技術士「又三部長」【第2話】あの年上部下には負けられない|50代後半が掴む最後のプライド。|テラスカフェ、R08版・業務詳細への『第一の関門』
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【登場人物紹介】
🥸 又三(またぞう)部長
中堅建設コンサルタントの技術部長。
高卒叩き上げ。
30代後半で農業部門と
総合技術監理部門(農業)を取得。
その4年後に建設部門(道路)を取得し、
部長へ昇格。
かつて
建設総監持ちの年上部下への嫉妬に狂ったが、
それをサーバントリーダーとしての強みに変えた。
前夜、合格発表の夜、
スナック「桃源郷」で令和7年度の総監合格を
ママ(ルミ)とサトシに祝ってもらった。
しかし、
サトシから「令和8年度改定の壁」を突きつけられ、
合格の余韻と新時代の不安を抱えつつ、
午後のカフェ会議に臨む。
👔 サトシ
又三部長の協力会社の若手エース。
最新の試験制度や
改定版コンピテンシー(令和8年度)に精通。
部長の合格を喜びつつも、
技術士としての「次なる進化」を求め、
非情な現実を突きつける参謀。
前夜のスナックでは部長に
「完成というブロックを捨てろ」と宣告し、
今日のテラスカフェでのアップデート会議を
セッティングした。
👠 ルミ(ママ)
スナック「桃源郷」のママ。
魅惑的で大人の魅力あふれる女性。
技術者たちの鎧を脱がせる安らぎの場を守る。
前夜、部長の合格を心から祝福したが、
サトシにテラスカフェへの「同伴」を誘われ、
明るい陽射しの下、
技術者たちの新たな挑戦を見守る。
【第5章:テラスカフェの洗礼と、旧型への宣告】
場所: 午後14:00。駅前の開放的なテラスカフェ。
サトシが、
冷めたブラックコーヒーを前に、
腕時計をチラリと見る。
👔 サトシ
……15分、いや17分の遅刻ですね。
🥸 又三
(肩を上下させながら、猛ダッシュで現れる)
ハァ、ハァ……!
す、すまんサトシちゃん!
いやぁ、昨夜のシャンパンが、
わての高卒の肝臓には
ちょっと高級すぎたみたいでな。
目覚まし時計の音が、
地権者の怒鳴り声に聞こえて
二度寝してしもたんや。
👔 サトシ
フッ。
言い訳は、
部長の業務経歴書の中だけにしておいてください。
さあ、座ってください。
「総監の時間」は、もう始まってますよ。
🥸 又三
(ハンカチで汗を拭きながら席に着く)
……厳しいなぁ。
でも、これや。
このピリッとした緊張感が、
わてを合格まで運んでくれたんや。
それでサトシちゃん。
わてが以前にまとめた、
あの「概要版」。
あれはわての魂の結晶やったはずや。
農業と建設の二刀流、
年上部下の活用、
DXの推進……。
あれのどこを、
令和8年度向けに
いじらなあかんのや?
👔 サトシ
部長、
以前の概要版を今一度、
脳内で復習してみてください。
(サトシは、
タブレットに前回の概要版を表示させる)
👔 サトシ
確かに、
これまでの令和7年度向けなら、
これで完璧でした。
多様な関係者の合意形成、
適材適所による技術継承。
トレードオフを調整するという視点では、
これ以上ない出来です。
でも、
これからの令和8年度は、
この概要版に並んでいる言葉たちが、
急に色あせて見えるようになるんです。
🥸 又三
色あせて……?
わての
「人的資本を最大化するウェルビーイング」もか?
👔 サトシ
言葉としては残せます。
でも、定義を変えなきゃならない。
これまでの部長は、
「トラブルを避けるために部下をケアする」 という、
いわば安全管理の延長としての
ウェルビーイングを語っていました。
でも、
改定版コンピテンシーが求めるのは、
「一人ひとりの幸福を、企業の新しい価値にどう転換したか」
という経営・投資の視点なんです。
👠 ルミ
(隣の席から、そっとアイスティーを置きながら)
……お疲れ様、部長。
サトシさん、
そんなに追い詰めちゃ可哀想よ。
🥸 又三
(パッと顔を輝かせる)
マ、ママ!
来てくれたんか。
👠 ルミ
ふふっ。
同伴って約束したじゃない。
でもね、部長。
サトシさんの言うこと、
私も少しわかる気がするわ。
スナックの経営だって、
「喧嘩が起きないように管理する」のと、
「お客さんが元気になって、
また明日からバリバリ働ける場所を作る」 のとでは、
ママとしての覚悟が全然違うもの。
👔 サトシ
……さすがルミさん、
本質を突いています。
部長、いいですか。
この概要版に並んでいる
「(4) 生成AI等のデジタルツール活用」 という項目。
これも、令和8年度版では
「(4) 生成AIガバナンスによる倫理的リスク管理と共創」 へと、
深みを増す必要があります。
「総監キーワード2026」で追加された、
AIの責任ある活用、
そして、ネイチャーポジティブの深化……。
これらを、
部長の実務の中に
どう溶け込ませるか。
今日これから、
この経歴・応用能力と体系的専門知識を、
令和8年度の物差しで
一本ずつリノベーションしていきますよ。
🥸 又三
リノベーション……。
わての古い家を、
最新のスマートビルに建て替えろっ
ちゅうことか。
分かった。
ママ、
わてに一番濃いエスプレッソを頼む。
令和8年度の壁。
サトシちゃん、
あんたの設計図を、
じっくり見せてもらおうやないか!
👔 サトシ
……さて、部長。
今日の「令和8年度版・概要版」の全体像の講義は、
ここまでにしましょう。
一度に詰め込みすぎると、
昨夜のアルコールと一緒に
知恵まで蒸発してしまいますから。
🥸 又三
えっ、もう終わりか!?
サトシちゃん、
わての脳みそは今、やっと
「新時代のビル」の地鎮祭が終わったところや。
具体的な工法(書き方)を聞かんことには、
今夜も寝られへんぞ。
👔 サトシ
フッ。
焦りは禁物です。
具体的な「詳細版」のアップデートは、
また後日、じっくり腰を据えてやりましょう。
👠 ルミ
(サトシの肩を叩きながら)
そうよ、部長。
サトシさんの言う通り。
それより……
今日はせっかく明るい時間に
「同伴」してくれたんだもの。
このままお開きなんて、
レディに対して失礼じゃない?
🥸 又三
えっ、マ、ママ。
まだどこか行くんか?
👠 ルミ
向かいのデパートに、
ずっと気になってる春物のストールがあるの。
お二人とも、
私の「エスコート役」として、
もう少し付き合ってくれるわよね?
👔 サトシ
……まいったな。
部長、
これは「社会環境管理」の一環として、
ママの満足度(ウェルビーイング)を
最大化するしかなさそうですね。
🥸 又三
ハハハ!
しゃあないなぁ。
よし、サトシちゃん、
行こうやないか。
わての「財布のトレードオフ」は、
ママの笑顔のためにあるんやから!
【第6章:『詳細版』の解体新書——管理から経営への脱皮】
場所: 数日後の休日、午後15:00。
前回とは別の、
少し落ち着いた雰囲気のブックカフェ。
又三が、
愛用のタブレットと睨めっこしている。
🥸 又三
サトシちゃん、お待たせ!
今日は遅刻せんと来たで。
このカフェ、
本に囲まれててインテリな感じがして、
わてみたいな現場人間には
ちょっと背伸びしてる気分やわ。
👔 サトシ
フッ。
その「少し背伸びする感覚」こそが、
今の部長には必要なんです。
合格した瞬間の自分を一度リセットして、
令和7年度の視点でもう一度、
自分の魂(論文)を
見つめ直さなきゃなりませんから。
🥸 又三
……リセット、か。
サトシちゃんに言われて、
わてのあの「詳細版」を読み返してみたんや。
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