小説 【君を救ったその日から】 第三章 後半
第三章 記録 後半
八月中旬。
暑さは相変わらずだった。
だが。
有紗の心はそれどころではなかった。
写真。
無言電話。
視線。
誰かに見られている感覚。
それが日に日に強くなっている。
その日の夜。
蓮は有紗をアパートまで送っていた。
「じゃあ」
「はい」
「鍵閉めろよ」
「閉めます」
「窓も」
「閉めます」
「チェーンも」
「閉めます」
「確認しろ」
有紗は少し笑った。
「過保護ですね」
蓮は真顔だった。
「今だけ」
「……」
「今だけ本気で怖い」
有紗の笑顔が消える。
蓮は冗談を言っていない。
本当に警戒している。
「分かりました」
有紗は頷いた。
そしてアパートへ入る。
蓮はそれを見届けてから帰った。
翌朝。
有紗は珍しく寝坊しかけた。
最近眠れていない。
疲労も溜まっている。
慌てて支度をする。
洗面所。
鏡を見る。
「……」
違和感。
何かある。
洗面台の横。
小さな紙。
「?」
昨日はなかった。
絶対に。
有紗は拾う。
開く。
そこには。
『旭先生、最近眠れていませんね』
呼吸が止まった。
「……っ」
紙を落としそうになる。

昨日の夜。
誰も来ていない。
鍵も閉めた。
窓も閉めた。
それなのに。
どうして。
どうして部屋の中にある。
十分後。
蓮が車で迎えに来た。
有紗は青ざめていた。
「有紗先生?」
顔を見た瞬間に分かった。
何かあった。
「佐藤さん」
声が震えている。
「部屋に」
「?」
「紙がありました」
蓮の顔色が変わる。
三十分後。
有紗の部屋。
蓮が室内を確認していた。
警察を呼ぶ前に状況確認。
有紗は玄関近くで待っている。
「……」
蓮は黙っていた。
リビング。
寝室。
洗面所。
そして。
寝室で足を止める。
「有紗先生」
低い声。
「はい」
「これ昨日なかった?」
ベッド脇。
小さな棚。
有紗が近付く。
「……え?」
写真立て。
元々何も入れていない飾りだった。
だが。
今は違う。
中に写真が入っている。
有紗自身の写真。
相談室で笑っている姿。
誰かが勝手に入れた。
「……」
全身の血の気が引く。
気持ち悪い。
怖い。
本当に。
部屋へ入られた。
一時間後。
明智刑事が到着した。
今度は表情が違う。
明らかに。
前回より重い。
「侵入の可能性があります」
部屋を見ながら言う。
「鍵は?」
「閉めました」
有紗は答える。
「窓は?」
「閉めています」
明智は頷く。
「分かりました」
そして。
少し考える。
「旭先生」
「はい」
「しばらく一人は避けてください」
有紗は黙る。
もう。
冗談ではない。
完全に事件だった。
その夜。
有紗は眠れなかった。
何度も鍵を確認する。
窓を見る。
音に反応する。
スマホを見る。
そして。
午前二時。
着信。
知らない番号。
有紗の手が震える。
出られない。
怖い。
だが。
数秒後。
別の着信。
蓮だった。
「もしもし」
ほぼ反射で出る。
『起きてたか』
その声を聞いた瞬間。
少しだけ安心した。
「……はい」
『眠れてないな』
「少しだけ」
『嘘』
有紗は苦笑した。
こんな状況なのに。
少しだけ。
本当に少しだけ。
安心した。
電話を切った後。
蓮は車の中にいた。
エンジンは切っている。
場所は。
有紗のアパート近く。
最近毎晩来ている。
本人には言っていない。
知られたら怒られそうだから。
「……」
窓の外を見る。
そして。
異変に気付く。
道路の向こう。
街灯の下。
誰かいる。
帽子。
黒い服。
男。
「いた」
蓮の目が細くなる。
男もこちらを見た。
一瞬。
視線がぶつかる。
次の瞬間。
男は走った。
「待て!」
蓮も飛び出す。
追い掛ける。
だが。
男は異様に慣れていた。
住宅街を抜ける。
路地へ入る。
姿が消える。
「クソ……!」
見失った。
だが。
一つだけ分かった。
実在する。
気のせいじゃない。
ストーカーはいる。
確実に。
暗いビルの屋上。
帽子の男は息を整えていた。
久しぶりに走った。
だが。
怒りの方が強かった。
「邪魔ですね」
蓮。
本当に。
邪魔だった。
そして。
男は気付いていなかった。
その様子を。
さらに遠くから見ている少女がいることに。
彼女は屋上の反対側から男を見ていた。
静かに。
無表情で。
「旭先生を怖がらせた」
小さく呟く。
男に対して。
初めて。
ほんの少しだけ。
敵意が芽生え始めていた。
有紗が誘拐されたのは。
本当に。
何でもない日のことだった。
夏休み終盤。
夕方。
相談室。
「じゃあ送る」
蓮が言った。
いつものやり取り。
「今日は大丈夫です」
有紗が答える。
「ダメ」
「近いですし」
「ダメ」
「佐藤さん」
「ダメ」
最近は毎回こうだった。
有紗は苦笑する。
「少しだけコンビニ寄りたいんです」
「じゃあ一緒に行く」
「保護者ですか」
「用務員」
有紗は笑った。
本当に。
少しだけ。
久しぶりに自然に笑えた。
コンビニを出る。
空は赤く染まっている。
有紗が袋を持つ。
蓮が隣を歩く。
その時だった。
スマホが鳴る。
有紗のもの。
知らない番号。
「……」
少し迷う。
でも出た。
「もしもし」
『旭先生』
女子生徒の声。
有紗は立ち止まる。
「奈々さん?」
『助けてください』
声が震えている。
『怖いんです』
有紗の顔色が変わる。
「どうしました?」
『学校の倉庫の近くです』
『お願いです』
『来てください』
電話が切れる。
有紗はすぐに蓮を見る。
「奈々さんが」
「待て」
蓮が即座に言う。
「電話?」
「はい」
「俺も行く」
「でも」
「行く」
有紗は頷いた。
十分後。
学校裏。
古い倉庫の近く。
人気がない。
夕方。
不気味な静けさ。
「俺裏の方見てくる、動くなよ」
こくりと頷く有紗。 「奈々さん?」
有紗が呼ぶ。
返事はない。
「奈々さん!」
その時だった。
後ろから物音。
振り返る。
「――っ」
口を塞がれる。
刺激のある匂い。
視界が滲む。
身体から力が抜けていく。
意識が遠のく。
「有紗先生!」
蓮の声。
叫び。
走る音。
でも。
もう遅かった。
有紗の視界は闇へ沈んだ。
目が覚めた時。
暗かった。

「……」
頭がズキズキと痛む。
身体が重い。
手が動かない。
拘束されている。
「っ……」
ようやく状況を理解する。
知らない部屋。
古い建物。
そして。
「旭先生」
声。
優しい声。
聞いたことのない声。
でも。
なぜか寒気がした。
目の前。
一人の男。
帽子。
黒い服。
穏やかな笑顔。
「やっと」
男は微笑む。
「二人きりですね」
有紗の全身が震えた。
「誰……ですか」
男は少しだけ悲しそうに笑う。
「覚えていませんか」
「……」
「黒崎 真琴です」
その名前に。
有紗は覚えがあった。
黒崎は嬉しそうだった。
「やっぱり」
優しく言う。
「旭先生らしいですね、可愛らしい……」
一方その頃。
蓮は警察署にいた。
「誘拐です」
机を叩く。
「早く助けないとまずいんだよ」
明智は真剣な顔だった。
既に動いている。
だが。
証拠が少ない。
「最後の通話は?」
「市川奈々」
蓮が答える。
明智の目が変わる。
「市川?」
「本人か分からない」
「……」
「でもあいつの名前だった」
空気が変わる。
明智は立ち上がる。
「調べます」
その頃。
市川奈々は自室にいた。
スマホを見る。
ニュースはまだ出ていない。
当然だ。
まだ数時間。
だが。
奈々の顔色は悪かった。
「違う」
小さく呟く。
こんな予定じゃなかった。
黒崎は守ると言っていた。
旭先生を。
幸せにすると。
なのに。
「旭先生を誘拐するなんて…佐藤のほうをどうにかするって言ったじゃない……」
奈々の手が震える。
そして。
初めて。
本気で黒崎に怒りを覚えた。
薄暗い廃工場。
黒崎は有紗の前に座っていた。 「旭先生」
穏やかな声。
「怖がらないでください」
「……」
「私は旭先生を傷付けません」
有紗は怯えた目を黒崎に向け、何も言えない。
黒崎は微笑む。
「高橋も」
「……!」
「山本も」
その名前に。
有紗の顔色が変わる。
「どうして」
声が震える。
「その名前を」
黒崎は笑った。
穏やかに。
優しく。
そして。
決定的に狂っていた。
「だって」
黒崎は言う。
「私が消しておきましたから」
世界が止まった。
有紗の呼吸が止まる。
耳鳴り。
理解が追いつかない。
高橋愛梨。
山本幸也。
自殺じゃなかった。
この男が。
殺した。
黒崎は嬉しそうに微笑んだ。
「旭先生を守るためです」
その言葉が。
何よりも恐ろしかった。
有紗は言葉を失っていた。
目の前の男は笑っている。
穏やかに。
優しく。
まるで本当に自分が正しいと信じているように。
「旭先生」
黒崎が言う。
「泣かないでください」
有紗は気付かなかった。
自分が泣いていたことに。
「どうして……」
震える声。
「どうしてそんなことを」
黒崎は少し首を傾げる。
本当に不思議そうに。
「旭先生を守るためです」
有紗は息を呑む。
「高橋は」
黒崎が言う。
「先生を脅そうとしていました」
「……」
「山本は先生を好きになりました」
「……」
「だから」
微笑む。
「排除しただけです」
有紗は吐き気を覚えた。
理解できない。
理解したくない。
目の前の男は狂っている。
完全に。
一方。
明智たちは動いていた。
「市川奈々は?」
明智が聞く。
若い警察官が答える。
「自宅にいます」
「任意同行」
「はい」
蓮は苛立ちながら待っていた。
「急げ」
小さく呟く。
有紗が心配だった。
今。
何をされている。
どこにいる。
考えるだけで落ち着かない。
一時間後。
奈々は警察署にいた。
取り調べ室。
明智と向かい合う。
「市川さん」
「はい」
「旭先生の件です」
奈々は黙る。
「あなたの名前を使った電話がありました」
「知っています」
明智の眉が動く。
「知っている?」
「黒崎真琴です」
即答だった。
空気が変わる。
蓮も顔を上げる。
「どこだ」
奈々は蓮を見る。
真っ直ぐ。
「旭先生を助けたいですか」
「当たり前だろ」
即答だった。
奈々は少しだけ微笑んだ。
そして。
全てを話し始めた。
黒崎との出会い。
手紙。
写真。
協力したこと。
でも。
誘拐は知らなかったこと。
有紗を傷付けるつもりはなかったこと。
全部。
全部話した。
「廃工場です」
最後にそう言った。
「中山町のガソリンスタンドの裏の」
明智は立ち上がる。
「行くぞ」
警察が動き出す。
蓮も立つ。
「お前は待機」
明智が言う。
「無理」
即答だった。
「佐藤」
「無理」
明智はため息を吐く。
予想していた。
「勝手に動くなよ」
「努力する」
「嘘だな」
「うん」
夜。
恐ろしいほど静かな廃工場。
古い建物。
人気はない。
風だけが吹いている。
黒崎は有紗の前にいた。
「旭先生」
優しい声。
「大丈夫です」
有紗は何も答えない。
答えられない。
怖い。
ただ怖い。
その時だった。
遠く。
サイレン。
「……」
黒崎の表情が初めて変わる。
笑顔が消えた。
「なるほど」
小さく呟く。
「奈々さんですか」
怒ってはいない。
むしろ納得していた。
「仕方ありませんね」
そして。
有紗を見る。
寂しそうに。
本当に。
寂しそうに。
「旭先生…私はね……」
その時。
建物の外から声がした。
「有紗!」
蓮だった。
有紗の目が見開く。
「佐藤さん……!」
その瞬間。
黒崎の目が変わる。
冷たく。
鋭く。
憎しみに近い何かが宿る。
「……」
蓮。
邪魔な男。
旭先生を連れて行く男。
旭先生の隣にいる男。
黒崎は静かに立ち上がる。
そして。
初めて感情を露わにした。
「来ないでください、貴方は邪魔だ」
低い声。
怒りを押し殺した声。
外では警察が包囲している。
だが。
蓮は止まらない。
工場の中へ飛び込んでくる。
そして。
目が合った。
蓮。
黒崎。
二人の男。
その間に。
拘束された有紗。
「有紗から離れろ」
蓮が言う。
黒崎は笑わない。
「嫌です」
初めてだった。
黒崎が即答したのは。
「旭先生は私のものです」
その言葉に。
有紗の背筋が凍る。
蓮の目が細くなる。
「違うだろ」
静かな声。
「有紗は物じゃない」
黒崎が固まる。
一瞬だけ。
本当に一瞬だけ。
その言葉が刺さったように。
「……」
沈黙。
そして。
遠くで警察の声が響く。
「黒崎真琴!動くな!」
包囲は完成していた。
逃げ場はない。
黒崎はゆっくり目を閉じる。
数秒。
静かに。
そして。
小さく笑った。
「旭先生」
有紗を見る。
最後まで。
愛おしそうに。
「ここまで見守って来ました……私は、ただ守りたかっただけです」
その言葉だけを残して。
黒崎は抵抗せず両手を上げた。
警察が突入する。
明智が駆け込む。
拘束。
逮捕。
全ては数分間のことだった。
そして。
有紗の拘束が解かれる。
「有紗」
蓮が駆け寄る。
有紗は震えていた。
涙も止まらない。
でも。
蓮の顔を見た瞬間。
ようやく安心できた。
「佐藤さん……」
「ん」
「怖かったです」
初めてだった。
有紗が素直にそう言ったのは。
蓮は少しだけ笑う。
「知ってる」
そして。
有紗の頭に手を置き、胸元へ引き寄せた。
「もう大丈夫だ」
その言葉に。
有紗は泣きながら頷き、蓮に縋りついた。

今回の黒崎による誘拐事件は。
こうして終わりを迎えた。
黒崎真琴が逮捕されてから一週間。
白波学園にはようやく静けさが戻り始めていた。
とはいえ。
有紗の日常は完全には戻らない。
無理もなかった。
誘拐されたのだ。
しかも犯人は。
数年間に渡って自分を監視し続けていた男だった。
放課後。
相談室。
有紗は机に向かっていた。
書類は開いている。
だが。
内容は頭に入らない。
「有紗先生」
声。
蓮だった。
「はい」
「ぼーっとしてる」
「してません」
「してる」
即答。
有紗は小さくため息を吐く。
「少しだけです」
「無理すんな」
珍しく優しい声だった。
有紗は少しだけ笑う。
「最近優しいですね」
「元から」
「嘘です」
「失礼だな」
そのやり取りだけで。
少しだけ気持ちが軽くなる。
コンコン。
扉が鳴る。
「どうぞ」
入ってきたのは明智だった。
「失礼します」
今日は私服だった。
だが。
刑事の空気は消えない。
「明智さん」
「少し報告を」
有紗の表情が引き締まる。
蓮も椅子へ座り直した。
黒崎真琴。
三十二歳。
元国語教師。
取り調べは順調だった。
むしろ。
驚くほど素直だった。
「全部認めました」
明智が言う。
相談室が静かになる。
「高橋愛梨さん」
「……」
「山本幸也くん」
「……」
「両方とも黒崎の犯行です」
有紗は目を閉じる。
やっぱり。
蓮は小さく舌打ちした。
「理由は」
低い声。
明智は答える。
「旭先生です」
有紗の肩が震える。
「高橋さんは黒崎のストーキング行為に気付き、それをネタに旭先生へ何らかの脅しをかけようとしていたようです」
「……」
「山本くんは旭先生へ好意を抱いたようで、それが許せなかった…」
「……」
「だから排除した」
淡々とした説明。
だが。
内容は狂っていた。
「旭先生を守るため」
明智が言う。
「本人は本気でそう思っています」
有紗は何も言えなかった。
言葉にならない。
「市川奈々については」
有紗が聞く。
明智は少し考える。
「黒崎へ情報提供をしていました」
「……」
「ただし」
「?」
「殺人への関与は確認されていません」
有紗は少しだけ安心する。
奈々は被害者でもあった。
黒崎に利用されていた部分もある。
「本人も反省しています」
明智が言う。
その言葉に。
蓮だけが小さく眉をひそめた。
何となく。
本当に何となくだけど。
引っかかった。
報告が終わると、明智は帰っていった。
相談室には再び静寂。
「終わったな」
蓮が言う。
「……そうですね」
有紗は窓を見る。
夕焼け。
穏やかな景色。
ようやく終わった。
そう思いたい。
でも。
心のどこかが落ち着かない。
帰り道。
蓮が隣を歩く。
最近は当たり前になっていた。
「佐藤さん」
「ん」
「ありがとうございました」
蓮が止まる。
「急に何」
「色々です」
有紗は少し笑う。
「助けてくれて」
「……」
「守ってくれて」
「……」
「本当に」
そこで頭を下げた。
「ありがとうございました」
蓮は困った顔をした。
「やめろ」
「でも」
「有紗先生」
蓮は頭をかく。
照れ臭そうに。
「無事ならいい」
それだけだった。
有紗は少しだけ目を丸くする。
そして。
微笑んだ。
「優しいですね」
「だから元からだって」
「ふふ」
笑う。
本当に久しぶりに。
自然な笑顔だった。
その顔を見た蓮は。
ほんの少しだけ。
目を逸らした。
その夜。
市川奈々は自室にいた。
机の上にはニュース記事。
黒崎真琴逮捕。
連続殺人。
誘拐。
全部載っている。
「……」
奈々は静かに記事を閉じた。
怒りは消えていた。
奈々はスマホの画面を見つめていた。
そこには、有紗と蓮が並んで歩く写真が映っていた。
「……佐藤さん」
奈々は小さく呟く。
その声には、自分でも気付かないほど微かな棘が混じっていた。
「今度は私が守りますから」
翌週。
夏休み最後の日。
相談室。
有紗は机へ座っていた。
ようやく少し落ち着いてきた。
生徒たちももうすぐ戻ってくる。
新学期が始まる。
その時。
コンコン。
扉が鳴る。
「どうぞ」
有紗が答える。
扉が開く。
そこには。
一人の女子生徒。
見たことのない顔。
不安そうな表情。
「あの」
小さな声。
「相談いいですか」
有紗は微笑んだ。
いつものように。
優しく。
「もちろんです」
少女は少し安心したように笑う。
椅子へ座る。
そして。
新しい悩みを話し始める。
どんな事件があっても。
どれだけ傷付いても。
相談室は開いている。
旭有紗は。
今日も誰かの話を聞いている。
第三章 記録 後半 終
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