アンガーマネジメントと私③|怒りはコントロールではなく「選べる」ようになる
アンガーマネジメントは「理論」ではなく「実践」で価値になる
学びは、まず自分に使うことから始まった
アンガーマネジメントを学び始めた当初、私は「人に教える」ことは全く考えていませんでした。
あくまで目的は、自分自身のため。
これまでのように、感情に任せて怒鳴ってしまうことを繰り返さない。
まずは、自分の怒りと向き合うことが最優先でした。
ただ、ひとつ強く意識していたことがあります。
それは、「自分はアンガーマネジメントを学んでいる人間だ」という自覚です。
もしここで、以前と同じように感情的に怒鳴ってしまったらどうなるか。
それは単に自分の問題にとどまらず、
アンガーマネジメントそのものの信頼を下げてしまうことにもつながる。
そう考えたとき、「ここでどう振る舞うか」が、自分にとっても、周囲にとっても重要だと感じました。
怒らないのではなく、「選ぶ」ようになった
アンガーマネジメントを学んで最初に変わったのは、「反応の仕方」でした。
これまでは、イラッとした瞬間に、そのまま反応していました。
しかし、学びを通じて、ひとつの選択肢が生まれます。
「今、この怒りをどう扱うか」
怒るのか。
怒らないのか。
どう伝えるのか。
それを“選ぶ”という感覚です。
怒りがなくなるわけではありません。
ただ、怒りに支配されることは減っていきました。
「最近、怒りについてどう思う?」と聞かれるようになった
面白いことに、自分の変化は、思っていた以上に周囲に伝わっていました。
日常の会話の中で、「最近アンガーマネジメントを学んでいる」と話していたこともあり、徐々にこんな声をかけられるようになります。
「ちょっと相談していい?」
「こういう時って、どう考えればいいの?」
職場の中で、怒りに関する会話が自然と増えていきました。
それまで“個人の感情”だったものが、“共有できるテーマ”に変わっていった感覚です。
社内研修という形で広がっていく
やがて、「社内で研修をやってほしい」という声がかかるようになります。
最初は、あくまで身近な人たちに向けた小さな場でした。
しかし、そこから少しずつ広がっていきます。
アンガーマネジメントという言葉が社内で浸透し、
「怒り」について話すことが特別なことではなくなっていく。
そして何より、「怒りをどう扱うか」を考える文化が少しずつ生まれていきました。
「1回やって終わりではない」という実感
その後、一般向けの講座や、企業研修、教育委員会での研修など、活動の場は広がっていきました。
特に印象的だったのは、学校の先生方への研修でした。
現場で日々子どもたちと向き合っている先生方にとって、感情との向き合い方は非常に重要なテーマです。
そして、その研修が単発で終わらず、何年も継続してご依頼いただいています。
この経験から強く感じたのは、アンガーマネジメントは「一度学べば終わり」ではないということです。
むしろ、継続して取り組むことで、少しずつ変化していくものだと実感しました。
スポーツの現場で感じた「怒りの影響力」
活動が広がる中で、スポーツの現場に関わる機会も増えていきました。
例えば、プロスポーツチームでの研修。
そこでは、単にアンガーマネジメントの知識だけでなく、選手とのコミュニケーションについても求められます。
指導者の言葉ひとつで、選手のパフォーマンスは大きく変わる。
伝え方ひとつで、信頼関係が築かれることもあれば、壊れてしまうこともある。
その現実を目の当たりにしました。
セーフガーディングとの接点
さらに、スポーツの現場では「セーフガーディング」という考え方とも出会います。
選手が安心して成長できる環境をどう作るか。
その中で、感情の扱い方、特に「怒り」は非常に重要な要素になります。
アンガーマネジメントは、単なる個人スキルではなく、
環境そのものを変える力を持っていると感じました。
自分自身も、学び続ける側である
スポーツの現場に関わる中で、私自身も学ぶ必要性を感じるようになります。
指導者が何を考え、どんな環境で選手と向き合っているのか。
それを理解しなければ、本質的な価値提供はできない。
そう考え、実際にサッカーの指導者ライセンスを取得することにも挑戦しました。
伝える側でありながら、同時に学び続ける側でもある。
この姿勢は、今でも大切にしています。
アンガーマネジメントは「人」を変え、「場」を変える
ここまでの実践を通じて、強く感じていることがあります。
それは、アンガーマネジメントは単に「怒らなくなる技術」ではないということです。
人の行動を変え、
人間関係を変え、
そして、その場の空気を変えていく。
そんな力を持っていると感じています。
学びは、社会へと広がっていく
最初は、自分のために始めた学びでした。
しかし、気づけばそれは、職場へ、教育現場へ、スポーツの現場へと広がっていきました。
そして今、その学びは、さらに大きな役割を持つようになっています。
