WaymoとUber、フェニックスでの提携を約3年で解消 ― 5月に静かに終了と両社が確認
自動運転車を巡る業界地図に、小さくも象徴的な変化が起きている。Waymoのロボタクシーが、フェニックスにおいてUberの配車アプリから姿を消し、両社は約3年間続いた提携を終了させたことを認めた。これは単なる一地域の契約終了にとどまらず、WaymoとUberの関係性が今後どう変化していくのかを示す動きとして注目される。本稿では、TechCrunchが報じた内容をもとに、この提携解消の経緯と背景を整理する。
1. フェニックスでの提携、約3年を経て終了
1-1. 5月に静かに幕引き
両社がTechCrunchに確認したところによると、Waymoのロボタクシーは、アリゾナ州フェニックスにおいて、Uberの配車アプリ上ではもはや利用できない状態になっている。この変化は5月に起きたとされ、当初は目立った発表もなく、Waymoの利用者が、Uberのネットワークから同社の車両が消えていることに気づいたことで明らかになった。なお、Waymoの車両は、オースティンやアトランタといった他都市では引き続きUber上で利用可能とされている。
1-2. 「特殊な提携」だったフェニックス
この提携が特殊だったのは、フェニックスがWaymoが自社アプリとUberアプリの両方を通じて直接運行していた唯一の都市だったという点にある。Uberは、フェニックスで別の自動運転パートナーとの提携準備を進めていることを明らかにしたが、その提携先の名称は明らかにしていない。一方、Waymoは、このパイロットプログラムで使われていた車両を、すでに自社のフェニックス車隊に統合し、自社アプリを通じて提供していると説明した。
2. 両社のコメントに見る「友好的な終了」
2-1. Waymo側のコメント
Waymoは、今回の終了について、「これは生産的なパイロットであり、世界各地での今後の拡大や提携の道を開くものだった。Uberとの数十万回の乗車を経て、これらの車両を当社のフェニックス車隊に再統合した」と説明した。同社は、Via社との公共交通連携やDoorDashとの配送連携を含め、引き続きフェニックスでサービスを提供していく方針を示している。
2-2. Uber側のコメント
Uberもこの提携を前向きに振り返っており、「フェニックスは、当社にとってWaymoとの最初のパイロット市場であり、意図的に限定された展開だった。プログラム専用の車両は十数台規模にとどまっていた。この提携から多くを学び、それがオースティンやアトランタでの急速なスケールにつながった」と述べている。これらの都市では、現在数百台規模のWaymo車両がUber上で独占的に提供されているという。
3. 提携解消の背景にある業界構造の変化
3-1. 2023年の提携開始時とは異なる業界環境
WaymoとUberが、フェニックスで提携を開始したのは2023年のことだった。当時、両社は2018年の訴訟和解に至るまで法廷で争った経緯があり、提携自体が意外と受け止められていた。さらに、当時は、ロボタクシー業界全体が不確実な状況にあり、規模を達成した事業者はまだ存在していなかった。GMに吸収される前のCruiseも、まだ有力な競合とみなされていた時期だった。
3-2. 3年間で変わった両社の立ち位置
この3年間で、Waymoは、自社の車両数を約4,000台規模まで拡大し、Uberは、複数の自動運転パートナーと提携を結ぶに至っている。Waymoは、現在、米国の主要11都市で運行しており、今年中にさらに約20都市への新規展開を計画しているとされる。さらに、同社は、週あたり50万回を超える乗車を提供しているという。
3-3. ロンドンでは直接競合へ
両社の関係は、一部地域で変化の兆しを見せており、ロンドンでは早ければ今年中に、WaymoとUberが直接競合する構図になる見通しだとされている。フェニックスでの提携終了は、こうした両社の関係性の変化と軌を一にする動きとして位置づけられる。

