見出し画像

#6【守る力】資産を国に取られない。私が実践する「税金の最適化」戦略

2026/04/17 更新

こんにちは、そのはです。

前回の記事では、固定費の最適化について書きました。

汗水流して稼いだお金を無駄なく残し、それを将来の資産形成に回していくための土台づくりです。


「稼ぐ力」を伸ばし、「貯める力」を整えたら、
次に必要になるのが「守る力」です。


どれだけ一生懸命にお金を増やそうとしても、税金という大きなコストを放置していると、資産はじわじわ削られていきます。

特に日本は累進課税なので、所得が増えるほど、この影響は無視しにくくなります。


資産形成は、「稼ぐ」「貯める」「守る」が揃ってはじめて安定します。

そしてこの「守る力」は、投資のように不確実なものではなく、制度を正しく使うことで比較的確実に効果が出る領域です。


今回は、私自身の闘病や年金猶予の経験も踏まえながら、実際に意識している「税金の最適化」について、具体例つきで整理していきます。



1. 高額な出費を、ただの出費で終わらせない

人生には、予定していなかった大きな支出が突然やってくることがあります。

病気や怪我にかかる医療費は、その代表例です。


私自身、癌の闘病で高額な医療費を経験しました。

そのときに強く感じたのは、大きな支出は痛いものの、制度を知っていれば「ただお金が減った」で終わらせずに済む、ということでした。

その代表が医療費控除です。


1-1. 医療費控除は、家計を立て直す速度を変える

医療費控除は、
1年間に支払った医療費が10万円、もしくは所得の5%を超えた場合に、その超えた分を課税所得から差し引ける制度です。


たとえば、所得税率が20%、住民税率が10%で、合計30%の税率がかかっている人がいたとします。

この人が年間で150万円の医療費を支払った場合、控除対象になるのは150万円から10万円を差し引いた140万円です。

この140万円に対して30%の税負担が軽くなるので、還付や減税の効果は42万円になります。

  • 控除対象額: ¥1,500,000 - ¥100,000 = ¥1,400,000

  • 還付・減税額: ¥1,400,000 × 30% = ¥420,000


高額な医療費はもちろん大きな痛手です。

ただ、この制度を知っているかどうかで、その後の家計の立て直しやすさはかなり変わります。

大きな出費を経験したときほど、制度をきちんと確認する意味があります。


1-2. 傷病手当金を受け取るかどうかも、全体で考える

高額な医療費が発生するような病気で会社を休む場合、健康保険から傷病手当金を受け取れることがあります。

ただし、ここで気をつけたいのが、傷病手当金を受け取ることが医療費控除の計算に影響する点です。

医療費控除の考え方は、基本的に次の式で整理できます。

支払った医療費の合計額 − 保険金などで補填される金額 − 10万円(または総所得の5%)

傷病手当金は非課税所得ですが、医療費控除の計算では「保険金などで補填される金額」にあたるものとして扱う必要があります。

つまり、受け取った分だけ控除額は小さくなります。


そのため、傷病手当金を受け取る場合は、毎月の生活を安定させやすい一方で、医療費控除による還付額は小さくなります。

逆に、十分な貯蓄があって当面の生活に困らないのであれば、あえて傷病手当金を受け取らず、医療費控除の効果を大きく取るという考え方も成り立ちます。


もちろん、何を優先するかは状況次第です。

ただ、ここで大事なのは「目先の制度を単体で見る」のではなく、全体のキャッシュフローで判断することだと思っています。

貯蓄に余裕があるなら、還付効果の大きい選択を取る余地もあります。



2. 所得がある人ほど、所得控除を丁寧に使う

「守る力」の中でも、特に効きやすいのが所得控除です。

所得控除は、課税対象になる所得そのものを減らせるので、仕組みとしてとても分かりやすいです。

しかも、税率が高い人ほど効果も大きくなります。
収入が増えてきた人ほど、ここは雑に扱わないほうがいい領域です。


2-1. iDeCoは、節税と非課税運用を同時に取れる

iDeCoは「自分で老後資金を積み立てる制度」という印象で見られがちですが、
実際には節税メリットがかなり強い制度です。

積み立てた掛金は全額が所得控除の対象になりますし、運用益にも税金がかかりません。

節税と非課税運用を両方取れるので、かなり強力です。


たとえば、毎月1万円、年間で12万円を積み立てていて、所得税率20%、住民税率10%の人なら、年間12万円に対して30%分の税負担が軽くなります。

つまり、毎年3万6,000円が還付・減税される計算です。

これを30年間続けると、税金として引かれずに済む金額は合計108万円になります。

投資のリターンは上下しますが、この3万6,000円の節税効果はかなり確度の高いリターンです。


iDeCoの弱点としてよく言われるのが、原則60歳まで引き出せないことです。

ただ、私はこれは見方次第だと思っています。

途中で触れないからこそ、感情や事情で崩しにくく、長期運用を強制できるとも言えます。


また、60歳前に万一亡くなった場合でも、資産がそのまま消えるわけではなく、遺族に一時金として支払われます。

ゆえに、この点を理由に過度に避ける必要はないと考えています。

これについては、下の記事で詳しく解説されています。


2-2. 国民年金の追納は、「いつ払うか」まで考える

学生時代に経済的な事情があって、学生納付特例制度を使って国民年金の支払いを猶予していた方もいると思います。
私もその一人でした。


この猶予分は、将来の年金額という意味では不利になりますが、追納すれば満額に近づけることができます。

そして追納のメリットは老後資金の補強だけではありません。
税制面でもかなり大きいです。


追納した保険料は、全額が社会保険料控除の対象になります。

つまり、払った分だけその年の課税所得を減らせます。


ここで意識したいのが、「追納するかどうか」だけではなく、「どの年に追納するか」です。

追納には10年以内という期限がありますが、どの年に払っても控除は受けられます。


だとすると、副業の利益などで一時的に所得が大きく増え、普段より税率が上がる年に追納したほうが、控除の効果を大きく取りやすくなります

税率の高い年に、追納額でその所得を相殺するイメージです。


同じ制度でも、使うタイミングまで考えると、節税の効き方は変わってきます。

SMBCのこちらの記事も参考になるので、ご参照ください。


2-3. 副業が育ってきたら、青色申告のインパクトは大きい

副業が継続し事業性が見えてきたら、青色申告はかなり重要になってきます。

複式簿記での記帳など要件はありますが、それを満たせば最大65万円の特別控除を受けられます。
これはかなり大きいです。


たとえば、所得税と住民税を合わせた税率が30%の人なら、65万円の控除によって年間19万5,000円分、手元に残るお金が増える計算になります。


私自身は、開業届自体は出しているものの、現時点ではまだ「事業」と認められるだけの作業量や継続性が十分ではないと考えていて、青色申告までは進めていません。
(副収入は、作業を必要としない、いわゆる不労所得がほとんど。)

ただ、これは副業の規模が育ってきたら、いずれ切り替えるべきものだと思っています。


制度だけ知っていても意味がなくて、自分の状況に照らして、いつから使うべきかを判断することが大事です。



3. 税金から守るのは、所得だけではない

固定費を削って、所得控除で税負担も軽くできたら、その先は「増やす力」に資金を回していく段階です。


そこで重要になるのが、運用で得た利益に対する課税をどう防ぐかです。
ここではNISAが中心になります。

また、節税と誤解されがちなふるさと納税についても、位置づけを整理しておきたいです。


3-1. NISAは、未来の税金を消してくれる

投資そのものの中身については別記事で詳しく書いていますが、制度面だけで見ても、NISAはかなり強いです。


通常、投資で利益が出ると、その利益には約20%の税金がかかります。

NISAは、この税金がかかりません。


たとえば、300万円を年利5%で20年間運用したケースを考えます。
この場合、運用益はおよそ496万円になります。

もし課税口座で運用していれば、この496万円の利益に対して約20.315%の税金がかかるので、ざっくり100万円前後を税金として持っていかれることになります。

一方で、NISA口座ならこの税金がかかりません。
つまり、100万円規模の未来のコストを制度の力で消せるわけです。


時間と複利が効く投資では、この差はかなり大きくなります。

NISAは単なる「お得な制度」ではなく、運用益を税金から守るための土台として考えるべきだと思っています。


増やす側の全体設計まで整理したい方は、このあたりもつながります。


3-2. ふるさと納税は、厳密には節税ではない

ふるさと納税は「節税」として語られることが多いですが、厳密には少し違います。


本来払うはずの住民税の一部を、寄付という形で前倒しして自治体に納め、そのお礼として返礼品を受け取る制度です。

実質2,000円の自己負担で、住民税の使い道を選びつつ返礼品をもらえる仕組み、と捉えるのが近いです。


つまり、税額そのものが減るというよりは、どうせ払う税金に対して追加の価値を取る制度です。

その意味では、厳密な節税ではなくても、家計改善のインパクトは十分あります。


返礼品については、私はティッシュやトイレットペーパー、お米のような、必ず消費する日用品を選ぶのが合理的だと思っています。

こうしたものをふるさと納税で賄えれば、その分だけ普段の家計から現金が出ていきにくくなります。


派手さはありませんが、「貯める力」を地味に補強してくれる使い方です。



4. 固定費を削ったら、次は「守る」

ここまで書いてきた内容は、どれも派手なテクニックではありません。

でも、医療費控除のように一度の申告で大きな還付につながるものもありますし、iDeCoやNISAのように長く使うほど効いてくる制度もあります。

年金の追納や青色申告のように、タイミングや前提条件を考えることで効果が大きくなるものもあります。


資産形成では、「稼ぐ」「貯める」「守る」の順で土台を固めることが大事です。

この三つが揃ってはじめて、その先の「増やす」が安定してきます。

特にiDeCoやNISAは、ただ知っているだけで終わらせず、実際にどう使うかまで落とし込みたい制度です。


節税で資金を守れたら、次はその資金をどう増やしていくかです。

次回は、NISAやiDeCoの中でどのように商品を選び、どういうアセットアロケーションで運用していくのか、私の考え方を書いていこうと思います。

それでは。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集