【装備録】予算別・サバゲー装備構築ロードマップ
導入:何の装備から揃えれば良いか悩む方へ
前回の記事では、サバゲーで「何を着ればいいか悩む方」を対象に、ファッションの基本ルール(図と地の分化など)に基づき、誰でも失敗せず「客観的に見て美しいサバゲー装備を構築する方法」を解説した。
本稿では、その理論を応用した「予算別・装備構築ロードマップ」について解説する。
サバゲーにおける装備スタイルは大別して、以下の5つに分類される。

フィールド環境や気候への適応、趣味嗜好の変化に合わせてスタイルを柔軟に変更するため、「装備の拡張性」と「色彩の互換性」を軸に、「何の装備から揃えれば良いか」という初心者が抱く疑問に対する1つの解決策を提示したい。
1. 装備機能における階層
特殊部隊や法執行機関では、任務の性質や作戦期間、使用火器に応じて装備を組み替える。その基礎となるのが、装備全体を機能別に3つの階層(ライン)に分割する「ロードベアリング(荷重分散)装備」の概念である。

サバゲーは1ゲーム10〜15分程度の短期決戦であるため、3rdラインはオーバースペックとなる。したがって、装備構築において優先すべきは「1stライン」と「2ndライン」である。
この階層構造を意識することが、無駄のない装備構築の第一歩となる。
2. 装備品質における階層
装備品を購入する際、価格帯や品質によって以下の3つの層(ティア)が存在することを理解しておきたい。このティアを把握しておけば、「とりあえず安く済ませるか」「長く使える互換性を取るか」の判断がしやすくなる。

各ティアの代表的なブランドは以下の通りだ。後述するロードマップの「価格目安※」を見る際の参考にしてほしい。
※詳細は後述する「付録」を参照のこと
a.Tier 1:実物 / Mil-Spec(本物・軍警察採用)
特徴: 実際の軍・法執行機関で採用される本物。資産性が高く、中古市場でも値崩れしにくい(定価の40〜60%で取引されるケースも)。
代表ブランド: Crye Precision、Safariland、Ferro Concepts、Haley Strategic、ESS、Oakley SI(アイウェア)など。
b.Tier 2:高品質レプリカ(実物生地・実物規格互換)
特徴: 実物Cordura生地などを使用し、寸法も実物に忠実。他のパーツとの互換性が極めて高く、サバゲーユースにおける最適解と言える。
代表ブランド: PEW Tactical、TWINFALCONS、Evolution Gear、FFI、FMA(ヘルメットやライト等のハードパーツ定番)など。
c.Tier 3:一般レプリカ(コスパ・普及帯)
特徴: Amazon等で入手しやすいエントリーモデル。独自規格が混ざることもあるが、価格が安く最初の装備として導入しやすい。
代表ブランド: EmersonGear、TMC、TAILOR JAPAN、OneTigris、Amomax(樹脂ホルスター)など。
3. 予算別・装備構築ロードマップ
ここからは、初心者がどのような順序で装備を拡張していけば良いかを段階的に解説する。各スタイルの「価格目安」は、前述の【一般 / 高品質 / 実物】の3ティアに対応している。
大前提として、各スタイル間に優劣はない。
自身が求めるスタイルに応じて、どこまで何を揃えるかを選択すれば良い。最初から軍装を目指すなら、以下の流れをそのまま迷彩服ベースで行えば良い。しかし、ウェア以外のギア(装備品)を「黒」を主軸にして揃えていくと、a〜dまでのどのスタイルにも流用できるため経済的だ。
a. UAB(エアソフト競技):1stラインの基本
エアソフトガンを用いた競技スポーツスタイル。軽さや動きやすさを最優先した、最低限の装備。

■ スタイル総額目安
一般レプリカ: 約 1.5万円
高品質レプリカ: 約 3.5万円
実物装備: 約 8.5万円
服装: 動きやすい服なら何でも可。被弾時の怪我防止として長袖長ズボン(顔周りを保護できるパーカー等)を推奨。カーゴパンツはポケットが多くて大きいため、ポーチ類の代替にもなる。UABのスポーティさを追求するなら、アンダーアーマー等の速乾性インナー、レギンス+ショートパンツなどのスポーツウェアがオススメ。
■ 装備調達リスト(優先度順)
①アイプロテクション(フルフェイスマスク or ゴーグル&メガネ)
仕様: 失明リスクを防ぐため、安全規格をクリアしたものを強く推奨。
価格目安: 【一般】¥3,000 / 【高品質】¥10,000 / 【実物】¥20,000〜
②モジュラーベルト
仕様: インナー/アウターの2層構造。以降の拡張を見据えて色は「黒」を推奨。
価格目安: 【一般】¥3,500 / 【高品質】¥8,000 / 【実物】¥25,000〜
③ホルスター
仕様: 安全な樹脂製。
価格目安: 【一般】¥2,500 / 【高品質】¥6,000 / 【実物】¥18,000〜
④マガジンポーチ類
仕様: ピストル用×2、ライフル用×1程度。
価格目安: 【一般】¥3,000 / 【高品質】¥7,000 / 【実物】¥15,000〜
⑤ダンプポーチ
仕様: 空マガジン回収用。折りたたみ式が便利。
価格目安: 【一般】¥1,500 / 【高品質】¥3,500 / 【実物】¥8,000〜
b. シューター(射撃競技・訓練):2ndラインの起点
射撃競技の選手や実銃訓練のインストラクターを模したスタイル。1stラインに加え、胸部に軽いチェストリグを装備する。
後述するPMCと似ているが、こちらは「実戦」を想定していないため、止血帯や無線機などの「世界観を構築するアイテム」が不要であり、よりミニマルにまとまる。

■ スタイル総額目安(1stライン+追加分)
一般レプリカ: 約 2.5万円
高品質レプリカ: 約 6万円
実物装備: 約 14万円
服装: UAB同様のスポーツ・アウトドアウェア。胸回りにチェストリグの厚みが出るだけで、一気にシューターらしさが増す。
■ 装備調達リスト(追加分・優先度順)
① チェストリグ(2ndラインの起点)
仕様: 軽量で動きやすいだけでなく、将来的にハーネスを外し、プレートキャリアの前面パネル(プラカード)として直接ドッキングできる規格の製品がよい。色は「黒」を推奨。
価格目安: 【一般】¥5,600 / 【高品質】¥12,800 / 【実物】¥32,000〜
② タクティカルキャップ
仕様: ベルクロ(マジックテープ)付きの無地で天ボタンのないキャップ。アイウェアやヘッドセットとの相性が良い。
価格目安: 【一般】¥1,600 / 【高品質】¥3,200 / 【実物】¥6,400〜
③ イヤーマフ(聴覚保護具)
仕様: 電子防音機能付き(周囲の音を拾いつつ破裂音をカットする機能)が望ましい。
価格目安: 【一般】¥3,200 / 【高品質】¥8,000 / 【実物】¥16,000〜
補足: 「PMCスタイル」を目指す場合、イヤーマフではなく、通信機能を持つ「ヘッドセット」を購入する方が、実用性・コスト面の両方で推奨する。
c. PMC(民間軍事会社):1st&2ndラインの充実
シュータースタイルから一歩踏み込み、「実戦想定」の説得力を持たせるスタイル。
ここから「世界観」を演出する小物が重要になる。チェストリグの隙間にターニケット(止血帯)レプリカを配置し、ダミーラジオやPTTスイッチを配線することで、装備の密度とプロフェッショナル感が劇的に向上する。

■ スタイル総額目安(シューター装備+追加分)
一般レプリカ: 約 3.5万円
高品質レプリカ: 約 8万円
実物装備: 約 19万円
服装: 無地の私服(ポロシャツやタクティカルパンツ等)。
■ 装備調達リスト(追加分・優先度順)
① ドロップポーチ / ユーティリティポーチ
仕様: チェストリグの下部に吊るすポーチ。スマホや車の鍵など貴重品入れとして実用性が高い。
価格目安: 【一般】¥1,920 / 【高品質】¥4,000 / 【実物】¥10,400〜
② メディックポーチ(IFAK)
仕様: 装備のボリューム感を出すための重要アイテム。医療十字のパッチを貼ると雰囲気が出る。
価格目安: 【一般】¥1,920 / 【高品質】¥4,000 / 【実物】¥12,000〜
③ 小型無線機 + PTT + ヘッドセット
仕様: チーム連携を強化し、プロフェッショナル感を高める通信機器セット。
価格目安: 【一般】¥4,000 / 【高品質】¥8,000 / 【実物】¥24,000〜
④ ターニケット(止血帯)
仕様: チェストリグの隙間やショルダーバンドにゴム紐で固定するだけで実戦感が増す。
価格目安: 【一般】¥1,600 / 【高品質】¥2,880 / 【実物】¥7,200〜
d. LE(法執行機関):さらなる充実とアーマー化
「黒」で揃えてきた1st・2ndラインの集大成。スリック(軽量)タイプのプレートキャリアにPMCスタイルで使っていたチェストリグを合体させる。
仕上げにPOLICE/SHERIFF等の大型パッチ、ハンドカフ(手錠)などを追加し、世界観を完成させる。

■ スタイル総額目安(PMC装備+追加分)
一般レプリカ: 約 5万円
高品質レプリカ: 約 11万円
実物装備: 約 26万円
■ 装備調達リスト(追加分・優先度順)
① LE仕様のコンバットシャツ / ポロシャツ
仕様: ここまでの私服流用から切り替え、ネイビーやブラックで統一されたタクティカルウェアを用意する。これがLE特有の「統率美」の土台となる。
価格目安: 【一般】¥3,200 / 【高品質】¥7,200 / 【実物】¥24,000〜
② プレートキャリア
仕様: PMCスタイルで使っていたチェストリグを前面に合体(プラカード化)させるためのスリック(軽量)タイプ。
価格目安: 【一般】¥7,200 / 【高品質】¥15,200 / 【実物】¥38,400〜
③ LE大型前後パッチ
仕様: 胸と背中に貼る「POLICE」「SHERIFF」等の識別パッチ。
価格目安: 【一般】¥1,600 / 【高品質】¥2,880 / 【実物】¥5,600〜
④ ダミー手錠(ハンドカフ) + 専用ポーチ
仕様: ベルト周りの説得力を一気に法執行機関寄りにする最重要アイテム。
価格目安: 【一般】¥1,920 / 【高品質】¥3,520 / 【実物】¥8,000〜
⑤ LE用ハンドマイク(スピーカーマイク)
仕様: プレキャリの肩部分にクリップで留め、無線機と繋ぐマイク。
価格目安: 【一般】¥2,400 / 【高品質】¥4,800 / 【実物】¥19,200〜
4. 軍装(特殊部隊等):泥沼とロマンの極地
ここまで解説した合理的なルートとは打って変わり、特定の部隊や年代、機能に応じて環境に合わせた迷彩と実物装備を徹底再現するのが「軍装」である。
しかし、ここは文字通りの「沼」だ。
まず、実物の現行装備には法的・物理的な壁が存在する。例えば、本物の軍用無線機(PRC-152など)は日本の電波法で許可されていない周波数帯を使用するため、国内で使用すれば電波法違反となる。また、実物の防弾プレートやナイトビジョン等も、輸出規制(ITAR等)により一般人の入手は事実上不可能に近い。
逆に第二次世界大戦〜冷戦期のヴィンテージ品となると、「経年劣化」「ファッションアイテム化による価格高騰」「現代人とのサイズ規格のギャップ」という三重苦が待ち受けている。
さらに、レプリカで統一しようとしても、コンバットスーツやプレートキャリアの色味は生産ロットやメーカーごとに微妙に異なる。
全身の色味と時代考証をピタリと合わせる統一感のあるスタイル構築はまさにイバラの道である。しかし、だからこそ多くのサバゲーマーがその深みに挑みたくなるのだ。

■スタイル総額目安(一から買い直す場合の概算)
一般レプリカ一式: 約 4万円〜
高品質レプリカ一式: 約 10万円〜
実物ベース一式: 約 45万円〜 (※実物ベースの総額は、入手困難・違法となる通信機器やNVG等を「高品質レプリカ」で代替して算出)
■ 装備調達リスト(優先度順)
① 迷彩コンバットシャツ & パンツ上下
仕様: マルチカムやウッドランド等、環境や部隊に合わせた迷彩服。
価格目安: 【一般】¥7,200 / 【高品質】¥19,200 / 【実物】¥72,000〜
② プレートキャリア & ポーチ類一式
仕様: レンジャーグリーン(RG)やコヨーテブラウン(CB)等で統一した重装備。
価格目安: 【一般】¥11,200 / 【高品質】¥25,600 / 【実物】¥88,000〜(※注:実物の防弾プレート等は輸出規制により一般人の入手が極めて困難。ダミープレートの使用を推奨)
③ タクティカルヘルメット & 通信機器一式
仕様: ヘルメット本体に加え、レールにマウントする「ヘッドセット」、装備の要となる「PTTスイッチ」、国内の電波法に適合した「特定小電力トランシーバー」、そして外観をリアルに保つ「ダミー無線機カバー」のセット。
価格目安: 【一般】¥8,000 / 【高品質】¥20,000 / 【実物】¥240,000〜 (※注:本物の軍用無線機は電波法違反となる恐れがあるため、必ず特小トランシーバー+ダミーケースを使用すること)
④ ナイトビジョン(NVG) + マウント
仕様: ヘルメット前面に装着する暗視装置のレプリカ。頭部のシルエットを決定づける。
価格目安: 【一般】¥5,600 / 【高品質】¥12,800 / 【実物】数百万円〜 (※注:実物の最新世代NVGは軍事機密および輸出規制の対象となる場合が多く、日本国内での入手は極めて困難)
⑤ アクセサリー一式
仕様: IRストロボ、サイリューム(ケミカルライト)、止血帯、ダミーラジオ等の小物類。
価格目安: 【一般】¥2,400 / 【高品質】¥5,600 / 【実物】¥16,000〜
5. 結び
ベテランのような視点でロードマップを語ってきたが、私自身も「PMCからLEへの移行期」にある道半ばの身だ。フランスの対テロ特殊部隊「GIGN」を目指して装備を拡充する一方、フランス軍ヴィンテージアイテム(M-47等)も少しずつ集めるという寄り道も楽しんでいる。
肝心のフランス製の銃(MAS49-56やFR-F2等)の調達問題から目を逸らし続けていたが、最近はVSR-10をベースに自作できないかと、目に見える泥沼に足を踏み入れようとしている。
そもそも、私の現在のスタイルはどう見ても「アメリカ系の民間シューターかPMC」なのでロードマップに沿っているとは言い難い。しかし、効率や合理性ばかりではない、自分の「好き」を追求する寄り道も最高に楽しいのだ。
本稿は、「サバゲーには興味があるけれど、ミリタリー知識のバックボーンがない」という当時の私が「こんなガイドがあったらいいな」と思うものを目指して執筆した。皆さんの装備選びの1つの指針となれば幸いである。
6.次回予告:最初の一丁、どう選ぶ?
これまでは「服や装備」を中心に解説してきたが、次回はサバゲーの主役である「銃」について解説する。
性能検証はYouTubeなどでのレビューに譲り、本ブログでは「スタイリングと実用性のバランス」に焦点を当てる。
「最初の一丁として、何の長物を買えば良いか」という悩みに答えるべく、今回と同様に予算別の実践的なガイドをお届けする予定だ。
【ハイエンド】 10万円〜
【ミドル】 5〜10万円
【エントリー】 5万円以下
【付録:価格目安の算定根拠について】
本記事内で提示した装備の「価格目安」は、読者の皆様が実際に調達する際のリアリティを持たせるため、以下の基準で独自に算定したものとなる。
調査時期: 2026年8月現在
算定レート: 1 USD = 約160円
参照元データ:
Amazon(日本)における実売最安値帯
国内大手ミリタリーショップ直営ECサイトの販売価格
海外大手タクティカルギアメーカーの公式直販価格(実物装備の場合)
セール状況や為替変動、メーカーの仕様変更により、実際の価格とは異なる場合がある。あくまで予算感を掴むための「目安」であることに留意いただきたい。
なお、参照根拠の詳細データは以下のとおりである。
