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60代のリアル|第2幕、第23話【実録・介護の停滞期】「転院?退院?」音信不通の病院に勝手な納得


前回までのあらすじ

ホームページの本アップ直前に判明した、まさかの「日付誤りによる全データ差し替え」。 焦る気持ちを抑え、慎重に慎重を期した再作業の末、無事に修正データの仮アップとダブルチェックを完了させました。

お昼休み直前、机の引き出しの奥で出番を失っていた「産休に入る同僚へのお菓子(ミルフィユ)」の存在を思い出し、急いで手渡すことができた私。彼女の幸せに満ちた笑顔に救われ、午後には本アップも無事に完了しました。

しかし安堵も束の間、午前中のトラブルのしわ寄せで「支払証明書の発送作業」が大幅に遅れていることに気づき、冷や汗をかきながら優先順位を整理して怒涛の一日を乗り切ります。

帰り道、ミスをした当事者を責めることなくリカバリーを果たした自分を労いつつも、「あの時もっと優しく『大丈夫ですよ』と言ってあげられたら」と相手の不安に思いを巡らせた私。

職場の嵐をなんとか越えたのも束の間、我が家では介護をめぐる「大きな節目」の時期が静かに近づいていたのです——。



音沙汰のない電話と、静寂の3ヶ月

7月23日(木)

あの火曜日の怒涛のトラブルが嘘のように、オフィスはすっかりいつもの日常を取り戻していました。

自分のデスクで粛々と定時業務をこなし、キーボードを叩く指先。けれど、私の頭の片隅には、変わらず母の姿がありました。

「そういえば……母の熱は、あれから無事に下がったのだろうか?」

あの日、39.1度という高熱を出した母。解熱剤も効かず、苦しそうにしていた姿がふと頭をよぎります。 そして、それと同時にもう一つ、どうしても頭から離れない「期限」がありました。

(入院してから、今日でちょうど3ヶ月……)

一般的に、急性期病院では入院から3ヶ月という節目を迎えると、退院や転院についての話が病院側から出されると聞いていました。 だからこそ私は、7月23日(木)というこの日を、どこか緊張した持ちで迎えていたのです。

今日あたり、病院の退院調整看護師さんや主治医から「今後のことについて」と連絡がかかってくるのではないか——。

そう思って過ごしていましたが、スマホは終日シーンとしたままで、着信音も通知音も一度も鳴ることはありませんでした。

画面すら暗いままの静かなスマホを見つめながら、私はぽつりと独りごちました。

(……連絡がないということは、どういうことだろう?)

状況がよく分からないまま、私は自分に言い聞かせるように、都合よく解釈するしかありませんでした。

きっと、まだ他院へ転院できるほど容体が安定しているわけではない。けれど、命に関わるような緊急事態というわけでもないのだろう、と。

連絡がないのは「変わらない状態」が続いている証拠なのだと、勝手に自分を納得させようとしていました。

しかし、その静寂こそが、かえって不気味で大きな不安となって、私の心に少しずつ影を落としていくのでした。



🌿次回予告

病院からの連絡がないまま過ぎていった、7月23日(木)。 どこか不気味なほどの静けさに包まれ、「本当にこのままで良いのだろうか」と心は晴れないままでした。

しかしその翌日、私の元へと思いがけない一本の電話が入ります。

ずっと止まっていたかのように思えた時間が、ここから一気に動き始めることになるとは、この時の私はまだ知る由もありませんでした。

次回、【実録・介護の動き出した時間】。どうぞお楽しみに!


▼ 第24話はこちらです。



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