あなたはもう、十分に生きている。
そんなことを言われても、
信じられない夜がある。
夜は、いつも同じ速さで来る。
なのに、こちらの呼吸だけが、
どうしたって追いつかない。
そんな夜は、
少しだけ、海の話を聞いてほしい。
◇ ◇ ◇
海は、急がない。
サンゴは、
一年にたった3mmしか育たない。
それでも、
やめなければ、
いつか島になる。
クラゲには、
脳も心臓もない。
それでも五億年、
行き先を決めずに海を漂いながら、
少しずつ世界のバランスを整えてきた。
海の底には、
「早く」も、「もっと」も落ちていない。
足りないと思うことは、
たぶん、
陸で覚えた習慣だ。
◇ ◇ ◇
もう一つ、
海が教えてくれたことがある。
答えがなくても、
続けていいということ。
深海のどこかで、
35年間、
ひとつの声が歌い続けている。
どのクジラの歌とも一致しない、
たった一つの周波数。
返事は、
まだ一度も確認されていない。
それでも、
その歌は止まらなかった。
届いたかどうかは、
歌う理由にならない。
そのことを、
あのクジラは、
誰よりも早く知っていたのかもしれない。
◇ ◇ ◇
そして、
もう一つ。
深く潜るほど、
心臓をゆっくり打つ生き物がいる。
人は不安になると、
呼吸を浅くして、
上へ上へと浮かびたくなる。
でも海は、
まったく逆のことを教えてくれる。
沈んでいい。
深いところほど、
静かな場所がある。
凪は、
いつも深い海にある。
◇ ◇ ◇
急がなくていい。
足りなくていい。
届かなくても、歌っていい。
沈んでいい。
あなたはもう、十分に生きている。
これは慰めではない。
何億年も、
そうやって命をつないできた生き物たちの、
ただの生態だ。
スピリチュアルは、物理。
海は、励まさない。
ただ、事実だけを、
静かに差し出してくる。
◇ ◇ ◇
ここまで読んでくれて、ありがとう。
少しでも呼吸が深くなったなら。
この海には、
まだ続きがあります。
クジラは、
なぜ深く潜るほど心臓を遅くするのか。
52Hzのクジラは、
35年間歌い続けたあと、
本当に孤独だったのか。
死んだクジラは、
なぜ100年かけて命の森になるのか。
そして、
海はなぜ、
自己否定を知らないのか。
Threadsでは書ききれなかった物語を、
少しずつ、noteに残しています。
眠れない夜に。
また、
海へ潜りに来てください。
この海は、逃げません。
だから、あなたも急がなくて大丈夫。
きっと、
あなたの呼吸に合う物語が見つかります🐋🌙
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この先の、海の物語。
眠れない夜のために書いた、
10の海の物語。
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返事がなくても、
歌い続けた一頭のクジラの話。
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海が何億年もかけて教えてくれた、
「そのままでいい」という話。
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Threadsより少し近い場所で、お話しできたらと思い、
小さなメンバーシップを作りました。
海を歩いていると、ときどき潮だまりに出会います。
波が静まり、少しだけ立ち止まれる場所。
「ぽたまり」も、そんな場所になれたら嬉しいです。
