現場責任者の問い|第3回|回避は悪ではなく防衛
※この記事は「現場責任者の問い」第3回です。シリーズの最初はこちら|第1回|責任が貼り付く瞬間
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現場で何かを頼まれたとき、
最初に声をかけるのは、たいてい上司だ。
「ここ、どう判断する?」
「一度、見てもらえる?」
その言葉を受け取った瞬間、相手は一度、間を置く。
「それは……今回は、判断は上でお願いします」
そう答えたあと、周囲の視線が一斉に集まる。
誰も何も言わない。
でも、その沈黙が、その場の評価を作る。
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この現場では、判断を避ける行為は、「主体性がない」と見なされやすい。
そう評価するのは、発言権を持つ上司だけではない。
同席しているメンバー全員が、その空気を共有する。
回避した本人は、何も考えていないわけではない。
判断材料が足りないこと。
決裁権がないこと。
失敗した場合、誰がどこまで引き取るのかが決まっていないこと。
それらを、過去の経験から知っている。
以前、同じような場面で判断した人が、後から評価の場に呼ばれ、説明を求められ、名前だけが残ったことも見ている。
だから、体が先に反応する。
「ここで判断すると、戻れない」
その判断が、言葉になる前に、回避として表に出る。
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回避が示された瞬間、場は止まらない。
上司が、次の言葉を出す。
「じゃあ、○○さんが見てくれる?」
この発話によって、役割は再配置される。
否定しなかった周囲は、この再配置を承認したことになる。
○○さん自身も、明確に断る権限を持っていない。
こうして、回避は防衛として機能し、同時に、別の誰かを前に出す装置として機能する。
回避した人は守られる。
呼ばれた人は配置される。
この差は、性格の差ではない。構造の差だ。
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判断すれば、責任は名前に紐づく。
引き受ければ、範囲は後から拡張される。
その条件が変わらない限り、回避は繰り返される。
やがて、回避しない人だけが固定される。
「いつも前に出る人」
「判断できる人」
「頼られる人」
そう呼ばれる人ほど、引き受ける範囲は広がり、戻れなくなる。
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回避は、その構造を知っている人ほど選びやすい。
だからこれは、弱さの話ではない。
判断と責任の設計に対して、現場が取っている、ごく自然な防衛反応だ。
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予告
回避は、人を守るための防衛反応だった。
では、その防衛すら機能しなくなる現場で人が壊れる条件は何か。
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次回
現場責任者の問い|第4回|壊れる条件3点セット
前回
現場責任者の問い|第2回|暗黙の移譲
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▼思考の分岐点シリーズ一覧
この順番で読むと理解しやすくなっています。(思考の進行順)
①思考の分岐点(ステップ1|選択)
②現場責任者の問い(ステップ2|責任)
③分岐点の問い(ステップ3|体験)
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