太平洋戦争・第二次世界大戦の基本について知る
「世界大戦」の記憶
ご存じのように、今年2025年は、太平洋戦争あるいは第二次世界大戦の終戦(1945)から80年にあたります。
最近は「日本とアメリカって戦争したことがあるんですか?」という若い人もいるそうです。終戦から長い時間が経てば、そういうことがあるのでしょう。
戦争を体験した世代や、その世代の身近で話を聞いた人たちがいなくなろうとしています。教科書に戦争のことが書かれていても、読まない生徒は大勢います。最近はテレビをみない人も増えている。
いずれ、かなりの人があの戦争、つまり太平洋戦争や第二次世界大戦があったこと自体を知らない世の中になるのではないでしょうか。
その先には、さらにおぞましいことが起きるのでは?
「世界大戦などなかった」と主張する者たちが、影響力を持つようになるのです。
彼らは言うでしょう――「何千万人もの死者が出るような大戦争なんてあり得ませんよ。あれは〇〇(←差別・攻撃の対象)がでっちあげたフェイクです!戦争のドキュメンタリー映像は、みんなCGです」。
私はふざけているのではなく、本当に心配しています。
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そこで私も、「やれることをやろう」と思って取り組んできました。それは「世界大戦についての入門的な読み物を書く」ということです。
私は、アマチュアの世界史愛好家の、売れない物書きで、世界史を概説した入門書(秋田総一郎『一気に流れがわかる世界史』PHP文庫、2024)を商業出版したこともあります。
私は私なりに、自分の得意なアプローチである「入門的な歴史知識を一般向けに読みやすくまとめる」ことを、世界大戦についてもささやかに行って、記事をnoteにアップしてきました。以下、それらの記事を紹介します。
ヨーロッパにおける第二次世界大戦
まず、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の経緯を、全7回でまとめた一連の記事(下記はそれらの記事をまとめたマガジンへのリンク)。
ヒトラーの登場、ナチス・ドイツによる近隣諸国の併合、ドイツのポーランド侵攻による第二次世界大戦の開始、ドイツによるフランス侵攻、ドイツとイギリスの戦い、第二次世界大戦の「主戦場」といえる独ソ戦の開始と展開、ホロコースト……
それらの基本的な経緯について、教科書的な知識をベースに、専門家による著書に基づいて解説を加え、初心者にも読みやすいかたちで述べた記事。
全7回で合計6万数千文字になる長文の記事ですが、本1冊(10~20万文字が一般的)を読むよりはかなりコンパクトです。この記事から、第二次世界大戦を扱ったより詳しい著書、映像作品などを理解するうえで有効な基礎知識が得られると自負しています。
また、日本人にとってヨーロッパの第二次世界大戦のことは、読書家で知識の豊富な方であっても、弱いところがかなりあると思います。その「弱い」部分を補うのに役立つはずです。
「昭和の戦争」と格差社会
そして、昭和における日本の戦争(日中戦争、太平洋戦争)についての記事。
昭和における日本の戦争は、大まかに①中国大陸での戦争(1931年の満州事変以降、1937年には日中戦争に発展)→②太平洋戦争(アメリカを主敵とする戦争、1941~)という段階を踏んで展開しています。
つぎの記事ではまず「なぜ、日本は中国大陸での戦争を始めたのか」について、当時の社会的背景について述べています。
この記事で述べていることを簡単にまとめれば、つぎのとおり、
・戦前昭和の日本はきびしい格差社会であり、貧困などの深刻な問題を多く抱えていたが、政治は無策だった。多くの人びとは「既存の社会システムの枠内で、貧困問題を解決することは無理」と考えるようになった。
・その状況のなか、問題の解決手段として「中国大陸での領土拡大(土地や資源を手に入れて国を豊かにする)」という選択肢が有力になり、一部の軍人たちによって最初に実行に移された(満州事変)。それを政治家も追認し、国民も概ね支持した。
以上について、専門家の著書をふまえながら解説した記事です。2万数千文字の長文ですが、初心者の方にもわかりやすく、丁寧に経緯や背景を説明したものだと自負しています。
太平洋戦争はどのようにして始まったか
また、つぎの一連の記事(全2回)では、「中国大陸での戦争を始めた日本が、どのような経緯で対米戦争(太平洋戦争、大東亜戦争)へと突き進んだか」についてまとめています。
なお、太平洋戦争(1941~45)は、第二次世界大戦の一部です。「アジア・太平洋地域における第二次世界大戦」と位置づけることができます。
上記の記事では、満州事変(1931)から日中戦争(1937~)への経緯、さらに日中戦争が泥沼化し、そのなかで日本と米英の関係が悪化して、日米開戦(1941)へと展開していく過程を述べています。
第1回は、満州事変から日中戦争の開始まで。第2回は、日中戦争の泥沼化から日米開戦まで。日米開戦の決定的局面についてとくに知りたい方は、第2回から読んでいただければ。
初心者向けの解説ですが、簡潔になりすぎず、経緯をしっかり述べようと努めています。そこで、全2回で3万文字余りの長文の記事となっています。しかし、巨大で複雑な歴史の動きを扱う以上、やはり極端に圧縮したものではあります。
偉そうな言い方になるかもしれませんが、「“知識のあるほうの人”として、あの戦争について何か語ろうとするなら、知っておいてよい基礎知識」を、コンパクトに述べているつもりです。
記事の内容は、専門家によるいくつかの一般的な概説書をもとに、その情報を編集・圧縮したものといえます。そして、そのような編集・圧縮は意味のあることだと思っています。AIにはできない、生き生きした要約になっているといいのですが。
もちろん、この先の出来事、つまり「太平洋戦争がどのように展開し、終戦・敗戦に至ったか」についての記事も必要ですが、これはまだ準備中で、今後の宿題とさせてください。
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あの戦争をどう呼ぶか
なお、太平洋戦争などの昭和の戦争については、「どう呼ぶか」の意見の対立があります。
太平洋戦争は、戦時中は「大東亜戦争」が政府による呼称でしたが、戦後はアメリカ側の呼称に基づく「太平洋戦争」が一般化しました。しかし、右派や保守(国の伝統や権威を重んじる立場)の人たちはこの名称を嫌って、今も「大東亜戦争」と言うことがあります。あるいは「先の戦争」「日米戦争」と言ったりもする。
一方、「この戦争の被害・影響を受けたアジアを意識すべき」と考え、「アジア・太平洋戦争」と呼ぶ研究者もいます。
また、満州事変(1931~)・日中戦争(1937~)・太平洋戦争(1941~45)の連続性を重視し、まとめて「十五年戦争」と呼ぶ研究者もいますが、右派・保守の人びとは(理由はここでは立ち入りませんが)批判的です。
戦争の名称という「基本の基本」でも、いろいろ対立があるのです。めんどうで、ややこしいことです。でも、その対立をのりこえて、どうにか一致点を見出さないといけないでしょう。
*サムネイルの画像は、『昭和二年版 日本國勢圖會』(1983年復刻版) 所収の世界地図。赤い部分(日本列島、台湾、南樺太、朝鮮半島など)が昭和初期の「大日本帝国」ということです。
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