニメーションを入れる」
「数字を0からカウントアップする」
「スマートフォンにも対応する」
なども指定しました。
返ってきたHTMLを開いてみると、これはかなり良かったです。
このレベルのWebページが、1回のプロンプトだけで1分もかからず出来てしまいました。

ただ文章と画像を並べただけではありません。
背景では雲が動き、記事カードはマウスを乗せると浮き上がる。
数字の部分までスクロールすると、ビューやスキの数字が0から増えていく。
記事カードを押すとモーダルまで開く。
レスポンシブ用の処理も入っていました。
しかも、渡したキャラクター画像はHTML内へ組み込まれていました。
私はコードを書いていません。
かなり長めの日本語プロンプトを1回渡しただけです。
渡した素材画像も1枚だけ。
画像を解析したうえで、コンセプトに合わせてWebページ全体を作り上げる能力は圧巻でした。
ここでまず、
「Gemini 3.7 Flashは、作る仕事との相性がかなり良さそうだ」
と感じました。
Googleも3.7 Flashについて、コーディングやWeb開発、エージェント的なワークフローを主要な用途として挙げています。
そして何より印象に残ったのは、やっぱり速さでした。
この量のHTML、CSS、JavaScriptが、待たされている感覚がほとんどないまま出てきます。
完璧かどうか以前に、
「数十秒でここまで土台を作れる」
こと自体に、かなり価値を感じました。

これが1分もかからず、一度も修正せずに出来るのはほんとにすごい。
2.外出プランは優秀。でも、当日の重要情報を1つ落とした
次は、もう少し「自分で仕事を進める力」を試しました。
2026年8月15日に東京駅から日帰りで出かける、という設定です。
片道1時間30分以内。
予算1万円。
猛暑でも無理なく楽しめる。
できればAI、IT、科学、体験型。
お盆なので混みすぎる場所は避けたい。
候補を最低5か所探し、
営業時間、料金、予約、移動時間、天気、混雑まで調べ、
条件に合わない場所を落とし、最後は1か所に決めて、
朝から帰宅までのプランと予算まで作る。
かなり工程の多い依頼です。
Geminiは、
日本科学未来館、国立科学博物館、科学技術館、角川武蔵野ミュージアムなどを比較したうえで、
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
を選びました。
そこから交通、ランチ、午後の行動、帰宅時間、予算まで一気に組み立てました。
かなりよくできています。
ところが調べ直すと、ひとつ重要なものを落としていました。
候補に入れた科学技術館では、8月15日に全国戦没者追悼式に伴う北の丸公園の立入規制について、公式から特別なお知らせが出ていました。
Geminiは科学技術館が開館していることまでは確認していました。
でも、
「その日に行く人にとって重要な臨時情報」
までは拾えていませんでした。
最終的には科学技術館を別の理由で候補から外していたので、結論そのものには影響しませんでした。
それでも、
営業時間を確認した=その日に問題なく行ける
ではないことが分かります。
かなり深く調べてくれる。
でも、最後の例外情報まで全部拾うとは限らない。
ここで最初の「小さな穴」が見えました。

3.19個の条件を守らせたら、「全部OK」の中に矛盾が残った
次はもっと意地悪にしました。
6人分のホームパーティーを計画してもらいます。
条件は19個。
予算8,000円。
45分以内。
料理5品。
フライパン1つ、鍋1つ、レンジ、トースターだけ。
揚げ物、生もの、辛い料理は禁止。
乳製品NG、卵NG、きのこNGの人がいる。
それでも全員が同じ5品を食べられること。
味を似せない。
食材をなるべく使い回す。
見た目もパーティーらしくする。
かなり面倒です。
Geminiは、
パエリア、チキングリル、ポトフ、エビとブロッコリーのオイル蒸し、かぼちゃの温マリネ
という5品を提案。
買い物リストを作り、
予算を約6,300円と計算し、
45分で終える並行調理スケジュールまで作りました。
さらに最後、
19条件を一つずつ自分でチェック
させました。
結果は全部、
「守れている」
でした。
ここまで見ると、ほぼ完璧です。
でも読んでみると、そうでもありません。
たとえば「辛い料理は禁止」なのに、粒マスタードと粗挽き黒胡椒を使っています。
パエリアは最初に「サフラン風味」と説明したのに、買い物リストにも調理工程にもサフランがありません。
さらに調理時間の記述にも、少し時系列が合わない部分がありました。
問題は、それぞれの小さなミスより、
最後に自分でチェックしたのに全部通してしまった

ことだと思います。
セルフチェックを付ければ安心。そう思っていました。
でも、
AI自身による最終確認も、もう一度確認する必要がある。
妙な話ですが、そんな結果になりました。
4.障害分析では核心を当てた。でも200文字にした瞬間、意味が変わった
4つ目は、少し仕事寄りのテストにしました。
架空のECサイトで、
「14時ごろから、一部のユーザーだけ決済に失敗する」
という障害が起きた設定です。
Geminiには、原因を考えるための材料として、6種類の情報を渡しました。
監視データでは、14時2分から決済APIの5xxエラーが急増。
アプリのログでは、13時58分に決済サービスの新バージョンをデプロイした直後から、決済プロバイダAへのタイムアウトが出始めています。
さらに変更履歴を見ると、そのデプロイで、
プロバイダAへのタイムアウト設定を5秒から2秒へ短縮
していました。
一方、外部の決済プロバイダA自身も、14時から14時40分まで応答が通常より遅くなる事象が発生していた、という情報も入れました。
ほかにも、
DBインデックス変更
決済画面の文言変更
CPUやメモリの状態
ユーザーからの問い合わせ
担当者4人の異なる推測
を混ぜています。
つまり、わざと「原因っぽいもの」を何個も置いた わけです。
Geminiへの質問は、
「事実と推測を分け、原因候補を複数出し、可能性の高い順に並べ、最有力原因と今すぐやるべき対応を決めてください。ただし、断定できないなら断定しないでください」
というものです。
ここは、かなり良かったです。
Geminiは単純に、
「デプロイ直後だから新バージョンが原因」
とはしませんでした。
一番可能性が高いものとして選んだのは、
「タイムアウトを5秒から2秒へ短縮したこと」と、「同じタイミングでプロバイダAの応答が遅くなったこと」が重なった複合要因
でした。
これは、私がこの問題に仕込んだポイントそのものです。
しかも、
「プロバイダAの実際の応答時間が分からないので、2秒の設定変更が本当に障害を悪化させたかは断定できない」
というところまで残していました。
ここまで読んだ時点では、
かなりちゃんと考えている。
そう感じました。
そこで最後に、もう1つだけお願いしました。
「この内容を、経営層向けに200文字以内でまとめてください」
すると、少しおかしくなりました。
詳細な分析では、
「プロバイダAがクレジットカード決済を担当している」
という部分は推測として扱っていました。
ところが200文字の要約では、
「プロバイダA経由の決済(主にクレカ)」
と、かなり事実に近い書き方へ変わっています。
さらに、
「現在、設定値を旧設定の5秒へ戻す緊急対応を進めている」
とも書きました。
でも、そんな事実は元の資料にはありません。
Gemini自身がその直前に、
「今すぐやるべき対応として、5秒へ戻す」
と提案しただけです。
つまり、
「やるべきこと」が、要約した瞬間に「もうやっていること」へ変わった。

ここが今回かなり面白かったところです。
長い分析では、事実と推測をかなり丁寧に分けられていました。
原因もかなり正確に絞れています。
でも、それを短くまとめた瞬間、
推測が事実っぽくなり、提案が実施済みの出来事に変わった。
私はこの結果を見て、
AIの長い回答だけでなく、「最後に短くまとめてもらった文章」こそ確認した方がいいのかもしれない
と思いました。
5.長い文脈は覚えていた。でも、自分がルール違反していることには気づかなかった
5つ目は長い文脈です。
最初に5つの重要ルールを渡しました。
過去記事の焼き直しは禁止。
特定の過去テーマは禁止。
過去記事はネタ帳ではなく、読者需要を分析するデータとして使う。
新しい題材を選ぶ。
実際に自分で試せて、単なるAI解説にならない記事にする。
そのあとに大量の記事データや追加条件、今回の検証内容を渡しました。
最後に、
「次に書く新しい記事を3つ考えて」
と依頼しました。
Geminiは最初のルールを覚えていました。
禁止した題材も提案していません。
最後には5つのルールをかなり正確に言い直しました。
ここだけ見れば成功です。
ところが出してきた3案は、
日帰り旅行。
障害ログ。
ホームパーティー。
……全部、直前に渡した今回の検証内容です。
つまりGeminiは、
「過去の題材をそのまま次の記事ネタにしない」
というルールを最後まで記憶していました。
そして、そのルールを正しく説明もできました。
なのに、
自分がそのルールと似たことをやっていることには気づかなかった。
これは面白かったです。
「覚えている」と「使える」は、同じではありませんでした。

6.ゲームまで作らせてみた。細かく指示するより、任せた方がうまくいった
最後は、もう少し見た目にも分かりやすいものを試しました。
ブラウザで実際に遊べるゲームを作ってもらいます。
最初はかなり細かく指定しました。
日本の夏祭りを舞台にして、
金魚すくい。
射的。
ヨーヨー釣り。
花火。
キャラクターも動かす。
ゲームらしい演出も入れる。
かなり具体的に条件を書きました。
でも、出来上がったものを触ってみると、正直、かなり微妙でした。
屋台へ移動してボタンを押すだけ。
見た目はゲームっぽいけれど、遊んでいる感じがほとんどありません。
そこで今度は本格的なピンボールを頼みました。
フリッパー。
重力。
バンパー。
コンボ。
マルチボール。
フィーバーモード。
仕様だけを見るとかなり豪華です。
大量のコードも出てきました。
でも、
今度はまともに動きませんでした。
ここで一度、考え方を変えました。
私が仕様を全部決めるのをやめて、
かなり短く、
「上からアイテムを落として、同じもの同士がぶつかると大きなものに合体する物理パズルゲームを作って」
とお願いしました。
世界観だけ、
鉛筆
↓
ノート
↓
本
↓
PC
↓
AIロボ
↓
コバン
と指定しました。
すると、
これが一番まともなゲームになりました。

マウスで位置を決めてアイテムを落とす。
同じもの同士がぶつかると、次のアイテムへ進化する。
盤面がいっぱいになるとゲームオーバー。
NEXT表示、スコア、BESTスコア、危険ラインまであります。
さらに少しだけ追加で、
「連鎖をもっと気持ちよくして」
「コバンが完成したときを派手にして」
と頼むと、
CHAIN表示。
連鎖倍率。
スローモーション。
紙吹雪。
光の演出。
「コバン誕生!」
という特別演出まで追加されました。

普通にゲームとして楽しかったです。
ここは今回かなり驚いたところです。
最初は私が細かくゲームを設計していました。
でも、細かく指定するほど、出来上がったものはうまくいかなかった。
逆に、
何を作りたいかだけ伝えて、かなり任せたときの方が、ゲームとしてまとまりました。
もちろん、市販ゲームと比べるようなものではありません。
効果音もWeb Audio APIで作った簡単な電子音です。
物理挙動やゲームバランスも、人が時間をかけて調整した作品とは違います。
それでも、
短い日本語の指示から、ブラウザで実際に数分遊べるゲームまで一気に作った。
ここにはかなり可能性を感じました。
そして同時に、
Geminiに任せるなら、人間が全部を設計しすぎない方がいい場面もある
のかもしれないと思いました。
6つ試して見えてきた、Gemini 3.7 Flashの共通点
今回、結果だけを見るとかなり優秀です。
Webページは実際にかなりの完成度まで作れました。
複数工程の外出計画も最後まで進めました。
19個の条件も大半を保持しました。
障害分析では核心までかなり正確に絞りました。
長い文章の最初に書いたルールも覚えていました。
そして最後には、ブラウザで実際に遊べるゲームまで作りました。
Googleは3.7 Flashについて、3.6 Flashより指示への追従や複数ステップの計画を改善し、より少ない手動介入や再試行で仕事を進められることを強みとして説明しています。
今回の体験は、その方向性についてはかなり納得できるものでした。
でも、私の中で一番印象に残ったのはベンチマークではありません。
速さです。
数秒待つだけで、
コードが出る。
比較が終わる。
予算が出る。
原因分析が終わる。
長い条件を整理して提案まで返ってくる。
ゲームの土台まで出来上がる。
多少のミスがあるから使えない、とは私は思いませんでした。
むしろ逆です。
数秒でここまで持ってきてくれるなら、それだけでも十分価値がある。
これが今回の率直な感想です。

ただ、最後の確認まではまだ渡したくない
今回の6つの結果には、妙な共通点がありました。
かなりいいところまで行きます。
でも最後に、
臨時情報を1つ落とす。
自分の矛盾を見逃す。
推測を事実に変える。
覚えているルールを、自分の答えには適用できない。
ゲームも、コードを大量に書けばそのまま面白くなるわけではない。
という小さな穴が残りました。
だから今の私なら、
最初から全部自分でやる
でも、
AIに全部任せてそのまま使う
でもありません。
まずGemini 3.7 Flashに一気に作ってもらう。
そして最後だけ自分で見る。
必要なら、
「ここだけ直して」
と追加で返す。
その使い方が、一番しっくりきました。
以前は、
AIに仕事を任せるとき、
「どこまでできるか」
を気にしていました。
今回試してみて、少し考え方が変わりました。
Gemini 3.7 Flashは、
かなり先まで仕事を進めてくれます。
だからこれから大事になるのは、「どこまで任せるか」より、
「最後にどこを人間が見るか」
なのかもしれません。
少なくとも私は、数秒でここまで返ってくるなら、使う価値は十分あると思いました。
ただし。
最後の確認ボタンだけは、まだ自分で押します。
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参考・出典
Google
Introducing Gemini 3.7 Flash(2026年8月13日)Google Antigravity
Gemini 3.7 Flash in Google AntigravityGoogle
Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber(2026年7月21日)
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