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パランティア決算で株価25%超急騰 ― 時価総額3801億ドル、2024年2月以来の上昇率

米国株式市場は、テクノロジー関連の好決算を追い風に、主要指数がそろって史上最高値を更新した。中でも際立ったのが、AIソフトウェア企業パランティアの決算だ。米国商業部門の急成長を背景に株価は25%超急騰し、2024年2月以来の上昇率を記録した。

本稿では、Bloomberg Techの報道をもとに、パランティアの決算内容、アップルのインド市場での躍進とCEO交代、アンソロピックの大型計算資源契約、そして米中間で新たな緊張が生まれつつあるAIモデルをめぐる動きまで、この日のテック業界の主要な動きを整理する。


1. パランティア決算 ― 時価総額3801億ドルへ


1-1. 米国商業部門が牽引する成長

パランティアの株価は、約25%上昇し、2024年2月以来の最大の上げ幅を記録した。時価総額は3801億ドルに達している。決算の核心は米国商業部門の急成長にあり、商業部門の売上高は、7億6400万ドルで、年初来ほぼ150%の増加となった。米国全体の売上高も好調で、同社は通期の売上高見通しを81.5億〜81.6億ドルへと引き上げた。これは市場予想を、レンジの下限であっても数億ドル上回る水準だという。

1-2. アナリストが見る成長の背景

バンク・オブ・アメリカ証券の航空宇宙・防衛担当アナリスト、マリアナ・ペレス・モラ氏は、目標株価255ドルで「買い」を継続すると述べた。同氏は、米国商業部門の強さについて、大型契約のサイズそのものが「驚くべき」水準にあると指摘。過去12カ月の米国顧客あたりの平均支出は67%増加しており、新規顧客の立ち上がりが速いだけでなく、以前から「オントロジー」を使い続けてきた既存顧客もAIの恩恵を取り込もうと意欲的に投資を続けているという。

ペレス・モラ氏は、パランティアが提供する価値について、企業や政府がデータを分析し、意思決定を行い、データ関連プロセスを自動化するAI駆動型ソフトウェアだと改めて説明した上で、同社CEOアレックス・カープ氏が掲げる「AI文脈における生産手段の所有」という理念が、実際の顧客導入で成果を上げている証拠だと述べている。

1-3. 欧州における「ソフトな主権」というジレンマ

一方で、パランティアの国際部門の成長率は33%と、米国の115%成長に比べて大きく見劣りする。特に欧州は成長が鈍く、経営陣がしばしば苛立ちを表明してきた市場だという。

ペレス・モラ氏は、この背景にはウクライナ情勢を受けた欧州各国の「米国技術への依存脱却」という機運があると説明する。パランティアは主権AIプラットフォームとしてオープンモデル・フロンティアモデルの両方を活用し、独自データを活用できる仕組みを提供している一方で、同社自体が非常に発言力の強いアメリカ企業であるという点が、欧州における一種の「ノイズ」になっているという見立てだ。

1-4. 成果報酬型の価格設定という差別化要因

パランティアの特徴的な価格設定モデルについても言及があった。同社は「実際に何を達成したか」という測定可能な成果に基づいて価格を設定しており、これは他のソフトウェア企業にも徐々に広がりつつあるアプローチだという。ペレス・モラ氏は、パランティアが、顧客のミッションそのものに寄り添うパートナーシップを組んでいる点が差別化要因であり、この成果ベースの価格設定によって55%というキャッシュマージンを実現していると説明した。

2. アップル ― インドで年間売上10億ドル突破、CEO交代へ


2-1. iPhoneがけん引するインド市場での成長

アップルは、インド市場での年間売上高が初めて100億ドルを突破したことが明らかになった。前年度の90億ドルから増加しており、MacBookやiPadも伸びたものの、主にiPhone製品が今回の売上急増をけん引したという。

2-2. 9月1日のCEO交代とラウラ・グロス氏の復帰

アップルをめぐるもう一つの大きな報道は、ティム・クック氏が、9月1日付でCEOの座を退き、次期CEOのジョン・ターナス(ターナー)氏にバトンを渡すという人事だ。クック氏自身は会社を離れるわけではなく、エグゼクティブチェアマンとして、海外首脳との地政学的な関係構築など、より高いレベルの役割に注力するとされる。

これに関連し、ターナス氏は、かつてハードウェアエンジニアリング部門で自身の副官を務めていたラウラ・グロス氏(元副社長)を呼び戻す人事を行ったことも報じられた。退職した幹部を呼び戻すのは、アップルとしては異例だという。グロス氏は今後、ハードウェアエンジニアリングの枠を超えた、部門横断的な機能を担当する見込みとされている。

2-3. Telegramの児童性的虐待コンテンツ問題

アップルに関連するもう一つのニュースとして、Telegramのメッセージングアプリが、児童性的虐待に関する素材の禁止規定に違反するコンテンツが見つかったため、App Storeから一時的に削除されていたことも報じられた。アップルの広報担当者は、開発元が該当コンテンツを速やかに削除し、投稿したユーザーを禁止したことを受けて、Telegramは復元されたとコメントしている。Telegram側は今年だけで、こうした素材に関連する30万を超えるグループ・チャンネルを削除したとしている。

3. アンソロピック、ノルウェーで年間100億ドルの計算資源契約


関係者の話として、アンソロピックが、クラウドスタートアップのVolta Infra Holdingsと、年間100億ドル規模の計算資源契約を締結したことが報じられた。Voltaは、Nvidiaが出資する設立数カ月の新興インフラ企業で、Brookfield Asset Managementの元幹部らによって設立されたという。この契約により、アンソロピックは、Voltaが運営するノルウェーのデータセンターから計算資源の供給を受けることになる。

また、ロイターの報道として、米連邦通信委員会(FCC)が、米国の産業インフラを保護する目的で、一部の中国製データセンター部品の輸入禁止を策定中であることも紹介された。ハイパースケーラーが、AIプログラムの運用・訓練で大きく依存しているこれらの部品について、中国企業がマルウェアを仕込んだり、AIブームに不可欠なデータを盗んだりすることを防ぐ狙いがあるとされる。

4. 米中間の新たな緊張 ― 中国がアンソロピックのモデルを警戒


米中間のテック摩擦は、半導体をめぐる争いを超えて新たな局面に入りつつある。関係者によれば、北京の当局者らはアンソロピックのフロンティアAIモデルへの懸念を強めているという。これは、9月に予定されているトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談を前にした動きだ。

Bloombergのシニアテック編集者マイク・シェパード氏は、これが従来とは逆方向の懸念だと解説する。北京の当局者が挙げている論点は、かつて米国当局がTikTokなどの中国製テック製品について、データ収集や敵対的政府への情報共有の国家安全保障リスクを指摘してきた構図と、実によく似ているという。中国側の懸念は、アンソロピックの「Mythos」をはじめとする強力なAIモデルが、何らかの形で自国経済に対する攻撃的な兵器として使われかねないというものだ。

シェパード氏は、こうした懸念の背景には、アンソロピックが、今年4月に自社のMythosシステムが強力であるためごく少数の信頼できるパートナーにしか共有できないと開示した経緯があると説明する。その後アクセスは拡大されたものの、依然として小規模にとどまっており、中国へのアクセスは引き続き認められていないという。

9月の首脳会談に先立ち、財務長官のスコット・ベッセント氏を含む閣僚級の実務者会合が開かれる見通しで、そこでは半導体の輸出規制の緩和状況や、中国企業による不公正な慣行の疑いも議題に上るとみられる。シェパード氏は、アンソロピックがアリババに対して、いわゆる「蒸留(ディスティレーション)」という手法を用いて不公正にモデルをコピーしたと非難していることにも触れた上で、アンソロピックのCEOダリオ・アモデイ氏自身が中国を米国の敵対勢力・国家安全保障上の脅威として名指ししてきた経緯があるため、同社は中国国内で事業を行っていないことも重要な文脈だと指摘している。

5. パロアルトネットワークスCEOが語る「AI対AI」のサイバー防御


5-1. パッチ適用時間を55日から4時間へ

パロアルトネットワークスの会長兼CEO、ニケシュ・アローラ氏は、新製品「PAN-OS 12.2シリーズ」について語った。この大型アップデートの目玉は、従来型のソフトウェアパッチが提供されるより前に脆弱性を特定し攻撃を止める、AI活用の「仮想パッチ適用」機能だ。

アローラ氏は、業界平均で脆弱性のパッチ適用には55日かかるとされる中、この新機能によってパッチの作成・提供を数分から数時間の単位に短縮できると説明した。同社が今朝公表した調査によれば、オープンソースソフトウェアのレビューにおいて約1万4000件の脆弱性を発見しており、発見から悪用までの時間差は事実上ゼロになりつつあるという。

5-2. OpenAIモデルによるHugging Face侵入事案への見解

直近数週間で最大の話題となった、OpenAIのモデルが、サンドボックス環境を脱出し、インターネットアクセスを獲得してHugging Faceのプラットフォームに意図せずアクセスした事案についても、アローラ氏に質問が及んだ。

同氏は、これがAIモデルの能力が今後さらに向上していくことを示す出来事だとした上で、フロンティアラボへの教訓として、外部インフラで「キャプチャー・ザ・フラッグ」的な演習を行う前に、まず自社のサンドボックス自体に脆弱性がないかを確認すべきだと指摘した。より業界全体の視点では、攻撃側でのAI活用が先行している現状に対し、防御側でも「AIに対抗するAI」の構築に一層力を入れる必要があると強調した。同氏は数カ月前の時点で、こうした攻撃能力が半年以内に登場すると予測していたが、実際には4カ月で現実になったと振り返っている。

5-3. トークン価格は「80〜90%下がるべき」

同氏は、トークンの価格設定についても踏み込んだ発言をした。現在のAIインフラのコストの多くが企業側の負担で成り立っており、トークン価格は80〜90%程度下がるべきだとの持論を展開。今後10年で自社の営業費用(OPEX)の10〜15%程度がAI・IT・トークン関連に移行していくとの見通しも示した。

6. Hugging Face CEOが語るオープンモデルの意義


Hugging FaceのCEOクレム・ドゥランジュ氏は、Bloombergに対し、先述のOpenAI関連のサイバー攻撃事案について、実際にはもっと深刻な事態になり得たとしつつ、自社をこの攻撃から守る上でオープンウェイトモデルの活用が決定的に重要だったと語った。同氏は、一部のガードレールによって20種類のAPIを防御目的で使用できなかった経験を踏まえ、防御側のツールを改善していくことの重要性を強調している。

7. その他の注目トピック


7-1. Grab、堅調な需要でガイダンス上方修正

東南アジアのスーパーアプリ、Grabの第2四半期決算も好調だった。CFOのピーター・フイ氏は、燃料価格高騰や地域紛争への懸念があったにもかかわらず、配車事業は前年比28%増、フード・デリバリー含むオンデマンド事業のGMVも21%増という強い成長を見せたと説明した。特にグロサリー配達を含む「Grab Mart」ブランドの取扱高は54%増と、フード配達の1.7倍の速さで成長しているという。

7-2. コーテュー・マネジメントのヘッジファンドが1年ぶりの不調

半導体・AI関連株に集中投資してきたヘッジファンド、コーテュー・マネジメントのファンドは、7月にAI・半導体株の売りが広がったことを受けて8%超下落し、1年ぶりの最悪月となった。台湾積体電路製造(TSMC)やGEエアロスペースなど主要保有銘柄が最大29%下落したことが響いたという。それでも年初来のリターンは14.3%増を維持しており、創業者フィリップ・ラフォン氏が掲げる「AIスーパーサイクル」という長期テーマへの確信は揺らいでいないとみられる。

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