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インテルCEOリップ・ブー・タン氏、就任14ヶ月で株主価値6倍 ― トランプ大統領からの辞任要請を覆した経緯を語る

ポッドキャスト「No Priors」にインテルCEOのリップ・ブー・タン氏が出演し、就任からこれまでの経緯と、今後の戦略について語った。タン氏は半導体EDA企業ケイデンス・デザイン・システムズを13年間率いた後、66歳でインテルCEOという業界最難関のポジションに就いた人物だ。


1. 「辞任要請」から数日で逆転 ― トランプ大統領との直接対話


就任後最も驚いた出来事として、タン氏は、トランプ大統領から辞任を求められた一件を挙げている。

「ある朝、トランプ大統領から利益相反を理由に辞任を求められた。例外は認められないと言われた」

タン氏は、まず自分自身を納得させ、「このポジションが必要なわけではなく、純粋にインテルを救うためにやっている」という個人的な思いを整理した上で、後日設けられた面談に臨んだという。面談では、マレーシア生まれ・シンガポール育ち・MIT進学・米国在住という自身の経歴を説明する機会を得て、最終的にトランプ氏はその説明を受け入れ、続投が認められたとしている。

2. 就任14ヶ月、米政府を大株主に迎えた財務戦略


タン氏は、就任後まず、傷んでいた財務基盤の強化に着手したという。象徴的な動きが、米国政府がインテルの大株主になったことだ。タン氏は、これをトランプ氏への説明の中で、TSMC創業時に台湾政府が株主だった例や、日本・シンガポールにおける同様のインフラ支援と並べて位置づけている。

2-1. ジェンスン・フアング氏の50億ドル出資という「友情」

財務基盤強化において、もう一つの大きな出来事がエヌビディアCEOジェンスン・フアング氏による出資だ。

「旧友のジェンスンが50億ドルを投資し、支えてくれたことを本当にうれしく思う。その50億ドルは今では250億ドル以上の価値になっている」

加えて、タン氏が以前取締役を務めていたソフトバンクの孫正義氏からも支援を受けたとしている。これらの資金調達を経て、製品ラインの簡素化と次世代製品の開発に経営の重心を移したという。

3. CPU需要を押し上げる「エージェント型AI」という追い風


タン氏は、AI需要の構造変化がインテルのCPU事業にとって追い風になっていると説明する。これまで学習用途では、「CPU対GPUの比率が1対8程度」だったが、エージェント型AIの普及により、推論やエージェントの統合処理においてCPUの重要性が再評価され、その比率は、「1対4程度」まで近づいているという。AI開発者からも、強化学習やエージェントのオーケストレーション速度の観点でCPUの優位性を指摘されているとしている。

4. ファウンドリ事業とイーロン・マスク氏との「TeraFab」構想


もう一つの大きな取り組みが、ファウンドリ(半導体受託製造)事業の強化と、テスラ創業者イーロン・マスク氏との協業「TeraFab」だ。タン氏はマスク氏について次のように評している。

「半導体インフラがAIの成長に追いついていないという課題認識を、彼と共有している」

マスク氏は、自社ロケットや車載半導体のため独自工場の構築を検討しており、インテルはその技術・プロセスを活用した協業を進めているという。タン氏はマスク氏を「型にはまらない人物」と表現し、従来の業界慣行に対して率直に疑問を投げかけてくる姿勢を歓迎しているとした。

製造プロセスの面では、現行の最先端ノードである「14A(約1.4ナノメートル)」に続き、1ナノメートル、0.7ナノメートル世代の計画も既に進行しているとしている。

5. 新素材・新パッケージング技術への投資


微細化が物理的な限界に近づく中、タン氏は、新素材と先進パッケージング技術への投資を進めている。窒化ガリウム、シリコンカーバイド、インジウムリン化合物といった新素材分野にはすでに投資済みだという。パッケージングについては、放熱性に優れるガラス基板技術を持つ「3DGS」、人工ダイヤモンドを扱う「Diamond Foundry」への投資に加え、インド政府および米ニューメキシコ州での製造プログラムも発表されている。

6. Cadence時代の実績とIntelでの「10倍」目標


タン氏は、自身の過去の実績にも言及した。ケイデンスのCEO在任時、株価は就任時の2.42ドルから退任時までに約76倍、その後の執行会長時代を含めると約85倍の株主価値を生んだという。インテルではこの14ヶ月で株主価値が6倍になったとしつつ、ベース規模がケイデンス時代より大きいことから、今後5〜10年で「10倍」の株主価値創出を目標に据えているとしている。

半導体投資においては、150件超のIPOと120件超のM&Aという投資実績を踏まえ、ボトルネックとなっている技術領域(相互接続、光学技術、パワーマネジメントなど)を見極めて投資する手法を一貫して採用しているという。

半導体業界が資本集約型でサイクルの荒い分野であることは変わらないが、AIによる需要構造の変化、政府や戦略的投資家の関与拡大、新素材・先進パッケージングへの投資という複数の要素が同時に進行している点は、関連セクターへの投資判断において一つの参考材料になりそうだ。

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