三井住友信託銀行ダイナースクラブカード
記事の更新が約1ヶ月ぶりとなってしまうが、前回のイオン銀行イオンカードセレクト、前々回の三井住友銀行 SMBC JCB CARD ゴールドに引き続き再び銀行の提携クレジットカードを紹介する。
三井住友信託銀行がダイナースクラブと提携して発行する「三井住友信託銀行ダイナースクラブカード」で、提携ではないダイナースクラブのプロパー発行である「ダイナースクラブカード」とほとんど同じものでありながら、一部、独自の優遇が受けられるクレジットカードになる。

今回のカードは国際ブランドとランクで区分すると、Diners Club の平カード枠。
三井住友信託銀行は三井住友トラストグループの中核となる信託銀行で、日本国内でダイナースクラブカードを独占的に発行している三井住友トラストクラブと資本関係的には兄弟会社という位置づけになるが、実質的には親会社になる。

そして国際ブランドと発行元のマトリックスだと、銀行系の Diners Club カードになる。

本カードの国際ブランドである Diners Club は競合他社の国際ブランドと比較して、門戸を狭くすることで自社のサービスを会員制の「クラブ」のようにブランディングすることで生き残ってきた歴史がある。
発祥元である米国では個人向けの発行 (リテール業務) は行っておらず、もっぱら他国で発行するイシュア向けのライセンスビジネスに特化している。正確な数字は公開されていないが、もしかすると日本の会員が世界で最も多いかもしれない。
Diners Club のブランドは同業の DISCOVERY に買収されたが、DISCOVERY もすでに国際ブランドとしての機能は失われつつあり、2025年1月現在、DISCOVERY 自身がプロパー発行するクレジットカードは国際ブランドとして Mastercard を使用している。
日本でもかつては自社で加盟店開拓も行っていたが、現在は同業の JCB と加盟店を相互開放しているため会員からみれば JCB で決済できるお店であれば使えるという感覚で持つことができる。

本国の米国ではすでに消えてしまったブランドだが日本で生き残ったのは、JCB という盟友に依るところが大きい。
そんな Diners Club は「会員を厳選する」という、他社とは違ったアプローチで営業している。入会申込みがあっても基準に満たない人は審査で遠慮なく切り捨てていくスタイルのため、「他社のプラチナカードは何枚も持っているのに Diners Club だけは審査で否決になる」ということが珍しくない。紹介のない者が突撃で入会申込をしても、通過率は 2割程度という噂もある。(この手の話題は否決になった人が口に出さないため真意は不明)
Diners Club の審査落ちというのはクレジットカード界隈で定番のネタの一つであり、それが逆に「手に入れにくいクレジットカード」というブランドを確立しているのも事実であり Diners Club がステータスカードと呼ばれる理由でもある。
プロパー発行のカードは平カードでも年会費が 24,200円(税込み) と他社ゴールドカードより遥かに高額で、一部の格安系プラチナカードすら上回るため 「Diners Club はプラチナカード相当のクレジットカードである」 と言われることもあるがスペック的にはそこまで特別な優待などがあるわけではないのでゴールドカード相当が妥当と思われる。
フルスペックのプラチナカードといえば 24時間つながるコンシェルジュ・デスクとプライオリティ・パスの付属が定番の優待と言えるが、Diners Club の平カードにはコンシェルジュデスクは付いておらず、プライオリティ・パスも海外利用年間10回までという制限付きのものが付帯する。なお国内空港ラウンジ、国内飲食店スパ利用については回数制限はない。
2025年9月22日追記:
サービス内容に改定があり、2025年4月1日からダイナースクラブに付帯するプライオリティパスを使っての国内飲食店スパ利用は対象外となった。プレミアムカードも同様。海外についてはこれまで通り。
追記終わり
そのあたりのスペックからも、年間11,000円の年会費に加えて年間11,000円程度のプライオリティ・パス発行手数料を請求する他社ゴールドカードと似たような位置づけと考えられる。

そんな入手が難しいとされる Diners Club にも提携カードというのが存在し、今回紹介する 「三井住友信託銀行ダイナースクラブカード」 もその一種になる。
このような提携カードの場合は、最終的な入会審査は Diners Club 側でも行うものの、事前に提携社による予備審査があり、その基準は Diners Club より甘くなっていると思われる (提携社は会員を獲得することで売上、成績になるため) ので、どうしても Diners Club の審査に通らないということであれば提携カードに申し込んで実績を積むという抜け道もある。
特に 「ANAダイナースカード」 であれば 「ANAマイルを貯めるため」 という実利的な目的がハッキリしているため、一般的なゴールドカード程度の与信があれば入会できると思われる。「ANAダイナースカード」 で半年程度の決済の実績を積めばプロパー発行のカードへ切り替えたり、追加発行できる可能性が高くなる。
「三井住友信託銀行ダイナースクラブカード」 の場合はどちらかといえば逆向きのサービスで 「三井住友信託銀行の顧客」 向けに Diners Club を使ってもらいたい、という形で勧誘しているクレジットカードになる。
信託銀行は市井のいわゆる普通銀行と違い、日常生活での少額の入出金のためではなく、「資産」と呼ぶような金額を扱うことに特化した形態の銀行である。普通預金口座も開設できるので日常生活で使うことも不可能ではないが、営業時間内に自行ATM を使う場合ですら手数料が発生するためあまり現実的ではない。(もちろん「資産」を預けているような顧客の場合は、その預け入れた金融商品の残高によりこれらの手数料は優遇される)
つまり「三井住友信託銀行の顧客」はある程度の「資産」を持っているいわゆる富裕層、準富裕層であるため、こうした人たちに決済手段として使ってもらいたい、という思惑で提携しているものと考えられる。
逆に言えば「資産」を「三井住友信託銀行」に預けることに抵抗がなければ「Diners Club に入会するに値する」と評価され、無事、審査に通ることになる。(もちろん三井住友信託銀行が審査を通してもダイナースクラブ側でなんらかの理由により否決とすることも可能性としてありうる)

プロパー発行の Diners Club と比較するとカード券面は右上に銀行のロゴが入るだけであとは同じ。
優待などのサービスもプロパー発行のものと差異はほとんどない。
一方で提携カードのみの優遇がいくつかあり、まず年会費がプロパー発行のものは利用実績などにかかわらず 24,200円(税込み) となっているが提携カードの場合は年間50万円 (初年度は入会から 3ヶ月以内に 20万円) を決済すると、年会費が 13,200円(税込み) に割引となる。
また家族カードの年会費もプロパー発行のものは 1枚あたり 5,500円(税込み) が必要になるが、提携カードは無料となる。
家族カードでも各種保険やプライオリティ・パスなどの優待は同様に受けられるので無料であれば発行しない手はない。

付与されるポイントの使い道として換算レートなどを考えると ANAマイルへの移行が最適であることに変わりないものの、提携カードの場合は三井住友信託銀行での投資信託などの購入代金のキャッシュバックに充てることができる。またギフトカードへの交換でも若干だが換算レートがよくなる。
平カードではあるものの限度額はそれなりに高いところで設定されている。なお会員には知らされないため高額な決済を行う際は事前にデスクに確認する必要がある。
いぜん、百貨店で開催された腕時計フェアを見に行く際、もしかしたら衝動買いすることがあるかもと思って念のために確認したことがあるが「500万円程度の腕時計を決済してもいいか」と聞いたところ「それくらいであれば都度確認する必要すらない」という回答だった。結局、腕時計は別のクレジットカードを使ったので Diners Club は使わなかった。その後、楽器店でレア物のエレキギターを事前連絡無しに決済したが何事もなく決済できた。
2024年9月26日、口座のある三井住友信託銀行の支店の担当者に手配してもらい、店頭で入会申込。

約3週間後、2024年10月15日に簡易書留で到着。
その日のうちにコンビニで非接触決済、その他ウェブで少額の決済を行う。

Diners Club が毎月15日締め、翌10日口座引落となる。これは JCB と同じだが、JCB の場合は決済日が 15日までであればその月の 20日くらいまでに届いた伝票は締め日の扱いで処理される。それに対し、Diners Club は 15日で伝票を締めてしまうため 16日以降に届いた伝票分については翌月の請求に回される。

届いた日に決済したうちの、コンビニで使った 353円だけで締められてしまい、初月の引き落としは 353円だけになってしまった。

確定した請求。ファミマでコーヒーとお茶を買った分だけ。
初回の引き落としがあってから数日たったある日、三井住友トラストクラブの営業担当者から電話がかかってきた。
「◯◯さま、実はこの度、ご入会いただいたカードよりさらに上位のカードがご用意できるのでご興味があるかと思って連絡差し上げました」
具体的にはダイナースクラブ プレミアムカード、その中でも提携カードである 「ANAダイナース プレミアムカード」 のインビテーションだった。
ダイナースクラブ プレミアムカードはいわゆるブラックカードと呼ばれる券種で年会費は 143,000円(税込み)。招待制なので自ら申し込むことはできない。
ANAダイナース プレミアムカードは、このブラックカードの ANA提携版で、こちらは年会費がさらに 27,500円高い、170,500円(税込み)。こちらも招待制。これらの招待制カードを申し込むことができるということだった。そして、できれば ANAダイナースの方を申し込んで欲しい、ということだった。
実はカードが手元に届いたときに、手続きを手配してくれた三井住友信託銀行の担当者にお礼を兼ねて 500万円分の投資信託を購入していた。ふだんであれば基本的にノーロード (購入手数料が無料) の商品しか買わないが、このときは担当者の成績になるように手数料が高い (約定金額の 3.3%) 銘柄を買っていた。もしかしたら担当者から情報が共有されているのかもしれない。
せっかくお誘い頂いたもののプレミアムカードの特典で活かせるものがあまり無いのでインビテーションはその場でお断りした。

世の中には Diners Club には入会しているがなかなかプレミアムカードのインビテーションがもらえない、という方も居るだろう。
実は Diners Club のインビテーションがもらえる定番のパスがある。一休.com という宿泊予約サイトがある。こちら、決まった期間 (6ヶ月) に 30万円分の宿泊予約を行うとダイヤモンドステージというランク会員になる。

ダイヤモンドステージだとすべての宿で 5%以上の割引が受けられるなどの優待がある。
ダイヤモンド会員になって宿泊予約をする際に、現地決済を選択するとかなりの確率で「ダイヤモンド会員さまへ特別なご案内」と書かれたバナーが表示される。(表示されないこともあるが、その場合は予約をキャンセルして取り直せば次は表示されたりする)

内容はプロパー発行の 「ダイナースクラブ プレミアムカード」 と、

「ANAダイナース プレミアムカード」 のインビテーション。
ただし個人の属性を加味したものではなく、あくまで「一休.com のダイヤモンド会員」向けに勧誘しているものなので審査した上で否決となる可能性はある。
特にプロパー発行のものについては平カード以上に審査が厳しいと思われるので、審査が不安、確実にプレミアムカードが欲しい、という場合は年会費は高くなるが提携カードである ANAダイナース プレミアムカード へ申し込んだほうが審査に通りやすいと思われる。
以前は券種の変更はできずに切り替えたければ新規申し込み、審査が必要だったという話も聞くが現在は券種の変更が可能なので、ANAダイナース プレミアムカードに入会後、半年ほど利用したあとに ANAカード特有の優待が不要であると思えば年会費の安い ダイナースクラブ プレミアムカード に切り替えればよい。
余談だが三井住友トラストクラブの実質的な親会社である三井住友信託銀行は「三井住友」という名前が付いているが、三井住友銀行や三井住友カードの三井住友フィナンシャルグループとは資本関係のない、別の金融グループである。中央三井信託銀行と住友信託銀行の合併によってうまれた。もととなった中央三井信託銀行の源流をたどれば東海銀行が設立した中央信託銀行であり、東海銀行は現在の三菱UFJ銀行なのでこれまた別の金融グループの資本関係となる。
さらなる余談だが三井住友トラストグループには別のクレジットカード会社、三井住友トラスト・カードがある。こちらは VJA のフランチャイズなので三井住友カードと取引のある会社と言える。
Diners Club を運営する三井住友トラストクラブとは兄弟会社という間柄になるが、かたや VJA のフランチャイズ、かたや国際ブランドの運営ということで事業規模が何倍も違うためいまのところ統合などは行わないようでグループ内でそれぞれ独立して運営している。
ただし、どちらの会社も VJA のフランチャイズを行っているため、グループ内で VISA のクレジットカードを発行する会社が 2社あるというややこしい状態になっている。
三井住友トラストクラブはもともとシティバンク系列のカード会社だったシティカード・ジャパンを親会社のシティバンクが日本から撤退する際に三井住友信託銀行が買い取ったからだ。なおシティバンクの事業は三井住友フィナンシャルグループが買収、PRESITA SMBC信託銀行になった。SMBC信託銀行も VJA のフランチャイズで VISA のクレジットカードを発行している。
2025年9月22日追記:
2025年10月1日に、三井住友トラストクラブと三井住友トラスト・カードは合併、新・三井住友トラストクラブに再編される。
追記終わり。
閑話休題。Diners Club については前述の通り、稀少性をブランドとしているため特典などを目的として入会するカードではない。そういう意味では決済額がそこまで多くない、30代くらいのビジネスパーソンには非常におすすめしたいカードと言える。特典に釣られて入会した、とかたまたま持っていた、ということはありえないカードなので Diners Club を使っているということは見る人がみればそっち方面にアンテナを張っているということがわかる。
これが 20代だと少し稼ぎが多いくらいでは入会は難しいだろう。医師、弁護士などの資格がある、金融資産を持っているなど、条件があえば入会できるかもしれない。
30代で役職も付くようになってきたとき、取引先や部下の前でクレジットカードを切るタイミングも増えてくるだろう。こういうとき Diners Club を使っていることで (特に年配の方にはウケが良い)、ビジネスでプラスになることも期待できる。
